大滝ダム 試験湛水 その2


1号クレストゲートから見下ろしたところです。
元気一杯、利水放流バルブ2条から放流中。


大滝ダムのクレストゲートの詳細なスペックです。
国内初油圧シリンダー直吊式ラジアルゲート。
巻上機の類がない為、外観は非常にすっきりしています。



そして減勢工の横に並ぶのはただの飾りの穴ではありません。
これを持っているのは三重県の国土交通省・蓮ダムとこの大滝ダムだけという
放流設備です。


正式名称は計画水位維持放流設備といいます。


「計画水位維持放流設備は、小洪水時にダム湖の水位を計画された所定の水位
(常時満水位、第一期制限水位、第二期制限水位)に保つことを目的とした設備です。
規模の大きな常用放流設備では微小開度による細かな流量調整(約100m3/s以下)
が難しく、また利水放流設備は、放流能力が35m3/sしかありません。
そこで80m3/sの能力を持つ計画水位放流設備が、利水放流設備と常用放流設備(上段)
の間をつなぐ役目を果たし、小洪水を処理します。」
と、説明書がありました。

常用洪水吐であるコンジットゲートは大きいため、ちょっとだけ放流するという事が難しいので
小さな洪水のときにはコンジットゲートを動かさず、この計画水位維持放流設備の方で対処しようという事です。
80t/sまで対応できるんですね。


ちなみに工事が完成した直後の計画水位維持放流設備はこんなデザインでした。
現在のものより放流口が狭かったのです。
試験をすると、あまり良い効果がでなかったようで拡大されました。


そして通常、河川に水を供給する仕事を担うのが今勢いよく出ている利水放流設備です。
下流に新築された関西電力・大滝発電所の水もここから分岐しています。


減勢工に放流するのは利水放流用と小放流用の二条のバルブです。


そして利水放流管に繋がるのが選択取水設備です。


下流に流す水はダム湖に溜っている水なら何でもよいというわけではありません。

大雨の後にはダムの水は濁ります。
この濁った水を流すとアユなどの清流を好む魚にはダメージがあります。
濁りのない深さの水を選んで出すことでこれを回避できます。

また、水田に水を取り入れるときに水温が低いと稲の生育に影響が出ます。
ダム湖のたまった水は深いところほど水温が低く灌漑用には表層の温かい水が必要です。

必要な水を量だけで考えず、質まで考えて供給するために頑張るのがこの選択取水設備です。


これは2008年に見学させていただいた選択取水設備の内部です。
あまりにも美しい空間に我を忘れて写真を撮ってしまいました。


そして常用洪水吐設備です。
大滝ダムには上段に1門、下段に2門、合計3門のコンジットゲートを備えています。


何で上下2段に分けているかというと放流量がメインですが水質も重視しています。


2008年にTVロケで見せていただいたコンジットゲートご近影です。
ピッカピカでした。


ゲートはさらにありましてこれは高圧ラジアルゲートである
常用洪水吐の点検などで使用するコースターゲートです。


コースターゲートと上下段コンジットゲートの呑口は試験湛水前によく見ることができました。