中筋川ダム堰堤改良工事 その1

2023/6/21 更新

渡川ダム統合管理事務所のホームページで
中筋川ダムの堰堤改良工事のお知らせがありました。


2008年に訪問した時の中筋川ダムの写真です。


中筋川ダム堰堤改良工事に伴うダム運用について 

中筋川ダムはゲートレスダムです。
オリフィスゲートを開閉し、非洪水期には水位を高く保ち
洪水期には水位を低く保つためにローラーゲートを持っていました。

ただ、これは防災操作の為のゲートではなく
あくまで利水容量を確保するための物で開度調節をしない
つまり、全開か全閉でしか運用していない物でした。


しとしと雨が降る中、中筋川ダムに到着しました。
とてもお久しぶり。


美しい段々。堤趾導流壁。
波返しの付いた減勢工の壁。
どこを見てもお洒落。


越流頂もぎりぎりまで段々。
とても個性的。


貯水位はそんなに高くなくて
むしろ、もっと水があってもいいのにな…というくらいだったので
しとしと降る雨が全然憎たらしくない。


EL67.0mでした。
しっかり降って幸せ水位になってほしい。


今回、堰堤改良工事が行われた部分を見てみます。


市松模様の水位標と真新しいスクリーン。
白白コンクリート。
ここが今回、改良工事が行われたところになります。


詳しい資料とダムカードをもらおうと、隣にある
渡川ダム統合管理事務所にお邪魔します。
中筋川ダムと横瀬川ダムの管理をしてくださっているところです。


玄関を入ってすぐ、大きなモニターで流れていた映像に足が止まりました。


いきなり知りたいことが動画で登場しました。


定点観測で、どの部分にどんな工事がどんな手順で進められたか
説明文付きでとてもわかりやすい。
これは良い。
素晴らしい♪


今回の堰堤改良工事についてまとめたものも映像の合間に見ることができました。


中筋川ダムは洪水調節を目的の一つにしている、ゲートレスで運用されているダムです。
ゲートレスオリフィスとゲートレスクレストで洪水を迎え討ちます。

貯水池側にローラゲートがありましたが、先ほど書いたとおり
止水ゲートで防災操作に使うものではありませんでした。


オリフィスは高さが違うところに設けられた二か所があり
非洪水期は低い方のオリフィスを閉めることで利水容量を増やします。
他のゲートレスの多目的ダムダムでもよく採用されている運用です。

高い方のオリフィスはゲートレスで通年、空いていますので
突然、季節外れの出水があっても対処できる仕様でした。

ゲートの他に発電を兼ねた利水放流管もあります。


ゲートレスオリフィス状態で洪水と戦っていた中筋川ダムですが
更に高度な、きめ細かい防災操作が望まれるようになったことで
既設オリフィスに開度調節可能なローラゲートを新しく装備することになったのです。


文字がつぶれているので詳しい内容は
渡川ダム統合管理事務所のホームページで公開されている
中筋川ダム堰堤改良工事でご覧ください。

右上にあるハイドログラフは
ゲートレスダムであれば必ずこの曲線を描きます。
放流量と流入量が交わるところが最大放流量。


ゲートレスダムでなく、防災操作をゲートで行うようになれば
ハイドログラフは全くの別物になります。

ゲートがある事で
・下流の水位を見て放流量を調節できる♪
・貯水池に余裕がある時は更に貯留(オーバーカット)することもできる♪
・後期放流の量もコントロールできる♪
・“洪水に達しない流水の貯留”だってできる♪
と、良いことづくめに見えますが
管理する方はものすごく大変になります。
今までダムにお任せで洪水調節・防災操作やっていたのに
神経擦り減らしてゲート操作しなくてはいけなくなるので…。・

河川管理施設構造令の後、ゲートレスダムのムーブメントがやってきて
管理者様の負担が減ったのですが、とんでもない雨の降り方が増えてきて
結局、更に高度な操作を要求されるようになっているこのごろです…。


映像で勉強した後、ダムカードをもらいに上の階に上がってきました。
こちらで記名してカードを頂きます。


そこにあったのは日本ダムアワード2018年イベント賞の記念盾。
工事中だった横瀬川ダムが受賞したトロフィーです。
統合管理所で展示されていたんですね。

可愛い台の上で周りを取り巻いているのは
横瀬川ダム絵本に出てくるキャラクターです。
この小さな空間だけ妙に可愛らしさマシマシ♪

ダムカードをもらいに来た人に
パッと目につく所に展示してもらって嬉しそう。