大城池 見学 その3


鎮座する石碑の中で一番ぴかぴかの真新しい碑がこれです。


大城池改修工事竣功記念とあります。

余水吐周辺漏水防止工事。
事業年度は平成19年とのこと。

阪神淡路大震災の後に行われていますが
緊急対策工事にしては期間が空き過ぎているので
別の物かと思われます。


右岸側から見た貯水池と天端高欄。
高欄のパラペットが色違いになっていました。


余水吐の直下が見えるところに道路が通っているのが
天端から見えていたので移動してきました。
余水吐からの水が流れる川は普段はこんな感じで
ちょろちょろしか水が流れていないようです。


舗装路から分岐している未舗装路をてくてくすすみます。
別に車で進んでも大丈夫ですが途中で写真撮りたいので歩いて移動。


木々の間から綺麗に堤体が見えるところがありました。
大城池、とても立派なアースダムです。
堤体がコウゾリナで薄い黄色に染まっていた時に来たら
また別の顔ですね。
見てみたいなぁ。


さらにてくてく奥に進んでいきます。


到着しました。
余水吐直下。
真向きが見えるポイントです。


貯水位が上がったらここからさらさら流れ…
いや、滝状態ですからさらさらはないか。


訪問当日はわずかに水が流れて川まで細い流れを作っていました。
途中の段にはくぼみに水溜り。


窪みの水溜りから水溜りへ
ちょろちょろちょろと水が流れています。

◆ ◆

大城池について色々な文献を調べてみました。


日本大堰堤台帳にも大城池はちゃんと掲載されています。

大正期に工事が始まった30m級のアースダムなんですから。
凄いダムなの間違いない。


大事なポイントは堤体の上下流面の勾配。

上流側は1:3
下流側は1:2と1:2.5
石積が1:0.5
とあります。

下流面は勾配が途中で変わっているようです。
石積みというのは堤体の裾の部分の石積みです。


コンクリート心壁ではなくて粘土ですから分類でいうとゾーン型コアフィル。


図面です。
下の図の右が貯水池側。
左が下流側です。
勾配が変わっているのが分かります。

◆ ◆


農業用の古い土堰堤のデータベースといえば
やっぱりこれ。
本邦高土堰堤誌。
ちゃんと大城池も載っていました。


本邦高土堰堤誌には詳しい図面も載っていました。
大堰堤台帳より詳しい図。
こっちの方が細かい数字もあってさらに分かりやすい。

◆ ◆

さらにさらに

日本ダム台帳では
堤高:31.0m
堤頂長:152.0m
総貯水量:94万4000m3となっています。

このあたりで調べている文献で数字が絶妙にバラバラなのが気になり始めました。


手当たりしだい調べた結果。
もうわけわからん。


とりあえずはっきりしているのは淡路島でいちばんカッコいい
立派なアースダムであるだろうという事。

堤高は30.0m以上あるのは間違いなさそう。

淡路島にお越しになったらぜひ足を運んでほしい
凛々しいアースダム、大城池でした。

 

おまけ


大城池の下流の鮎屋川ダムの説明板のひとつ。


大城池の余水吐越流の図。
あの巨大コンクリートパーツは
わりと昔からあの場所にあるようです。