T1318襲来時の日吉ダム その2

では今回、洪水調節賞を受賞した平成25年台風18号(T1318)の時に
どれだけ日吉ダムがすごい事をやってのけたのか
ハイドログラフから見ていきたいと思います。

でもその前に
T1318の災害概要をおさらいです。


川の防災情報の画面です。


近畿の河川には警報注意報がバンバン出ていました。


まさに近畿直撃という台風18号でした。


9月16日未明のXバンドMPレーダー画像。
もうまっかっかで何が何だかの大変な状態です。

何がすごいって短時間にとんでもない量の雨を降らせたこと。

淀川水系の河川整備の基本計画は昭和28年にやってきた台風13号(T5313)
を元に作成されています。

「流域平均302mm 48時間」

48時間の半分、24時間で同じ量の雨を降らせてしまったというのがT1318です。
淀川水系にとっては既往最大。
平成25年台風18号は現在の淀川水系基本計画の元になった
昭和28年台風13号(T5313)禍を上回る規模の降雨をもたらしました。
とんでもない雨の降り方だったのです。

しかし
昭和28年から地道に続けられてきた河川整備とダム事業のお陰で
この既往最大の降雨でも被害を最小限にとどめることができました。


京都府の亀岡市は長い間、大雨のたびに浸水被害に遭ってきた土地でした。

それは亀岡市には流域の大きな河川がたくさん流れ込んでおり
それらが合流した直下流には保津峡という狭窄部があり
亀岡盆地という浸水被害が出やすい条件がそろっていることが原因です。

同じように
「市街地を走る川が何本も合流」
「直下流に狭窄部」
「盆地(低地)」
という条件は三重県の伊賀市上野が該当します。


保津峡の下流では川幅は一気に広がります。
この広がった場所にあるのが有名な嵐山地区の渡月橋です。


桂川をご存じない他地方の方にはニュース映像等で混乱が生じたようなのですが
日吉ダムの下流にはまず洪水に苦しんできた亀岡市があります。
日吉ダムは第一目標として亀岡を守るために洪水調節をするのです。

嵐山の渡月橋が大変な状態になっている映像がニュースで流れたため
またニュースで日吉ダムの異常洪水時防災操作が正確に報道されなかったために
(むしろ悪意を持ってダムが洪水の原因であるような印象操作をする報道があった)
たくさんの方が日吉ダムが放流したから嵐山が冠水したという誤解をしてしまったようです。

嵐山は保津峡の直下で川幅もいきなり広がりますから水位は低くなりますし
なにより保津峡という狭窄部、大自然が作った洪水を食い止める要害があるんです。

そんな天然の要害に守られている嵐山でも過去に何度も浸水被害がありました。
近いところでは平成16年台風23号です。
福知山で大規模な浸水被害が発生し北近畿水害と呼ばれています。
日本という国土で絶対にここは大丈夫という川の傍はないのだという事を教えてくれるようです。

自然の力の前には絶対に洪水から町を守れない
だから人が人を守るためにダムや河川改修、堤防の整備が続けられているのです。