愛本堰堤 見学 その1

2011/5/29 記

富山県の黒部川といえば
ダムマニア的には
黒部ダム(関西電力)
仙人谷ダム(関西電力)
小屋平ダム(関西電力)
出し平ダム(関西電力)
宇奈月ダム(国土交通省)
という名前が次々に浮かんでくると思います。

知名度抜群のその黒部川を下ってくると
渓谷の風景が広々とした平野に変わる場所があります。


山と平野の間、その場所にあるのが愛本堰堤です。


真横に近づけるのですがちょっと慌てた近すぎた。
積雪にも阻まれて川面が見えなかったのです。
堰堤の横に管理所が2階建てであるのですが
それに惑わされてダム軸を最初に見失ったのが失敗か。


建物の隙間から。
これは愛本堰堤のすぐ上流にある関西電力・愛本発電所からのお水


愛本堰堤は富山県が所有し北陸電力が委託管理をしている取水堰堤です。

“黒部川と言えば関西電力”
というイメージがあるのでここで突然
オレンジと海老茶色からシルバーホワイトとスカイブルーに
管理が変わるのは地味に驚かれるポイントかもしれません。

不思議な感じがしますが愛本堰堤はとても由緒のある取水堰堤なのです。

黒部川に大規模電源開発がやって来る前に
昭和7年(1932年)、愛本堰堤は造られました。


堰堤の横に管理所が二階建てで並んでいるのですが
その下にはこのように愛本堰堤の沿革が立派な石板に刻まれています。
うん。黒字に白文字♪読みやすいっ♪


愛本堰堤のお仕事は発電と灌漑用水の確保です。
黒部川合口用水という黒部市、入善町、朝日町の農地、7500ヘクタールに水を届ける農業用水です。
そして同時に発電用水も確保しています。

沿革にも描かれていますが
現在の愛本堰堤は昭和48年(1973年)に新しく造られたものです。

立山カルデラに新しい崩壊地を造り
甚大な被害を出した1969年の豪雨災害。

この豪雨は常願寺川だけではなく黒部川にも甚大な被害を出しました。
この地点では5600t/sもの水が押し寄せ施設を破壊されたのだそうです。


図と写真の入った説明板がありました。
詳しい歴史もばっちりです。
現地で情報収集できるし勉強できます。


現在の愛本堰堤の図。
左岸から魚道、土砂吐、2号洪水吐、1号洪水吐ゲートとなっています。
取水は右岸と左岸の両方で行われています。


初代と二代目のスペック比較。
初代はローリングゲートとストーニーゲートだったんですね。
現在はシェル構造ローラーゲートとフラッシュボード付きのローラーゲートを装備している様子。