日本ダムアワード2014 その3

イベントが終了したら
気持ちはすっと軽くなりました。

ささささっと楽屋に戻って普段着に着替えてHP回復させる。
普段着になるだけでHP回復ってどんな装備。


で、準備していった予備のプレゼンテーションを
2次会で酒の肴として発表させて頂きました。
資料追加でご紹介。


昨年、洪水調節賞とダム大賞を獲った日吉ダム。
2014年の夏は酷い目に会いましたという話。

日吉ダムはT1318の防災操作(洪水調節)で
日本ダムアワード・ダム大賞のほかに
ダム工学会 技術賞
土木学会賞 技術賞
と凄い賞を受賞しました。 


そんな日吉ダムの平成26年8月上旬の様子。
日吉ダム管理所様提供。

なんと渇水です。

平成26年はあの悪夢の“平六渇水(平成6年の日本全国大渇水)”を上回るスピードで
近畿各地のダム湖貯水位が下がり続けていたのです。
特に一庫ダムがもう真っ青になるくらい渇水の危機でした。

8月2日〜4日にかけてはT1412襲来で
高知県でとんでもない雨が降っていたというのに
日吉(京都府南丹市)や一庫(兵庫県川西市)はこんなに水位が低く
雨…降ってほしいの…という状態だったのです。


これが日吉ダムの8月のハイドログラフ。
平穏だった上旬
その後、何が起きたんだーっという大暴れなハイドログラフ。


T1412でもさっぱりちっとも水位回復しなかったところにやってきたT1411。

T1411は高知県直撃コースでやってきて
徳島県の那賀川流域に大変な雨をもたらしました。
しかし特別警報が出たのは三重県でした。


特別警報のニュースを見て君ヶ野ダムがとにかく心配だった。

三重県で特別警報が出たのはT1411の高知県上陸より1日早い9日でした。
日吉ダムのハイドログラフで一山目のピークの時です。
この後、二山目のピークが来て徳島県でとんでもない降雨となります。

10日の朝のニュースで吃驚したのがこれ。
有名な180度回転する大阪の珍ゲート
淀川陸閘が夜中に稼働して高潮対策とっていたこと。

台風の雨域の心配と高潮の心配は別地域になることもある。
台風本体の下では潮位に注意が必要で
台風の東側では降雨に注意が必要。

日吉ダムでもとんでもない雨になっていました。
昨年のT1318の既往最大流入量に次ぐ第二位の最大流入量を記録したのです。
しかも嫌な二山出水。


これがT1411の日吉ダムのハイドログラフになります。
嫌な嫌な二山出水。
一山目はそれまで渇水でハラハラしていたので
貯水位回復に丁度良いくらいだったのです。

しかし次にやってきた二山目でいきなり既往二位の最大流入量913m3/sきたーっ!!
既往最大はT1318の1694m3/sで桁違い。

そして何故ここでこんなすごい技を炸裂させたのか。

T1318では暫定操作の150m3/s横引きピークカット。
しかしT1411では更に進化した150m3/sから60m3/sへ絞り込み
更に15m3/sへと多段バケットカットを決めているのです。

何故そんな凄いことできるんだっ!!
つーかなんでこんなすごい技決めたっ!!


理由はこれです。
下流が大変なことになっていたのです。
一年前の悪夢の再来かという急上昇する河川水位。
これを食い止めるべく多段バケットに挑んだのです。
昨年よりも進化した操作
どこまで進化するんだ日吉ダムっ!!


しかし既往二位の最大流入量は数日後にあっさり抜き去られました。

お盆にやってきた前線性降雨です。


前線性降雨は無茶な降り方するからとにかく怖い。
いきなり60ml/h降ったんです。

最大流入量1291m3/s
レコード更新したー!!
怖い怖い怖すぎる。

そして今度はまたまた予想だに出来ないバケットカットを決めてくれました。
流入量ピークよりかなり早い段階での絞り込みです。

バケットカットは流入量ピークを読んでその前後で放流量を絞ることが多いのですが
この時はいきなり暫定操作で約束されている150m3/sに上げる前に絞り込みの判断をしているのです。
これは立ち上げ大変だなーと思ったんですが
ピークとほぼかぶる頃からじわじわ150m3/sに持っていってぴしーっと横引き。
どれだけ難しい技きめるかな日吉ダム。


そしてお盆豪雨が過ぎ去ってほっとする間もなくまたまた雨がやってきましたが
この時は降雨予測を外れて防災体制には入りましたがあんまり降らなくて難なくクリア。

しかしカレンダーで黄色に塗っているところが日吉ダムの防災体制に入った日。

8月中、殆ど防災体制で職員の方は夏休みもまともにとれなかったのではと思います。
酷い夏だ。


そして日吉ダム管理所で取材中
この、職員の方がくたくたになったであろう8月のお話をお聞きしている最中に
突然、皆様の携帯電話にメール着信音!!

何があったんだっ?

と、どきどきしたら

「下流の河川水位が下がっておりまーす。河川水補給のお時間でーす♪」

というような内容のお知らせメールだったのでした。

夏は洪水調節
冬は河川水補給
利水も治水も年中休みなし。
ダムの管理ってホントに大変だ。


ちなみにT1411では一庫ダムも初・バケットカットに挑みました。

淀川水系のダム操作は高度進化をつづけています。
これが機構のダムの洪水調節です。

カッコいい♪