日本ダムアワード2023 その1
2024/2/1 更新
全国的に荒天の大みそかと元旦で令和5年から令和6年になり
元旦の能登半島地震で驚かされ北陸を心配し
台風が少なかった影響で冬季渇水が深刻になってきた1月末
日本ダムアワード2023が開催されました。
例年、年の瀬に行われていた日本ダムアワードですが
今回は年を越してからになりました。
◆
今回は洪水調節賞だけではなく低水管理賞でも発表することになりました。
低水管理賞には中部電力様が管理されている三瀬谷ダムをノミネートしました。
ダムのある宮川流域が今年の春から雨不足で水のやりくりに
大変な苦労をされていて、最上流の三重県・宮川ダムと
下流の東海農政局・粟生頭首工の間できめ細やかな用水供給コントロールに
尽力されていたという事を聞いて、これは低水管理だなと感動したのがきっかけでした。
一昨年の明治頭首工パイピング事故の時に、矢作川ダム群が頑張っていた事について
詳しいお話を聞くことができたというのも関係しています。
ただ、いわゆる王道の低水管理とは毛色が違うので
ノミネートされた3事例の真ん中で発表させてもらうことにしました。
最初と最後は王道の低水管理で占めてもらうという考え。
洪水調節賞には電源開発様の池原ダムです。
T2307(令和5年台風7号)での治水協力のハイドログラフが
けた外れに凄かったためです。
◆
という事で、それぞれのダムに取材に行ったところ…
…ぅぁぁぁ…
三瀬谷ダムのバッフルピアが…。
中部電力三重水力センターの方にちらっと聞いていたので
ものすごく吃驚はしませんでしたがこんなにずれているとも思っていなくて
それなりにビビりました。
ずれたのはT2307の降雨によるものだという事でした。
直後に聞いてはいたのですが放流中だったりしたために
きゃっ。ずれちゃった。となっている所は見えていなかったのです。
現場から、with Dam Night2023でお世話になった
応用推理工学の第一人者、高須修二先生にスマホで撮った写真を送りしました。
ついでにずれた直後の放流写真も送りました。
こうしてみる限り、特に減勢に影響を及ぼしている風には見えなかったので。
高須先生からは
この子(滑ったバッフルピア)について
「(向きから考えて)どちらかと言うと、受け流し気味の形状で
(水に対して)そんなに頑張る性質の子では無いように思いますが
ブロックが剥がれて滑ったような状況ですね。」
「よく、転倒しなかったと思います。
減勢工は余裕があるので十分に機能しているようですね。」
と、お返事を頂いたので、ずれちゃった子の影響は
心配いらないという事を専門家の方のお墨付きを頂いて安心しました。
なのでこのまま恥ずかしがり屋さんが一人いるのですという状態でも
ダムの機能に何ら問題はないという事なのですが
そこはきっちりしていないととお考えになる中部電力様。
非洪水期に新しい子を据え付けるそうです。
滑っちゃった60tの子はどこに行くのか気になるところ。
ダムサイトに鎮座してもらうとみんなでよしよしできるのにな。
頑張ったねー♪ってよしよしなでなでできるのにな。
でも60tもある子を吊あげるのは大変なので
砕かれてしまうみたいです。残念。
高さ3.3mですから。
◆
ということで新年あけてから三瀬谷ダムにやってきました。
令和6年1月上旬、左岸から天端に入っていくと工事の気配。
作業小屋にブルーシートに左右岸に張られたケーブルクレーン。
いそいそと天端に入って覗き込むと…。
滑っちゃった子はもう粉々になっていました。
ばらばらに砕いてから撤去するというのは聞いていましたが
ちょっと…ちょっと…さみしいかな。
作業エリアは止水板で水が来ないようがっちり守られています。
1門のゲート放流。
発電所がメンテか何かで止まっているようです。
左岸の工事作業に影響が少ないように右岸側で放流。
止水板はどうなっているのかズームしたら
角落しでした。
H型の鋼材の溝に鋼製角落しをはめ込むことで水を止めています。
滑っちゃった子は綺麗に粉々にされて鉄筋と区分されていました。
60トンもあるんだもんね…。
そのまま左岸でモニュメントになるのはやっぱり無理だったんだよね。
滑っちゃった子のいた場所には新しい子の型枠が組まれていました。
横に人がいるのでどれだけ大きいかわかりやすいと思います。
ブロックの高さは3.3mもあるので。
令和6年1月中には新しい子がお役目を引き継いで交代します。
竣工からずっと頑張って頑張って、滑っちゃった子の魂を受け継いで
頑張ってほしいです。
また会いに来るからね♪