「ダムの時間」で大滝ダム その2

放送当日は仕事でリアルタイム視聴ができなかったので
帰宅して大慌てで配信を視聴しました。

オープニングは大滝ダムの直下流に繋がる管理道路から。

関西電力様の樫尾発電所へ送水している大滝堰堤や
ダム直下の大滝発電所へ続く道ですが
普段は締め切られていて通行ができない道路です。

左右から山が迫っていて堤体の全貌が見えそうで見えないので
ここから堤体直下まで歩いていけばわくわく感が出るかなと
考えたのですが、この案は没になりました。
時間がかかりすぎるため。

まずやってきたのは選択取水棟。
ここは試験湛水一回目の後、未使用で美しい時に
入らせて頂き、撮った写真がダム協会のフォトコンテストに
入選したりしました。


ここは綺麗ですから是非にという事で提案したのですが
運用開始になってから、非洪水期にはそこそこ水位が高いので
私が目にしたものとは全く別の光景になっていて吃驚しました。

今回、出演されたアキナのお二人のうち、秋山様が
高所恐怖症という事で、これは酷だったかも…。

グレーチングで下丸見えでリアルに高さが伝わる水面とか
高所恐怖症の方には辛すぎる選択取水棟でした。
高所嬉々症の私には想像できない恐怖。


続いてやってきたのは“ダムの中みち”。
天端は転落防止のためにどうしても高欄が高くなりますが
ここは天端より少し低く、下流側を全部見られるという
他のダムではない通路です。
ここから見る下流のビューはとても素敵です。


その素敵な通路を通ってやってきたのはクレストゲートです。
これは2008年のTVロケの時に入れてもらった場所からの写真です。


大滝ダムは油圧式ラジアルゲートをクレストに設置する事で
天端がすっきりフラットになっています。
エレベーター棟やゲートハウス、巻上機等のでっぱりが無い。

比較対象にしたのは同じ国土交通省の鹿野川ダムです。
再開発で凄いトンネル式洪水吐を装備しましたが
クレストゲートも更新されているのです。


昔のクレストゲートに対して更新されたゲートは
とにかく重厚でカッコいい姿。
でも仕組がワイヤーロープで開閉なのでどうしても
ゲートハウスが天端に飛び出します。

ゲートはきちんと開閉できて固定できて頑丈で壊れなければよいのです。
ワイヤーロープ巻揚げ式でも油圧シリンダー式でも
個々のダムの配置される場所に適した仕組でお役目果たせればよいのです。
鹿野川ダムのゲートが劣っているという訳ではありません。
メンテナンスコストは高くなりますけど。


クレストゲートを鑑賞した後に堤体左岸直下のダイナミック広場から
堤体を仰いで見て頂くことに。


大滝ダムの堤高は100mですが減勢工の横のダイナミック広場は
埋め戻し分の高さがあるので実際には天端から50m位です。
それでもこんなに迫力があります。


時間がなくて紹介がカットされたようですが
右岸の小放流設備のカスケードも素敵なので
森と湖に親しむ旬間などでダイナミック広場に来られた方には
カスケードも愛でてほしいところ。


こちらはみつはし様からこっそり送っていただいた当日のロケ弁当の写真。


川上村のあつまり食堂で作っていただきました。

川上村HPでの紹介

冬場はお弁当だけという事でランチがなくて残念。


日替わりのランチはこんな感じです。
みつはし様と流域外分水の取材で来た時にいただきました♪


続いてやってきたのは左岸にある大滝ダム・学べる防災ステーションです。

近畿地方整備局の管理している施設では大滝ダムと
瀬田川洗堰の横にあるアクア琵琶で同じように豪雨体験ができます。

アクア琵琶の豪雨体験は屋外なので、閉塞感や息ができなくなりそうな圧迫感は
少ないですが、学べる防災ステーションは狭い空間なので体験した時の
インパクトは物凄く強いと思います。

ここで体験していただいたのはアキナの山名様です。
みつはし様と秋山様は外から観察窓を通して様子を確認。
手を入れるところもあるのですが、秋山様が手を入れて
降雨強度にびっくりされていました伊勢湾台風の118mm/h。


