ダム工学会中部近畿ブロック with Dam☆Night2022

天竜川のJ POWER発電所 見学 その3


発電所の高い階から川の向こうの佐久間第二発電所を見ようとしましたが
身長が足りないせいでJR飯田線のトラス橋を撮ったみたいな写真になってしまいました。
撮りたいのは写真中央奥の山すそにある発電所です。


開閉所から電気を送りだす一番鉄塔が3基並んでいます。
中部方面の60Hz用が二基、東京方面の50Hzが1基だそうです。

佐久間発電所は50/60どちらでも発電できる発電機が4基あるのです。


発電所構内に入らせて頂きました。
ここのところ、地下発電所を続けて見ていたので
空の光が入ってくることがなんだか新鮮でした。
壁の柱のリベットが良い雰囲気を出しています。
リベット大好き。


こちらが水車の上部で、実際に電気を生み出す回転子が
格納されている部分になります。
水車があるのはもっと下の階です。


50/60どちらでも発電できます。
数字が少し違うのだなと改めて気づくなど。


これは敷地内の初代・電力所建屋の壁にあった佐久間発電所の諸元プレートです。

着工が昭和28年4月16日
発電開始が昭和31年4月23日
竣工が昭和31年10月15日

と記されていました。


主要土木工事は熊谷組様。
水車と発電機は日立製作所様と東京芝浦電気株式会社様の作品でした。

佐久間発電所見学の後、佐久間ダム見学が当初、スケジュールに
入っていたのですが、ちょっとこれはまずいのでは…
というくらいの土砂降りでダム見学は中止になってしまいました。
ぐすんぐすん。
やむなし。


そして本日の主役の新豊根発電所に向かっています。
ホントにひどい土砂降り。


発電所へのトンネルは岩盤がよいのか
掘削後に吹き付けモルタルのナチュラル仕様でした。


見上げるとアーチを描く屋根部分がまるで聖堂のような雰囲気ですが
ここは機材・機器の搬入路です。


新豊根発電所の構内です。


上池にあたる新豊根ダムと下池にあたる佐久間ダムの位置関係です。

新豊根ダムはほんとアクセス大変なので
この間にある山をぐるっと迂回するのが大変なので
水路だったら最短距離でこんなに近いのだなという妙な感想が湧いたりしました。


5基の発電機は50Hz専用機が2基、60Hz専用機が2基
そして50/60Hzどちらでも発電できるものが1基
(但し50Hzでの発電運転は揚水時の同期起動用として使用するときのみ)です。


こちらは60Hz用発電機の銘板です。
縦軸フランシス水車です。

新豊根発電所見学の前に見学していた揚水発電所では
デリア水車(可変式の羽根を持つポンプ水車)が選ばれていましたが
ここ、新豊根発電所ではフランシス水車が採用されています。

新豊根発電所は最大使用水量日本一の645m3/sというレコードホルダーです。
その出力と有効落差からフランシス型がベストという事で採用されているようでした。


水車の軸は凄く巨大でした。
さすが日本一のレコードホルダーの水車の軸。

東日本大震災の時、頑張って東に50Hzの電気を送りました。
佐久間発電所もがんばりました。
佐久間周波数変換所で60Hzを50Hzにして送りました。

揚水発電所のポンプアップは60Hzで行われました。
60Hzで揚水し50Hzで発電。
こんなすごいことができる揚水発電所
そしてこれだけの電気を造りだせるのは本当にここだけなのです。

