T2307 その1

2023/9/1 更新

令和5年お盆直前、台風が立て続けに二つやってきました。
T2306(令和5年台風6号)は大変な鈍足台風で
行ったり来たりしながら九州の西側を北上。


T2307(令和5年台風7号)はこれまた鈍足台風で
進路予想もずれて西にやってくるコースになりました。


8月10日21:00の天気図です。
この時のT2307は中心気圧960hPa。


8月12日06:00の天気図です。
二日経ってもほとんど動いていません。
中心気圧が940hPaで勢力だけが強くなっていました。


衛星画像になります。
最初は東海より東に上陸かと思われていましたが
日を追うごとにどんどん西にずれてきました。


いつの間にか近畿直撃コースに。


水不足で困っている東日本日本海側に恵みの雨をもたらしてくれたらいいのに。
利根川上流で矢木沢ダムを満タンにしてくれたらいいのに。

太平洋側でばかり、外側降雨帯が発生して記録的短時間大雨情報が出たりしていました。。


8月14日、紀伊半島直撃コースで進んできました。


中心気圧970hPaですが雨の量も風の強さももっと強い台風と同クラスで
この時点でも目がまだはっきり見えていて速度はのろのろで大変、嫌な台風でした。


NHK奈良では上陸前から奈良県内のダムの事前放流についてを
伝えていました。

GWの安威川ダムの試験淡水によるサーチャージ水位到達を
二回にわたって緊急放流だと伝えたNHK大阪の事が頭にあったので
正しい文言で伝えてくれるかというのが一番の心配。


まず、今回のT2307がのろのろしているので西日本、東日本において
予測されている降雨量がかなり大きい事を説明。

この時に画面にはでんぱつ様のHPの池原ダムの写真。


奈良県内向け情報として、池原ダムと室生ダムの2か所が
治水容量を確保するために事前放流を開始したことを説明。

室生ダムは実際のところ本体降雨が来る前8月12日頃から
きっちりと貯水位を下げて待ち構えていたわけですが。
まぁそれはいいか。


国土交通省からの情報として事前放流が行われることで
下流河川水位が上昇することについて注意の呼びかけ。

うん。
とてもとても正確。

つーか、安威川ダムサーチャージ到達の時はこの言い方だけで
下流に注意喚起をするべきだった。


そして大事ないわゆる“緊急放流”についての説明も。


「一方、今後大雨でダムが水を貯め込むことができなくなった場合、
ダムに流れ込んでくる大量の水をそのまま下流に流す緊急放流の
可能性があるとして、国土交通省は放流の情報に注意するとともに、
早めの避難を呼びかけています。」

という言い方で合格ライン超えました!!
毎回このクオリティでお願いします。


のろのろしてはいますが確実に近づいてくるT2307。

8月15日03:00
レーダーで見ると本体は紀伊半島南部に乗り込もうとしている時に
鳥取県や関東にも活発な雨雲が発生していました。


この位置で上陸してきたら、地形で仕方のないことですが
新宮川(熊野川)の流域は大雨となりました。


8月15日17:10時点での池原ダムハイドログラフです。

8月12日20:00、貯水位はEL310mでした。
ここから発電放流を260m3/sから下流に急激な水位上昇を起こさないよう
少しずつ増やしていき、14日20:00には330m3/sに。

そして貯水位を、なんと、EL305mまで下げて台風を迎え討ちました。

これはほんとに凄い!!

貯水位低下は台風情報と長期降雨予測に基づいて
出水の2、3日前から開始するのですがそれでもホントに凄い。