伊勢湾台風について打ち合わせの時に作っておいた資料です。


これは伊勢湾台風60年のシンポジウム会場にあったパネルの写真です。


伊勢湾台風については

クソデカ台風(超巨大 直径700km)
猛スピード(45km/h超)
超強力(中心気圧929.6hPa 勢力が全く衰えていない)
最悪のコース

で大被害を出した台風と覚えて頂けたらと思います。

続いて山名様に長崎豪雨で長与町で観測された187mm/hがどれだけ恐ろしいか
体感していただきました。

日本記録の187mm/h。
昭和57年7月23日に突然長崎市を襲った豪雨によるものです。

近年、線状降水帯による凄まじい豪雨が観測されていますが
この長崎水害の記録を塗り替えるような雨は来ていません。

1000年に一度級といわれた平成24年7月12日の九州北部豪雨では
坂梨雨量観測所で123㎜/h

令和元年8月27日の前線性の九州北部豪雨では
佐賀のアメダスで111mm/h

令和4年8月4日の前線性降雨で
新潟県関川村下関で148mm/h


長与町の記録を塗り替えるような雨は来てほしくありません。

短時間にこれだけの雨が来たら何もかも流れていきます。
何もかもが水に飲まれるのです。

そして

人類が体験したことの無い600mm/hの雨ですが
600mm/hの雨なんて降るわけがないと言われています。
燃料(水蒸気)がいくら積乱雲に供給されても無理じゃないかなと
自分も思います。

今のところ世界記録はインドのチェラプンジで観測された303mm/hです。
バングラデシュのすぐ北側で多雨地帯として知られています。

ここで考え方として知っておかねばならないのは
可能最大降水量(PMP)、可能最大洪水(PMF)です。

大陸の海から遠い内陸部では雨雲の元である水蒸気供給に限りがあり
降雨量にも限界があるという考え方で算出される雨量と洪水のことです。

日本はPMP、PMFを採用していません。
日本の横には太平洋があります。
それが何を意味するのかというと
雨雲に対する水蒸気供給は∞という事です。

線状降水帯がもたらす豪雨
何日も降り続く前線性降雨
それに比べるとマシなのかと思っちゃいますが
実際は暴風に高潮がプラスされるので実被害は一番大きい台風性降雨
日本の国土を襲う豪雨には色々な降り方があるのです。

だから日本のダムは諸外国と違って『200年に一度の雨に対応出来る操作』
過去の降雨事例を元に、それをより大きくした数値で洪水を計算するのです。

台風性降雨と前線性降雨とPMPとPMF
これらをアピールしたかったのですが
番組の尺も、番組としての楽しさという点でも
豪雨災害に余りにもウェイトを置くのは…という判断があり(この判断は尤もだと思います)
豪雨体験ですべてを語って頂くことになったようです。

みつはし様が30mm/hでどんな感じになるかという
イメージしやすい説明をくださったのでそれで全部収まりました。


ホントは他にもミッションを用意していたのですが割愛せざるを得なくなり
最後に超難関の丹生川上神社上社の龍の玉を入手するという
極めて成功する確率の低いミッションが出てきました。

出演の方だけでなく、ロケチーム全員がチャレンジしたそうですが
全員撃沈したとか。
勿論、自分も持っていません。

番組を見て我こそはとチャレンジする方に
是非、おみくじで凶を引いて獲得していただきたいです。

最後にダム右岸のケーブルクレーン跡からダムを見下ろしていただきました。

クロベノエキと名前がついているように
ここに鎮座しているクレーン移動塔は富山県の関西電力・黒部ダム建設時に
現場で頑張っていた実物です。


黒部ダム建設の後、移動塔は真名川ダム建設現場が確保したかったのですが
先に大滝ダム建設現場が使用する約束をしていたので
アーチダム建設の後、重力式ダム建設を担った移動塔という事になります。


ダム建設で堤体を建設する機械は特別なものが多いので
あちこちのダム現場で融通することも多かったのです。

大滝ダム工事現場では
中国地方整備局の弥栄ダム
水資源機構の矢木沢ダム
九州地方整備局の松原&下筌ダム
関西電力の黒部ダムで建設に使った機械が働きました。

この場所で残っているのはクレーン移動塔だけになります。


ということで
BSよしもと ダムの時間~大滝ダム~
のメイキングに少し関わる小ネタを出してみました。

アキナのお二人の様子やみつはし様の説明を見聞きして
川上村と大滝ダムに足を運んでくださる方が増えたらとても嬉しいです。


南朝ファンの聖地もありますので。
長禄の変。