日本ダムアワード2022 その1
2022/12/21 更新
今年もやってきました年末、ダムアワードの年末。
今年も出演することになりました。
担当は洪水調節賞。
ノミネートされていたのは
新潟県の三面&奥三面ダム(令和4年8月出水)
山形県の白川ダムと最上川の仲間(令和4年8月出水)
宮城県の花山&長沼ダム(令和4年7月出水)
でした。
自分が担当するのは白川ダムです。
最上川水系の国土交通省管理ダムで一番の年長さん。
◆ ◆
2022年8月3日の天気図です。
前線に向かってT2206(令和4年台風6号)くずれの熱帯低気圧から
雨の原料になる暖かく湿った空気が大量に流れ込んだために
大気の状態が不安定になって線状降水帯の発生にまで至った
前線性降雨でした。
前線は南東北にかかり続けました。
新潟北部から山形県にかけて
この間に塊のような雨が降ったのです。
8月3日14:50分のナウキャストです。
前線の真下で大雨が降っています。
同じ3日の17:30のナウキャストです。
同じ場所で雨が降り続き、さらに栃木県の方にも雨域が広がってきました。
18:40のナウキャストになります。
ナウキャストだけを見ても何時間も同じ場所に真っ赤な雨域が居すわり続けていることがわかります。
この激しい雨が降り続いているレーダー画像に最上川の4基のダムの位置を重ねてみました。
最も激しい雨に襲われていたのは木地山ダムと長井ダムのある最上川支川の野川流域でした。
新潟県と山形県境の上に居座った雨雲。
真っ赤を超えて紫表示になっている雨域の下には新潟県の奥三面ダムと三面ダムもありました。
東北地方整備局 山形河川国道事務所
「令和4年8月出水(前線)の概要」《第3報 8月31日 17自時点》
こちらは東北地方整備局 山形河川国道事務所から発表された豪雨の概要資料です。
前線及び低気圧の影響により線状降水帯が発生し、山形県を中心に
非常に激しい雨となり、24時間雨量が多い所で474mmを記録しました。
◇椿観測所(西置賜郡飯豊町) 24時間雨量 474mm
◇深沢雨量観測所(長井市) 24時間雨量 409mm
◇米沢雨量観測所(米沢市) 24時間雨量262mm
いずれも観測史上1位の降雨量でした。
8月3日10:30の衛星画像です。
新潟県北部から東北地方全体に大きな雲の塊があります。
8月3日15:00の衛星画像です。
北東北は雲が切れてきましたが新潟県と南東北はまだ雲がかかっています。
8月3日20:00の衛星画像です。
この時の雲は非常に嫌な形をしています。
海から陸に入ってすぐのところで次々と積乱雲が発生する
線状降水帯が発生した時に見られる雲の列が現われています。
この8月3日の前線性降雨では大雨警報が出ましたが
今年の6月に始まったばかりの線状降水帯予測情報による
線状降水帯発生の報は出ませんでした。
しかし、後に、線状降水帯が形成されていたことが確認されています。
令和4年、降水帯予測情報は13回発表され、予測した地点で実際に
線状降水帯が発生したのは3回でした。
また、予測は出なかったけれど線状降水帯が発生したケースは
全国で8回ありました。
この8月3日の南東北で発生した線状降水帯は
そもそも東北地方で線状降水帯の発生事例が少ないこともあり
予測がとても難しかったようです。
大事なのは線状降水帯が実際に形成されようがされなかろうが
予測が出るという事はそのくらいの雨が降るのは確実とされていることです。
世界一の精度を誇る日本の天気予報の精度を信じないというのは理解できないです。
これからどんどんデータが蓄積されて精度の高い予報が出てくることに期待です。
新潟北部から山形県南部に真っ赤な雨の帯がかかっていた8月3日19:12の川の防災情報です。
ダムのアイコンで赤い丸がついているのが山形県管理の木地山ダムになります。
右側の模式図は木地山ダムの貯水位、流入量、放流量を表示しています。
雨域が移動した8月4日の05:43の川の防災情報i
今回ダムアワードの洪水調節賞で紹介するダムの名前を乗せてみました。
右側の模式図は木地山ダムの下流にある国土交通省・東北地方整備局の長井ダムです。
地図で黒線になっているのが最上川になります。
最上川では堤防溢水、堤防越水、浸水が発生していました。
黒線は氾濫発生で表示されます。
この時点ではまだ水が引いていないので黒表示になっていたようです。