ダム工学会 水道ダム交流講演会 その1

2025/2/1 更新

令和6年4月、「水道整備・管理行政に係る事業」が
厚生労働省から国土交通省に移管されました。

日本の水道事業は明治、大正期から各自治体で進められており
近代水道のネットワークは国土の隅々に届いています。

しかし、施設の老朽化も同時に進んでおり
100年以上給水を行っている水道も珍しくなく
設備を補修していかねばならない時期に来ています。
水道施設の強靭化は国土強靭化と同じく急務なのです。

都道府県営の水道や、県を跨いでの広域水道もありますが
基本的に上下水道は市のレベルで整備が進められてきました。

ダム建設は戦後、旧建設省と、農林水産省の主導で
進められてきましたが巨大な水道用ダムは少なく
多目的ダムとして水道が仕事に含まれる事例が増えていました。

そういうこともあってか水道管理者の皆様はダムの堤体より
給水ルートや水質管理にお仕事のウェイトが重いので
ダム工学会とはあまり御縁がありませんでした。

平成から令和の時代になって豪雨災害も極端な少雨による渇水も
災害が激甚化する中、ダムの保守管理の面から
ダム技術センターと各地の水道ダム管理者様の繋がりが出てきます。

佐世保市は歴史的な水道用ダムを多数保有しており
ダム技術センターの指導の下、100年近く経過した堤体を
これからも安全に使えるよう整備を進めています。


ということで
栄えある第1回というかキックオフイベントとして
「ダム工学会 水道ダム交流講演会」が佐世保市で開催されることになったのです。

ぱちぱちぱちぱち


講演会だけでなく現地見学会も開催することになりました。
普段は遠目にしか見られない転石ダムと
フェンスの外からしか眺められない山の田ダムが
見られるということで各地からダム愛好家が申し込みされました。
平日にも関わらず。

当方もスタートが朝早いということもあって前日に博多入りです。


美味しいお店を探すのも楽しいですが地元のスーパーマーケットに行って
並んでいる商品の違いを楽しみながらお惣菜を買うのも楽しいので
今回はホテルから歩いてすぐのスーパーマーケットに行きました


お惣菜と一緒にぎうにう確保♪
これは譲れない。
必ずぎうにう♪


朝の早くにホテルを出て集合場所である博多駅のバスロータリーに向かいます。
ダム愛好家のみなさんがすでに集まっていました。


こちらのバスで佐世保市の水道用ダムを二基回ってから会場に向かいます。

出発してすぐ渋滞に引っかかったのは想定内。
途中で車両にトラブルが発生してスピードがあまり出なくなってしまいました。


運転手さんが頑張ります。


到着時刻がかなり遅れてしまったのですが…


参加者ほぼ全員、転石ダムに到着するなり走る。


とにかく走る。

見せてもらえるところ全部見せて頂くために
こんなに走るのかというくらい走りまわりました。


天端には時間が押しているからいけないかもと心配したのですが
OKが出ました。

洪水吐の大きな段々の横につけられた管理通路階段を転ばないように上がります。


ここからが一番良いアングルですとダム技術センターの川崎先生が
お勧めしてくださいましたのでみんなここで撮りまくる。


洪水吐越流部チラ見え♪


参加者もう大興奮。
天端何往復しているんですか…という人まで現れる。


転石ダムは堤体積が少ないとても細身のダムです。
断面がシンプルな三角ではなく、三角の上に長方形が足されたような
独特の形をしています。


川崎先生からお聞きしたのですが
転石ダムは横継ぎ目が9m毎に入っていて、そこに15cmφの排水孔が設けられています。

排水孔は堤体直下の集水桝に繋がっていて
この仕組は堤体に対して発生する揚圧力を低減することに
大きくかかわっているのだとか。
内部に水が流れていることを音で確認できるのもとても良いです。


建屋などはなく、半円に貯水池側に張り出したシンプルな取水設備です。


天端から直下を見下ろしたところです。
他のダムではありえないこの絶壁感。
バットレスダムに匹敵する垂直壁。


海軍さんのマークが入った排水孔の蓋です。


天端を走る若人に体力があってうらやましいなと感じるなど。


一つの見どころも見逃すまいと走り回る凄い見学会になった転石ダムでした。


バスに戻る前に現地に建てられていた日本遺産の説明板を撮ります。
地域の小学生向け見学会とかがあるのかなとも思いますが
小学生向けにしては内容が難しいですからやっぱり
一般向け見学会が地域限定であるのかもしれません。