徳山発電所建設工事遠景 その5
徳山ダムの堤体工事の資料を見せていただくために管理所へ行きました。
事前にアポを取っていたので。
そして管理所に行ったらダムカードも忘れずにもらう。

これは古い徳山ダムのパンフレットのCGなんですが
今の堤体と違うところがあります。
それは洪水吐の形状です。
徳山ダムの洪水吐は
横越流式+ラジアルゲート4門(クレスト)+ラジアルゲート2門(オリフィス)
>>フラップゲート2門+ラジアルゲート4門(クレスト)+ラジアルゲート2門(オリフィス)
>>ラジアルゲート4門(クレスト)+ラジアルゲート2門(オリフィス)
と、計画が変更になってきたのです。
上のCGはフラップゲートが計画されていた時のものです。
異様にカッコいい。
フラップゲートといえば阿木川ダムや寒河江ダム。
ほぼ同時期竣工なのでどちらが日本で最初のクレスト フラップゲートなのか
気になって電話でお聞きしたことがあります。
数か月の差で寒河江でした。
パッとこのCGを見て自分が思ったのはカッコいいだけではなく
“これ・・凄い水が暴れそうなデザインだな”
という事でした。
越流水深にもよりますがこれだけの幅広がしゅっと窄まっているのが
漸縮型堤体導流壁の考え方と同じでたくさんの水が出た時に凄い波が起きるだろうと思われたのです。
これで行くなら凄い幅の波返しと高〜い導流壁が必要になるのではないかと。
越流水深と漸縮型堤体導流壁については百谷ダムのレポート内で素人なりに解説していますので
わかりにくーいという方はご覧になってください。
それでも分かりにくかったら私の説明が下手なせいですのですいません。
で、結局、フラップゲート案は予算その他の理由で没になり
現在の常用洪水吐4門+非常用洪水吐2門というつくりになりました。

しかし、洪水吐きの設計というのはゲートとゲートピアだけで決まるものではないらしい。
当日、ダムの中の人にお聞きしたところ、こういう呑口部分もとても重要なんだそうです。
水理模型実験を重ねてこの形が決まっていくのですが
水ってシンプルに高いところから低い所に流れていくだけじゃないんだと
ボリューム高いほうから低いほうへ押していくのも通り一遍じゃなく
難しいものなんだと感じることしきりでした。
お昼ごはんは徳山会館で地獄うどんにしました。
名前と違ってとってもお上品。
てんぷら美味しい。
鯖の水煮は初体験(骨まで軟らかだった…)

天端左岸よりの部分から見下ろしたところです。
堤体の下流面にも秋の気配。

いや、注目したいのは秋の気配ではなくこの美しい成型リップラップです。
ずーと下まで滑らかに続くこの美しい成型。

御母衣ダムのようにごろごろ巨石がのっかているだけでもロック材としての役割、仕事は果たせます。
でもこんなに美しく仕上げてもらいました。
これができる職人技というものがずっと気になっていたのですが
工事中の写真を集めたパンフレットに工事の様子が載っていました。

施工されたのは熊谷組だそうです。
なぜ、積んでおくだけでよい所にもこれだけの愛を注いでくれたのか。
それはダム堤体というものに対する気合いと愛があったからでしょう。
たくさんの人が訪れる徳山ダム
GWには大渋滞
地元の鉄道と専用バスのツアーもできて
観光名所となった徳山ダム
工事中にも
今のこの大人気の徳山ダムの姿がきっと
オペレーターの方の脳裏にあったのかもしれません。
自分の技術で美しいダムを作りたい
たくさんの人に愛でてもらえるリップラップにしたい
たくさんの人が来てくれる時に綺麗な顔を見てもらいたい
そんな気合いと愛のこめられた成型リップラップ。

そしてこれだけの斜面を機械だけではなく人力で
美しく見せるためにひとつひとつ人力で作業が進められたのです。
ダムはあまりにも大きく、大型重機が活躍する現場というイメージがあるかもしれません。
しかし人の力で作業する部分はとてもたくさんあります。
話に聞く岩盤磨きなど気の遠くなる作業です。
こうしてたくさんの人の心がこめられて今の美しい堤体ができていたのです。