白石鉱山見学 その1

校庭で運動会の時に白線をひきました。斜めにしてころころ転がすと
一定の幅で石灰が出てくるあの機械の名前は知りません。
「白線ローラー」とか、「線引き」なんて呼んでました。

手につくとかさかさになりました。水を含むとねばねばになったりしました。
袋の中の石灰は真っ白できめ細かでその白さは人工的な美しさでした。

石灰はあまりにも身近にあります。いろんな所で需要が多いので
鉱山が消えていく中でもかろうじて生き残ってきた部門のようです。
その石灰も海外からの安い鉱石に押されて次々に閉山してきました。

昭和40年代に閉山した白石鉱山は石灰岩の多い土地にありました。
周囲にはまだ現役の鉱山がたくさんあります。以前、白石鉱山に行こう
として、現役のTセメントに間違って堂々と侵入して、不審な目を向けられ
砕石現場でUターンしました。調査不足を実感した出来事でした。

今回はいくつか候補があった中で一番行きやすいところという事で距離で
選びました。片道140km。これなら余裕の距離です。一日の休みでも
ぷらっと行く事ができます。仕事が終わった夜中にこそこそと車に乗り込み
東を目指しました。


現場到着は真っ暗な3時40分。かなりゆっくり走ってきたというのに
時間があまりすぎました。路肩に雪がシャーベットのように残っています。
ヘッドライトの中に白石鉱業の倉庫群が照らされていますが目を凝らすと
ものすごい潅木と蔦に侵食されています。明るくなってからでないと危険だ
とそのまま仮眠する事にしました。

車を停めた場所は道路の横に広げられた造成地で先客が居ました。
小奇麗なワゴン車が一台停車していました。エンジンは切られていますが
窓は曇っておらず、車内に人は居ません。多分、間違いなく鉱山に入って
いるのです。吃驚させたらいけないなと、私はとっとと施設を照らしていた
ライトを消しました。

真っ暗な中、懐中電灯が三つ鉱山施設のほうから戻ってくるのが見えました。
真夜中にこういう場所に来ている人は私だけじゃありません。
ただ、私は日が上ってから入ろうとしただけで、先客は真っ暗な時間に入った
だけです。写真撮るなら日が上がってからのほうが良いのですから肝試しか
何かなのでしょう。

吃驚させてしまったのか、先客三人はこちらを伺いながら足早に車に乗り
込み、そろそろと車を出して去ってしまいました。不審なのはお互い様です。
そんなに慌てて引き上げなくても....。別に赤色灯がついている車両と
いうわけではないのですから。とりあえず私は車中で仮眠です。


朝日の気配がし始めた6時30分。青い空気の中に建物の線が浮かび始め
ました。山を見上げれば白石鉱山の看板サイロが露天掘りの断崖を背景に
そびえています。


車を停めた場所から鉱山の間には川が流れています。橋を探しました。
そして潅木とススキが生い茂る小さい橋を見つけてガサガサと進みました。
ここを渡りきるだけで枝に顔を叩かれ、転び、イバラの枝で指を刺し..。

 
とにかく潅木が凄いのです。ススキとか草なら何とかなりますが人くらいの
背丈の細い木がバリケードのごとく群生しています。ようやく端っこの建物
に到達しました。