令和2年 瀬戸石ダム 見学 その3


洪水時の様子について一通り説明を受けた後、堤体の見学をさせて頂きました。


まずはゲート支柱を上らせて頂きます。
高いところから全景を見られるように。


巻揚機のある高さまで上ってきました。


左岸上流側を見たところです。
下に見える屋根は予備電源室、修理工場、その向こうにダム管理所。
更に奥に川のとっとっと館、管理所の皆様が避難された高台です。


発電所の取水口です。
普段の貯水位では顔を見せることがない
川底から立ち上がっている沈砂池の壁が見えています。

手前が取水口のスクリーンになります。


反対側、発電所を真上から見下ろしたところです。
天蓋が少しだけ開いています。


発電所の向こうにちらっと見えているのが魚道の明り部の折り返しです。
今は貯水位が越流部と同じ高さなので魚道に水は流れていません。


巻揚機はローラーゲートらしく巨大です。


堤体の中央付近から見た左岸の様子です。
現在の水位がゲートの越流高なので
常時満水位から14.0mくらい下がっている事になります


そして上から見た天端の管理橋です。

横から見るとすっごくずれているように見えるけど
上から見たらそんなにずれていないように見えるので
センセーショナルに撮りたい人が横からずれを強調して撮ったというのが
よくわかる。
人出が少ないのを多く見せる為に圧縮させて取る手法と同じ。


巻揚機のレベルから天端に降りてきました。


比較に10年前に来た時の写真です。
ほとんど変わったところは見えません。

桁がずれた事をダムが破損したと喚いて衆目を集めようとする輩には
ダムがどれだけ堅牢な構造物であるかをまず知った方がいいと言いたいです。


天端を通っている時にちょうどタンク車が右岸に渡って行きました。
運転上手〜♪
もともと高欄の幅を考えたらぎりぎりですが桁がずれていても
すーっと進んでいかれました。
慣れておられる。

こんな大きな車両もちゃんと渡れます。
強度に問題なし。

大切なのはこの管理橋が被災後の球磨川でこの地点で
大切な橋として両岸をつないでくれている事です。


球磨川で落ちた橋と道路の復旧についてのプレスリリース
です。

瀬戸石ダムの上流、約9kmの所にあった神瀬橋が落橋しその上流にある大野大橋は無事でした。
ダムの下流、約3.5kmの所にあった鎌瀬橋が落橋しその下流の葉木橋は無事でした。
瀬戸石ダムが橋としての機能を残しているために葉木橋から大野大橋までの約20kmの
中間地点で両岸が繋がれていることになります。


押されてずれた桁でへしゃげた梯子。


天端中央付近から右岸を見たところです。
ピアの間に一つずつ桁が載っている単純桁構造です。

全部の桁で左岸側が押されて下流側にずれています。
固定支承は水平方向に拘束するものですから
可動支承側が押されたのかと見ていて思いました。


見学の最後に発電機室を見せて頂きました。
天蓋が少し開いているので光が差し込んでいました。


左岸のアバットメントにある説明図です。
現在地は配電盤室。
そこから発電機室を見下ろしています。


流入したであろう土砂は取り除かれて
高所作業車も入って作業はどんどん進んでいます。

災害で被災した水力発電所は各地にたくさんあります。

 平成7年の黒部川豪雨災害で土砂に埋もれた猫又堰堤と水没した黒部川第二発電所

 平成16年台風21号による出水で天端越流、発電所浸水した三瀬谷ダムと発電所

 平成23年の紀伊半島大水害で建屋が丸ごと水車も何もかも流失した長殿発電所

今までに見てきたことのある水害で被災した発電所がいくつも思い浮かびました。

そしてそれらの水力発電所はみんな復活しています。
復旧工事期間の差はあれどみんな再び電気を生み出すために復活しています。


左岸の発電所模式図の横にある瀬戸石発電所の説明文です。

球磨川の豊富な水を電気に変える

ここで生まれた電気が地域の人に届く

瀬戸石発電所の仕事は災害復旧工事が終われば
また再開できるのです


今はお休みしています。

又働くために。

今はゲートを開けたままにしています。

ダムとしての機能は健全です。

一日でも早く発電を開始できる日のために
多くの人が発電所の復興を進めてくれている
令和2年の冬を迎えた瀬戸石ダムと瀬戸石発電所でした。

復旧工事でお忙しい中、見学をさせてくださった
でんぱつの皆様にお礼申し上げます。

みんな応援してます。
復旧工事が滞りなく進みますように。
どうぞご安全に!!