高瀬鉱山見学 その5


もう一つ上の段に行こうとしましたが足元が危なすぎます。
そこここに朽ちた材木と穴があって怪しい感触が足の裏に伝わります。

もう一回落ちたら洒落にならない...。


進める所まで進んで周囲を見回しますが場内に鉱石は全然ありませんでした。


トタンとそれを支える朽ちた柱や梁は台風の度に壊れていっているのでは
と思う崩れっぷりです。


錆び錆びのコンベアもちょっと触ったら崩れるのではと思うほどです。


結局これ以上、上の段には上がれませんでした。
残念ですが仕方ありません。

てくてく歩いて車まで山道を下ります。


往きには気づかなかった鉱水を溜める水路と水槽がありました。
小屋が上に作ってあって、水音に惹かれて近づくと吃驚するほど
透明でアクアマリンのように透き通った水が一杯に流れ出していました。
あまりの綺麗さに飲みたくなりましたがかすかな理性で思い留まります。

もと来た道を帰る途中、集落の端で先ほど道を教えてくださった方が
近所の方とお話をして立っていました。車を停めてご挨拶します。

「さっきは有難うございました。無事に辿り着けました。」
「石取れた?」
「あんまりいいの採れなかったです。」 私が採ってきた石を見せました

「こんなのだめだめ!本物はこんな物と違う!」

いきなり納屋の横からその方は蜘蛛の巣だらけのこぶし大の石を
もって来られました。

「本物はこういう奴。」

手渡された石はずっしり重たく、埃にまみれていても黒光りしていました。
それは私が探していた灰クロム柘榴石ではなく、クロム鉄鉱原石でした。

「この人、鉱山で働いていたからプロですよ」 と横の方が笑って教えてくれます。

「それあげるよ」 と持ち主の方が仰いました。

吃驚仰天!言葉は辞退しようとしますが手は石を握りしめていました。
お礼にと明延鉱山で採ってきていた黄銅鉱をお分けしようと思って
差し出しましたがその方は「いやいや欲しい人が持ってるほうが良い」と
受け取られませんでした。

地元の方の親切な対応で無事(?)に帰途につく事が出来ました。
重ね重ねお礼を述べて私は高瀬鉱山を後にしました。