またまた琵琶湖疏水 その2


永観堂で美しい庭園と紅葉とお堂を愛でる。
うん。
いつもコンクリートと藪と水と空しか撮っていないから
華やかな画がいくらでも撮れるのが地味に嬉しかったりする。

敷地をうろうろして一番端っこの阿弥陀堂の前までやってきました。

この向こうに扇がいるんだよね・・・

疏水分線の遊水池・扇ダム。
以前、調査した時は阿弥陀堂の工事でこのエリアに入ることができませんでした。
その為に下からフェンス越しに扇ダムを見ることしかできなかったのです。
阿弥陀堂の工事も終わっているようだし今日は見られるかも・・・と来たのですが・・・

扇ダムを見下ろせるポイントは禅林寺の墓地になっていて
観光客が入ってきたりしないように立派な鉄門扉が付けられていました。

これはいかん。
由緒あるお寺の敷地で狼藉を働くわけにはいかん。
お寺の方に頼んでみるか・・・

と、阿弥陀堂の前にいたアルバイトの学生に
「この墓所の奥の山の際まで行きたいのだがお寺の方にお聞きしたい。どちらにいらっしゃるか?」
と聞いたところ、非常に怪訝な顔をされましたが阿弥陀堂の中の和尚さんに聞きに行ってくれました

すぐに出てきてくれた和尚さんが阿弥陀堂の階段を降り切らないうちに

「お忙しいところすみませんっ。私、琵琶湖疏水を勉強しているものですが
こちらの墓所の敷地から隣の扇ダムを見せて頂きたいのです」

と、申し上げたところ、不思議がられることもなくあっさりと
階段を下りた脚でそのまま墓所に案内してくださったのです。

うわ、こんなに話がすぐ通るなんて思わなかったよぉ
扇ダムって言ってすぐ通じると思わなかったよ
そ、それにしてもっ
和尚さん、脚長いよっ、足早いよっ
ついていくの必死だよぅ

と、石段に躓きそうになりながら必死でついていく豆のような自分。

お墓に失礼のないように足元に注意しながら端っこまで行くと
転落防止のためにきちんとしっかりしたフェンスが設置してありました。

「ここから見えますよ」

と、教えて頂いたポイントに移動。


扇ダムです。

「わぁぁぁ♪すごーい」
「扇型や」
「田辺朔郎博士の図面通りやー」
「右岸の壁、煉瓦やぁぁ。素敵ぃぃ」
「ああ、この鉄管こんな風になってたんや」
「ちゃんと野村の方に分水してるー」

ひとり大騒ぎ。


コンクリートの水槽になっている部分の上には煉瓦の壁です。
約120年前の煉瓦です。


見えるポイントを変えて別アングルから。
丁度、清掃の方がお越しになっていました。
下から見た車は清掃の方の車だったらしい。


水路閣を流れてきた水が到達しています。
除塵スクリーンも見えています。
取水分は鉄管の中を通り、それ以上の部分は扇ダムの中に出てきます。

水槽の扶壁付擁壁が綺麗ですね。

「扇ダムをご存じなんて珍しいですね」

と、和尚さんから言われて照れ笑いしていたところ

「ネットで調べても扇ダムについて詳しく書いておられるところはほとんど無いですよね。
blogかHPかで、おひとつ、詳しく書いておられるところがありましたけど」
「どきっ!!」

あわわわ。
絶対それ自分だよ。

「・・はい。多分、それ、私です。」

と自白。

うわ、照れを通り越して汗かいた。


自白した後、和尚さんは詳しく現場を説明してくださいました。

扇ダムから永観堂の敷地に導水しているルートです。
細い鉄パイプが山肌を走っています。


そして墓所の下を暗渠で通り抜けています。
当時のままの鉄管とか使われているんでしょうね。


そしてお水はこの小さな滝に出てきます。
更に流れて行って・・・


この池まで到達します。


堂内の説明板です。
扇ダムからの水がこのように池まで届いて
その後はまた敷地から出ていくんですね。

高低差をうまく使っているなと感心しました。

疏水分線は南禅寺や禅林寺という古刹の敷地に影響を与えるという事で
建設時には色々大変だったようです。
その辺りの事も和尚さんはきっちりご存じで、詳しく説明をくださいました。
さすがですねー。

気持ちよく扇ダムを見せて頂いて本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。