鶴田ダム再開発事業 その2


右岸の天端レベルに上がってきました。

真新しいPR館が建っています。
川内川大鶴ゆうゆう館です。
平成18年7月豪雨災害や鶴田ダムの歴史、再開発概要
そして電源開発様の発電事業などを学ぶことができる上に
併設されたフードスペースでご飯も食べられるという素敵な施設。

本日は見学会と勉強会を企画してもらっています。

参加メンバーがみんな大鶴湖の曽木の滝発電所遺構を見学した後
お昼御飯を食べるためにこちらにお越しなっていました。


壁にメニューが。
ほぼ、みんな同じものを注文した様子。


それがこれ。
ダムチャー(再開発中)ことダムチャーハン。
凄く安い!!  
しかも量が多くてギブアップして周囲にサポートを求めた人もいた。
これは名物になってほしいな。


平成18年7月豪雨による被害を詳細なデータで紹介しています。
これを見ているとあの日、とんでもない報道をした
某民放のワイドショーの無責任さを思い出して怒りがわいてきます。

同時に、新聞社のヘリが上空を旋回して撮影していた
鶴田ダムの映像を思い出して泣きそうになります。


驚いたのはこちらの操作卓展示。
平成18年7月豪雨時に管理所にあったものでしょう。
操作ボタンは音がなりますと書かれていたので押すのをためらいましたが
あの操作時の音が鳴るんだろうなと思ってみていました。


コンクリートのコアも展示されていました。

鶴田ダムの再開発工事で特徴的なのは大規模再開発という点もですが
貯水したままで堤体に新設洪水吐をはじめ様々な増設工事を行ったことです。
ダム湖をからっぽにして工事ができたら安全だし
工事も早く進むこと間違いないわけですが
鶴田ダムはたくさんのお仕事を抱えています。

それを工事期間中全部お休みにすることはできませんでした。
なのでダムとして仕事を続けながらの工事ということで
たくさんの新技術が投入されているのです。

そういう新技術についてもこの川内川大鶴ゆうゆう館では勉強することができます。


いくつか模型もあった中で気になったのはダム湖上流の曽木の滝の模型でした。
2010年に来た時にはまだ建設途中だった橋ももう架かっていますし
何を示した模型なのかなと思ってまじまじと見てみると
なんと左岸側に放水路が増設されていました。

景観に配慮して曽木の滝地点の流下能力を高めていたのです。

これについて国交省のOBの方にお聞きしたところ
曽木の滝地点の流下能力は見た目よりずっと少ないようなのです。
現地で見ると広い川幅ですごく流下能力高そうに見えるんですが
結局滝のすぐ下流で川幅が狭くなっているので狭窄部が形成されている状態。

平成18年7月豪雨のときに上流の浸水被害は
曽木の滝地点で水が吐けなかったことに関係しているということで
ここにも工事が行われていたことをこの模型は示していたのでした。


展示の説明を見たあと、堤体に移動します。


コンクリートの色も違うしデザインが旧堤体と全くコンセプトが違うために
完全に浮いているこの四角いものは
新設洪水吐の制水ゲートの巻揚機を格納しているゲート室だそうです。


昔の鶴田ダムと今の鶴田ダム。
こんなに姿が変わりました。


貯水したままで堤体に穴をあける新設洪水吐や新設発電管の
工事の進め方についてのパネルです。


再開発事業で旧堤体がこれだけパワーアップしました。


旧堤体の洪水吐の直下、副ダムの形状も変更になり高さはぐんと高くなりました。
新設洪水吐と減勢池、水路が右岸の山にがっちりと着けられました。


平成18年7月豪雨時のニュース映像で一番気になっていたところ。
クレストゲートからの放流映像で一番心配していたところ。
それが旧・鶴田ダムの副ダムの形状でした。

今では当たり前になっている上流面が鉛直の副ダムの形状。
鶴田ダムや美和ダムでは上流面が鉛直ではなかったのです。
この時期に竣工したいくつかのダムでこの副ダムのデザインは採用されていました。

平時の放流では影響は少なかったと思いますが
異常洪水時では話が違いました。

常用洪水吐、非常用洪水吐からの大量の放流は
この減成工で前に飛んだのです。
鶴田ダムの副ダムは過渡期の珍しいデザインであったのです。