令和5年の三瀬谷ダム その1

2023/10/1 更新


盛暑の頃、三瀬谷ダムにやってきました。


訪問時は令和5年7号台風(T2307)襲来後の影響で
貯水池のお水は濁っていました。


天端を通っているだけで耳に届く水音。
放流しているのは間違いなし。


4門あるゲートは左岸からNo.1〜No.4でナンバリングされています。

今は使われ無くなりましたがフラッシュボードが付いているのが
No.1とNo.4のゲートです。


下流側を覗くとこんな感じで盛大に放流中でした。


下流に目をやると副ダムもないのに割と短い区間で
白波が落ち着き、滑らか水面が形成されているようです。

逆向きバッフルピア、こんなに効果があるとは。


比較として放流していない時の直下の様子です。

今、何トン放流しているのか川の防災情報で確認すると
220m3/sでした。
上流で雨が降ったんでしょうか。
前日の降雨とか調べずにやってきてしまったのでそこは分かりません。


右岸の発電所を見て
あの2004年台風21号(T0421)では5600m3/sで
発電所建屋の約半分の高さまで下流水位が上がったエピソードを思い出していました。


紀勢本線に列車が通ったけど
気づくのが遅かったのでちゃんと撮れず。

T0421では今見えている紀勢本線の橋のトラス下端まで
水位が上がった洪水痕跡があったそうです。
よく流されないで耐えてくれました。


220m3/s放流でバッフルピアが頑張っているのは凄くわかったのですが
肝心の頑張っている子たちの姿は全く見えませんでした。


しかし、減勢、めっちゃ効いてるぅぅ♪

拡散の役目を見事に果たして凄く綺麗に減勢しています。

国立国会図書館デジタルコレクションの発電水力 1967年11月号には

「本減勢工に用いられたバッフルピアーは,通常の上流面直立のものとは異り,
上流面を傾斜させているためにバッフルピアーに作用する同水圧は
かなり小さくなると考えられる。

此の減勢工のバッフルピアーは,むしろ歯形バケットに近いものであり
その目的は歯形バケットと同様に,高速射流を水中において三次元的に分岐させて
エルネギーを減殺しようとするものである」

と、設計の考え方が記されていました。


似たアングルで放流していない時の様子。
バッフルピア一つ一つの高さは3.3mもあるんですか
天端から見ている分には比較できるものがなくて高さがピンとこない。
でもすごく大きなブロックなのです。


訪問時はT2307襲来後、10日ほどが経過していましたが
こんなイベントが三瀬谷ダム湖で近日開催予定となっていました。

イベント中はゲート放流できません。
高めの水位で運用してダム湖利用イベントが安全に開催できるように
三瀬谷ダムは協力しているのです。

発電がお仕事なのにイベント協力もしなくてはなので大変ですね。