亀の瀬地すべり 見学 その4


2班に分かれて見学会スタートです。


自分のいた班はまず、土砂災害についての基本を学ぶスライドから。
「みんなで防ごう土砂災害 in 亀の瀬」。


報道でもよく勘違い表現が出回りますが
土石流と崖崩れと地滑りは違うんです。

土石流は山腹、川底の土砂や石が長雨や集中豪雨で一気に下流へ押し流される現象。
すごく早いので逃げるのも大変というかほぼ無理では?と感じます。
(最近の事例 2014年8月 広島市安佐南区安佐北区 平成26年8月豪雨災害)

崖崩れは地中にしみ込んだ水が土の抵抗力を弱め、雨や地震などの影響で急激に斜面が崩れ落ちる現象。
突然起きるのでしかも落下なので恐ろしい早さだし逃げようがない。
(最近の事例 2013年4月 浜松市春野茶畑崩落)

地すべりは斜面の一部あるいは全部が地下水の影響と重力によってゆっくりと斜面下方に移動する現象。
ゆっくりだけど止まらない。面積が凄く大きいことが多い。

T0514で九電様の塚原ダム(宮崎県 耳川)下流の野々尾地区で発生した
大規模な深層崩壊なんかはこれらの区分でいうと速さでいえば
崖崩れの速度だし移動した土砂の量でいえば地すべりだし
何というか山がそのまま落ちてきたような状態で河道閉塞起こしたわけですから
この三つの区分は代表的なものとして知っておくものですね。


基本をたくさん分かりやすく教えてもらえるスライドで喜んでいたのですが
最後の方で説明されたこの土砂災害警戒区域については
ちょっと本気で食いついて質問もしてしまいました。

土砂災害警戒区域と土砂災害特別警戒区域
そこに住宅を建てることについて規制していかないと
スプロール現象で拡大し続けた市街地の端、山際の急傾斜地で
平成26年8月豪雨災害の広島市のような悲しいことがまた起きると思うので。

しかし、これらの場所について、建物を建てるなという規制はできないんだそうです。
土地は個人の財産なので販売する自由があるからだそうです。

でも災害リスクの高い場所について、ただ、注意喚起するだけではなく
警戒区域については土砂災害リスクがあることを
きちんと売る時に説明しなくてはならないという縛りができました。
特別警戒区域に至っては災害対策工を施すようにという縛りができました。

単純に危険だからと規制できないこの問題はやっぱり難しいです。


そして現場見学に向かいます。
突然ですが見学順序が入れ替わりまして
最初に工事中に見つかった旧・鉄道トンネルの遺構を見る事になりました。


坑口には工事の内容と緒元が記されたプレートです。
NATMで造られたと書いてありました。


工事を進めている時に偶然見つかった旧・関西本線の隧道です。
安全性を厳重に確認していただいた後に
文化財指定を受けこうして残されることになりました。


今回の見学ツアー、途中で参加者に質問がありました。

「この旧・関西本線のトンネル見学がお目当てで参加した方〜」

この質問に、うちの班では私とtakane様以外の全員が手を挙げられたという…。
残念だーっ。
残念だよーーーーっ。
集水井見たくて来た人おらんのねー。


現場で説明をくださる地元柏原市の方の熱の入ったお話にお客さんとても喜ぶ。
イギリス積みの煉瓦にも興味がわいたようでとても喜ばしい。

煉瓦の積みを知っている人には
フランドル積みもイギリス積みもフランス積みも見分けられるけど
知らない人がイメージしやすいようにレゴか何かで積みを上から見た図とか
造っておいたら分かりやすいかも。
なんでイギリス積みがこれだけ日本で普及したか分かってもらえると思います。
一番堅牢な煉瓦の積み方だったからだけど。


奥は天井が崩れてしまっているので先には進めませんが
ここで発掘された煉瓦とかレールとか犬釘とかは一部、現場で展示されていました。


説明板もちゃんとあります。
電気来ていますのでバックライト点灯すればちゃんと読めます。


鉄道トンネルを造った後に地滑りでとても困った関西本線。

地滑りが起きてトンネルが圧壊した後
現在のルートに変更されました。
大和川の右岸から左岸に渡り、亀の瀬を迂回してまた右岸に戻っています。


現場で説明を受けてわーっとなったのがこれです。

当時の朝日新聞が現場のイラスト付きで地滑りを大々的に記事にしたので
そのあとに被災地見学ブームが起きて絵ハガキも出るし
もう大変な観光地になってしまった亀の瀬地すべり。

でも結局崖崩れや土石流でなく地すべりだから起きたことなんだと思います。
ゆっくり動く地すべりだから見にいこうという人が殺到したのでしょう。
土石流を見に行こうという人は落ち着けといいたい。