長安口ダム再開発 その3


まずは天端から直下を見下ろしたい。


左岸よりから見た減勢工です。

とにかく深い減勢工。
深くなっているのは河床を掘り下げたからではなく
壁を高くしたからです。


減勢工の擁壁の高さはこの左岸側で33.0m
右岸側で29.5mです。

高くした壁と山との間に白いコンクリートで覆われている平らな部分があり
もう一枚壁が立てられています。

減勢工の水位が上昇した時、この壁までは水が広がっていく
というデザインなのでここまでが減勢工なのだそうです。


長安口ダムの計画最大放流量は再開発で
計画最大放流量7400m3/sにもなりました。

竣工時のクレストゲート6門だけでは
最大放流能力が7007m3/sであり
計画最大放流量は5400m3/sだったようなので
大幅に能力増強されたことになります。

このとんでもない流量を安全に受け止めるべく
堤体下流の山が削られたりしないように
深い、というか高い壁の減勢工が設計されました。

また、クレストゲートからの放流の勢いを殺すために
新設のNo.7、No.8ゲートからの放流水を横からぶつけるという
減勢も計算されています。

また、右岸の新設ゲートからの水が山に飛んでいかないように
減勢工の右岸より左岸の方が壁が高くなっているのかと思います。


既設のクレストゲートは天端から愛でやすく上端に銘板が。
三菱重工様の作品です。


長安口ダムらしい黄色と黄緑に塗装された階段がお洒落な
新設ゲートの門構に到着。


まず探したのはやっぱりスペックが記された銘板。
固定ゲートと可動ゲートの銘板が並んでいます。

長安口ダムの新設ゲートの内、川側ゲートことNo.7ゲートは
「扉高 20.498m」なのですが
現場の銘板には「有効高19.998m」と書かれています。

この有効高で日本一なのが天竜川の船明ダムのローラーゲートです。
扉高、有効高、ともに20.0mなのです。


従いまして、このNo.7ゲートはなんと2mm差で有効高日本一ではないという。

で、でもっ
扉高は49.8mm大きいよっ
日本一だよっ

と、フォローを入れたくなるのですが船明ダムもこのNo.7ゲートも
IHI様の作品という事で、自社内で日本一はどっちだという話になるという。

この2mmがゲートにとってはとても大きな数値なんだ
と教えてくださっているようです。


写真上半分ののっぺりしている部分が固定ゲートになります。
ここだけで幅10.0m×高さ6.5mという大きさです。
その下に見えているのが可動ゲートの上端になります。

今回、再開発で増設されたゲートは
ゲートの位置だけで横から見ていくとクレストゲートが増設されたようにも
見えてしまうのですが

設計水深は26.0mにも達しています。

オリフィスゲートに該当するぎりぎりの深さですし
そもそもすごく縦に長いゲートなので扉体にかかる水圧が
ゲート上部とゲート下部で全然違います。

つまり高圧クレストゲートってことですね。
ものすごく難しいゲートです。
スタンダードな分類でこのゲートを語ることは不可能。

IHI様も仰っている通り
「クレストゲートとはいえ高圧ゲートの仲間入りをするものである」
のは間違いないので。


新設ゲート2門から放流された水が進むルートを確認。
これだけ高い導流壁が必要なのも納得です。


導流壁の外側に管理通路と階段がありますが立ち入り禁止でした。


でも不思議な造形だったので写真は撮る。


昔あった展望台へのルートを使いつつ
新しく作られた展望台への階段なのかなと
古い記憶を断片的に思い出しながら登っていきます。


どんどん登って到着しました。右岸の新設展望台です。


いい感じで堤体が見えました。


不思議な造形の堤体と導流壁と減勢工の新しいコンクリート。

高くなった減勢工の外側、山との間はCSGだそうです。
現場発生材を利用しているのでとてもよい。


新設ゲートの導流壁と新しい減勢工。
ペパーミントグリーンの水面と既設堤体。
減勢工左岸の壁には昔の導流壁から減勢工に続いていたコンクリートの壁が
美しい曲線をそのままに取り込まれていました。

魔改造といわれた再開発が終わった長安口ダム。
工事が終わって、とても見所の多いダムになりました。

那賀川流域には素敵なダムが他にもありますが
やっぱり総合開発の中核だった長安口ダムの存在感は別格だなと
感じた長安口ダム再開発魔改造見学でした。