令和6年 早明浦ダム その1

2024/7/11 更新

早明浦ダムの再開発が始まっていると聞いて
見に行きたいなーと思っていた令和6年の春先。
取材を申し込み、やってきました四国です。


でも朝一番にやってきたのは豊稔池。
ちょっと雨が続いていたのでサイフォンから出ているかも~
と、思ってやってきましたら大当たり♪

全門からさらさら放流中。


横からみてこの水面が天端ギリギリなのが素敵なのです。


幸せ水位の豊稔池を満喫して早明浦ダムに移動します。


ぱらぱらと雨が残る中、到着しました早明浦ダムです。
右岸下流のでんぱつ様の発電所前道路から。


何故まずここに来たのかというと副ダムと減勢工の壁を
近くから撮影しておきたかったからです。


ここから見ると減勢工の横の壁にある嵩上げの痕跡が良く見えるのです。
ばっちり線が入っているので、どれだけ高くしたかが一目瞭然。


副ダムの下に水流を拡散させて勢いを殺す目的で設けられた
スロッテッドバケットブロックも横からの方がわかりやすい。


定番撮影ポイントの吉田橋から見たときには残念ながらガスっていました。


堤体の上流、土佐町役場近くに移動してきました。
ちょっとわかりにくい道を迷わないように慎重に進んでやってきたのは
早明浦ダム再生事業促進室です。

こちらでまず、再生事業についての説明を受けました。

そもそも
四国の帝王で最強の早明浦ダムが何故、再生事業を行うことになったのか。

確かに今はクレストゲートと利水補給のためのバルブ2条に水力発電ルートしかありません。

コンジットゲートやオリフィスゲートといった中低位標高からの放流設備がないのです。

なので早明浦ダムといえば渇水と戦うダムの代名詞でもありますが
水位が低くなっている時で、ゲート放流をして更に治水容量を開けておきたい場合でも
その手段がなく、クレストゲート越流高まで水が上がってくるのをひたすら待たねばならないのです。

治水を役目に持つダムであれば、コンジットゲートやオリフィスゲートは絶対に欲しい装備です。
それがあれば事前放流だって容易にできるからです。


早明浦ダムの右岸側に増設放流管が設けられることになりました。
とても鶴田チック♪

クレストゲートの減勢工と別に更に下流に増設分の減勢工ができるようです。


増設放流管の位置は堤体の中段付近です。
3億トン超の貯水池を持つ早明浦ダムでこの位置に放流設備があったら
効果は絶大です。

しかし、今まで、クレストゲートだけで数々の防災操作を行ってきた
水資源機構の管理ダムの中でも最強クラスの早明浦ダムがこの改造を
行うことになったきっかけはいつの災害だったのかが気になります。

それを問うと
答えは

 T0514

 Legend of SAMEURA

 早明浦の0-100

平成17年14号台風だったのです。


これは2005年(平成17年)台風14号のwebニュース記事です。

一晩で貯水率0%から100%に回復したのです。
早明浦ダムの貯水位の回復を香川のニュースがこんなにしっかり
取り上げてくれているあたりでお察しください状態。


この年、早明浦ダムはホントに雨が降らなくてすっからかんになってしまいました。
そこに台風14号がやってきて、とてつもない雨を降らせました。

早明浦ダムはこの台風でわずか1日で2億4800万m3もの水をため込みました。

こんな台風がもし
貯水池が空でない状態の時にやってきていたら…

この時の水資源機構の理事長が土木学会誌に寄稿した文にも
このことがはっきりと書かれていました。


空っぽだったから災害を防ぐことができたけれど
毎回このように運よく空っぽの時に台風が来るわけではないという事。

だから早明浦ダムには放流設備の増設が必要であるという事になったのです。