同じ50Hzの発電所で融通するのではなく
60Hzからサポートできる事がどれだけ重要だったか
こんな素晴らしいシステムをご用意くださっていたからできたこと。

ありがたいという気持ちでいっぱいになりました。


土砂降りのためにダム見学を変更して佐久間電力館に移動しました。

諏訪湖を源流とする天竜川の中流から下流にかけての
でんぱつ様のダムと発電所が地図に描かれています。

貴重な展示物がある電力館ですが
最近、凄い展示物が追加されたという事でわくわく。


こちらの写真が新しく寄贈された写真資料になります。
なんと、これらの写真は米国から寄贈されたものでした。

佐久間ダムの建設には米国の土木建設業界で有数の大企業
アトキンソン社が全面的に協力してくれています。

工事の際にはアトキンソン社の副社長、現場所長、技師長以下
重機のオペレーターをふくめ45名もの社員が来日したとの事です。

その時に現場で撮った写真が寄贈されたのです。

経緯はアトキンソン社の社長の孫にあたる方が
アルバム、写真集を見つけて、どこの現場だろうかと
調べましたが、どうも米国のダムではなさそうであるという事で
調べていくうちに佐久間ダム工事現場であることがわかり
寄贈されるにいたったという事でした。

建設当時は妻子を伴って来日したエンジニアの方もいたようで
骨材プラントの近くに設けられたアトキンソン社の社宿舎には
プールも造られていたという写真もありました。

凄い史料です!!


こちらは高松宮様、高松宮妃殿下のダム工事現場御視察の様子です。
日付は昭和29年6月27日となっていました。

写真の左から2人目は高碕総裁でその後ろ左右には
米国のアトキンソン社の幹部がならんでいます。


B型鉄橋の写真もありました。
説明には「飯田線中部天竜駅からセメント貯蔵までの
工事用専用引込線橋梁工事(通称B型鉄橋)」
とありました。

工事用の専用ルートでしたか。
なので親柱の類が無かったのですね。
工事のあとは自動車が通れるように橋として整備され
今もしっかりと両岸を繋いで役目を果たしてくれています。

仮排水トンネルを常用洪水吐トンネルとする方法をはじめ
こういった無駄がない計画を見ると感動してしまうので
またまた佐久間ダムの凄いポイントを知ることができたという
喜びでに口元が緩みっぱなしになりました。


毎回、見とれてしまう建設中の模型。
普段水面下で見られない取水塔の下部もですが
右岸側の豊川用水取水口も必ずチェックしてほしいポイント。

佐久間ダムの貯水池の水は発電だけで使われているわけではないのです。
水資源機構のダムや頭首工、水路を経て渥美半島の先まで水が届いています。


佐久間電力館はダム建設時のクレーン走行路跡地に建てられました。
ダム竣工から20年目に造られたと聞いています。

電力館の中にあるこの岩盤は、佐久間ダムの基礎岩盤と同じ花崗岩です。
建設地点の堆積堰土砂を取り除き、岩盤をむき出しにしたときに
ハンマーでたたけば高い澄んだ金属音を発したという岩盤と同じ物です。

屋根に覆われ、風化しないよう守られており、電力館建設当時
「佐久間ダムがどのような岩盤の上に造られているかを見られるように」
というコンセプトで建物内にレイアウトされたものです。」

この花崗岩は1億2000万年前のもので間近に見られるのは珍しいし
展示物としてはとても貴重なものです。

貯水ダムにとって魂ともいえる岩盤の傍でダム建設写真を見ることができる
佐久間電力館はぜひ、足を運んでほしい資料館です。


生憎の荒天で、降雨状況に出水の体制に入るのではないかと
心配するくらいの降り方の中、貴重な見学をさせて頂きました。

高揚程純揚水と大河川の混合揚水の運用の違いや
実質的には上池も下池も多目的で利水要素を持っている揚水発電ダムであること
発電ダムでありながら一類のダムの縛りを超えて治水にも多大な貢献をしていること
発電ダムの排砂についてのこれからの道を示す対応を実施・計画していること

佐久間ダムと新豊根発電所、佐久間発電所
もっと勉強しなくてはという気持ちになった今回の見学でした。

お世話になりました電源開発 佐久間電力所の皆様、ありがとうございました。
大好きな佐久間ダム、また会いに来ます。