令和2年 瀬戸石ダム 見学 その1

2021/1/21 更新

令和2年の秋も深まった頃、お世話になっているでんぱつ(電源開発株式会社)様の
中の人からメールが届きました。

「瀬戸石ダムに来ていただけませんか」

メールの文面を二度見、三度見、読み上げ確認して間違いがないことを
理解して、即、返信。

数日前に今年初めての長期休暇の日程を固め、その休みで
球磨川にある九州電力様の内谷&油谷ダムの揚水発電ペアを
見学させてもらえないかといつもお世話になっている九州電力の
中の人に相談させてもらっていたところだったので
慌ててそちらにも連絡。

見学行程を九州電力様とでんぱつ様がさくさくっと組んでくださったので
次はダム仲間に連絡。

何故呼ばれたのかという理由を考えると
私一人では荷が重いというか、成果を出せない事が予測出来たので
日本一のダムファン、土木系you tuberの萩原雅紀様に
「来て欲しいです」とお願いし
SNSの発信力で定評のある星野夕陽様には
「当然、来るよね? 来ないという選択肢ないし!!」
と協力を求めました。 ↑ひどい

全方向から快諾を頂き準備万端で熊本入りしました。

◆ ◆


鹿の国から新大阪に出て、さくらちゃんに乗って快適に熊本入り。
新八代駅前で集合し、一路ダムへ。

九州電力様の内谷&油谷ダムペアと瀬戸石ダムの位置関係はこんな感じ。


令和2年7月豪雨後の地元紙の記事です。
被災直後の写真が掲載されていました。


この部分では電発様のコメントと共に、事実だけ書いてあるので
なにも否定するところはありません。

しかし、天端の管理橋がずれた写真を撮りに
わざわざ被災直後に現地入りして
ダム決壊危機だの証拠写真だのと土木・建築に明るくない人が
センセーショナルにかき立てた記事などもwebに出回りました。


記事が出た翌日か翌々日にはでんぱつ様から公式プレスリリースがあり
SNSをしているダム仲間も一斉に
記事が誤りであることを発信してくれました。


その後、令和2年7月球磨川豪雨検証委員会で公開された資料に対しても
ダム反対で憂さを晴らしたりご飯を食べている人には都合が悪い事実が
書かれていると知ると、専門知をバカにする事こそ正しいとばかりに
エビデンスの無いことを延々と喚き散らしている人もいる事が分かりました。

周囲から呆れられて相手にされていないのに
反論がないのは自分の言う事が正しいからだと御満悦の人もいます。
それで精神衛生を保っているなら勝手にしたらいいです。
専門知を否定する脳の人と分かりあえると思いませんし。

ダム愛好家がダムに瑕疵がないことをデータで確認するのもこっちの勝手です。

◆ ◆


揚水発電で大活躍の大平発電所を見せて頂いた後
球磨川沿いに上流に向かいます。

見上げると頭のはるか上の高さの線路にまで
洪水で押し寄せた流木と流塵が残っていました。


球磨川にかかる大きな橋もこれでよく落ちなかったなというくらい
桁に流木と流塵が突き刺さっていました。
ホントに橋が落ちなくてよかった。
橋が落ちたら復興にどれだけ影響があるか…。


瀬戸石ダムへの道中、荒瀬ダム跡地の横を通りました。
跡形もなくなった荒瀬ダム。
でも、天端の親柱だけは綺麗に補修されて残っていました。

最初はこの親柱も撤去される予定だったと聞きました。
林田技師の名前と一緒にここに残った事が嬉しいです。


ニュースで何度も流れた球磨川第一橋梁のトラス部分です。
落ちている橋を見るととても気持ちが沈みます。
両岸をつないでくれていたものが断ち切られた感が強いので。


日が陰って気温が著しく下がり出した頃
瀬戸石ダムに到着しました。

4門のローラーゲートが全開です。
左岸側の1門だけは閉め切られていますが
これは左岸側で行われている工事現場を守るためかと思われます。
ゲートの開閉に影響がないことがここからも分かります。


天端は通行可能です。
堅牢な堤体はゲートの開閉も含め健全です。


流域では鉄道橋以外にもいくつもの道路橋が落ちています。
瀬戸石ダムの天端橋梁は大切な地域の人の道として
災害後もこのように活躍しています。


車で天端を渡ります。

フロントガラス越しに見る天端です。
ゲートピアに架かる桁橋ですので桁部分がずれています。
ずれが大きい所にはコーンが立てられていました。

構造的に桁をピアに乗せて固定している桁橋ですから
ずれているだけです。


左岸側の駐車場に車を停めてまずは全体を見せてもらいます。


発電所の放水口で堆積した土砂をポンプを使って
移動させる作業が行われていました。
川の水と堆積土砂を9:1くらいにしてポンプでくみ上げ
放水口付近から砂を除去しているそうです。


道路横のコンクリートの壁で赤線を引いてある高さまで
球磨川の水位が上がったそうです。
現在地ダムより下流ですからダムで堰上げされての水位ではないです。


令和2年7月豪雨対応の工事で
期間は令和3年2月末までです。

その後、発電所の水車等の清掃とか
発電再開までの道のりは遠いですが着々と進んでいます。