不動谷ダム 見学 その1

2019/10/11 更新


三重県にある三瀬谷ダムにやってきました。

三重県企業局様が造り、現在は中部電力様の管理・所有している重力式ダムです。
動力式ダムではありません。←昔々、左岸のダム説明板にあった誤字ネタ

今回のダム見学でお世話になる中部電力・三重水力センターのM様と一緒に
帝都からお越しになる萩原雅紀様をお待ちしています。


平成30年度のwith Dam Night in Kizugawaで
中部電力・三重水力センターのM様が紹介してくださったスライドの写真です。

中部電力様が管理されている三重県内のダムの中で
珍しい堤体をたくさんご紹介くださったのですが
その中で堂々の一位が国内有数の到達困難度を誇る不動谷ダムでした。

どのくらいとんでもない秘境にあるのかというと
もともと大台ケ原の東側、大変な山奥に建設されている上に
宮川流域で既往最大の出水を記録したT0421災で道が落っこちてから
道路が復旧されていなくて、管理者様ですら、近隣の堰堤から
導水路を抜水して歩いて行く方法でしかたどり着けないという…。

ちなみに、工事の時の資機材や重機の運搬はヘリコプターだそうです。
「御相談ですが」
「はぁい♪」
「「お話をお伺いしたいことがあるのですが、
不動谷ダムへ行っていただけますか?」」
「不動谷へ!?ホンマですかっ」
「はい」
「も、もちろん会いに行けるならぜひとも!!
でも…あのルートですよね。
水路の中をずーーっと歩くという。
…よぼよぼの私でも行けるでしょうか」

「水路の中を片道、2730mです」
「往復6kmならいける気がするっ!!鍛えておきますっ!!」
と、立梅用水について取材させていただいた折にご提案を頂きましたので
毎日、歩いて足を鍛え、帝都の萩原雅紀様にぜひSiphon.TVにとお話をして
準備準備。


萩原様が到着されまして、まずは三瀬谷ダムの見学です。

三瀬谷ダムはすぐ下流にJR紀勢本線の鉄橋があります。
T0421災ではこの鉄橋の下部トラスの下のコンクリートの部分くらいまで水位が上がりました。
勿論ダム本体の下流も同じくらいの高さまで水没しました。


天端右岸の親柱の横に貯水池側に降りられるよう設けられた入口があるのですが
この部分には角落としが入れられるようにスリットが入っています。
つまりこの高さまで水が上がる事は想定されていたという事でしょうか。


T0421災の時に天端よりも30cm高いEL85.30mまで水位が上がった記録が残っています。


こちらは堤体中央のゲートハウスに向かう部分の貯水池側パラペットです。
ここにもやはり角落としを入れられるようにスリットがありました。
昔は扉も付けられていたのか金具の基部が残っています。


ゲートハウスの横の除塵機です。
除塵機がお仕事しているのを見るの好きなのです。
この時は運転時間でなかったので静かにしていました。

レーキに引っ掛かった枝とかが
もうちょっとのところでころんころんと落っこちたりするのが
なんとも微笑ましくて。

葉っぱの山をばっさばっさと収穫しているのも見ていて楽しい。
つまり除塵機が好き。


ゲートハウスに入れて頂きました。

「ここに大きな蓋がありましして」
「はい。蓋」
「これを開けないとゲート全開にできないんですよ」
「…!!た、確かにっ!!」


巨大なローラーゲートなので全開にするにはそんな工夫も必要だったんですね。


ゲートハウスから見た右岸側です。
三重水力センターの建屋が見えています。


堤体の下流側の発電所に移動してきました。
巨大な水密扉が備え付けられています。
そして壁にはT0421で上がった水位を示すプレートが高い所にあります。