中竜鉱山跡〜 面草鉱滓堆積ダム 見学 その1

2006年11月30日に閉園したアドベンチャーランド中竜。
福井県大野市和泉村にある中竜鉱山の跡地を利用して作られた
鉱山についての勉強ができるテーマパークでした。

昭和62年に中竜鉱山は閉山しました。

中竜鉱山には坑口、坑道、選鉱場、社宅
鉱山会社の福利厚生施設などが残っていました。

アドベンチャーランド中竜が操業していた頃には
まだ選鉱場や社宅などは残っていましたが
閉園を前に下平成18年にそれも撤去されました。

閉園の日に訪れ、冬を迎えるアドベンチャーランド中竜を見送りました。

豪雪地帯にあったため営業しているときでも冬はずっと閉ざされていました。
毎年、春になったら営業していたことを思い
閉園してしまいましたが冬を越したら行こうと決めていました。


中竜鉱山に向かう道でちらほらと桜が咲き始めていました。
これは電源開発の鷲ダムです。
中竜に向かう途中、国道からは九頭竜ダムと鷲ダムを見ることができます。


通い慣れた道を走り、アドベンチャーランド中竜の駐車場に到着です。
まだ看板と建物は残っていました。

閉鎖された建物。

ここにあった資料はどこに行ったのでしょう。

貴重な資料がたくさんありました。
手作りの説明板がありました。
ここで鉱山についてたくさん勉強できました。

貴重な産業遺構であるにもかかわらず
行政は財政を理由に手を差し伸べることもできませんでした。

各地の鉱山で同じように貴重な産業遺構が撤去されて行きました。
もう二度と作られることのない貴重な建物が写真だけを残して消えてしまいました。

鉱山施設の維持管理が難しいという理由は理解できます。

でもまとめられた資料や鉱山の機械、写真などはどこかに展示して日の目を見てほしいと思っていました。


この場所にもやっと春の息吹がやってきて地面からふきのとうが顔を出しています。


アドベンチャーランド中竜の駐車場の前に、閉園の頃にはなかった建物を見つけました。


広場の端に木製の大きな柱と屋根があります。
出来立ての空気が漂っています。
何を展示しているのかと近づきました。


大きな屋根の下には中竜鉱山で使われていた機械が展示されていたのです。

アドベンチャーランド中竜で見学コースの坑道に置かれていた鉱山車両。
塗装も綺麗です。
閉園してもこんな風に見られるように誰が整備してくれたのかと吃驚していましたら
周辺で作業をしている方の中の一人が声をかけてくださいました。

「もしかして、閉園の日にあちこち撮っておられた方ですか?」

アドベンチャーランド中竜を運営していた会社の方でした。
何度も来ている自分を覚えていてくださったのです。

「おはようございます。閉園からずっと気になっていて
春になったら来ようと思っていたんです。
冬の間にあんな素敵な整備が進められていたんですね。
行政が動いてくれたんですか?」

「いえ、私どもでやりました」
「・・やっぱりそうだったんですか。選鉱場の撤去でもお金がかかったんでしょう」
「2億くらいかかりましたねぇ」

「あの選鉱場とベルコンのパイプが大好きだったんですよ。
あと、コントロール室の横のお弁当入れが・・」

「お弁当入れですか?」
「奥の坑道からの鉱石が貯められる貯鉱庫の横の
スノーシェッドのあった建物です。クラッシャーがある所の横のコントロール室・・」

「あ、ハイドロコーンクラッシャーの横?」
「そうです。そこにお弁当入れが・・」
「こちらの生まれの方ですか?」
「いえ。大阪ですけど。ここには2000年に初めて来て、それから毎年のように来てたんです」
「遠いのに(笑)ここをそんなに大事に思ってもらえてうれしいですね。」

不法侵入していたことを申し上げても咎められませんでした。
それは神子畑でも同じでした。
もう建物が無いからです。

咎めようがないのです。

「今日はここがどうなってしまったかを見にわざわざいらしたんですか?」
「いえ、どうなっていたかも気がかりでしたが堆積ダムを見にきたんです。
中竜の堆積ダムは近くにあるんですよね?」

「奥にあるのが面草ダムです。ここの上にあるのが轟ダム。
轟の方はもう古いから道が無いですが面草は道なりに行けば付きますよ」
「ありがとうございます。行ってみます」
「熊は大丈夫だと思うけど猿も出るから気をつけて」

中竜鉱山の奥にある堆積ダム。
その名前も知りませんでした。
地図に名前が載っていなかったからです。
でも何度も通って見上げている山にそれらしいものがあることは知っていました。
そして該当する場所を地形図で見ると堆積ダムらしい形状が確認できたのです。


選鉱場があった場所まで車で進んできました。
コンクリートの土台だけが残っています。

スノーシェッドもパイプラインも何もかも撤去されてしまったこの場所は
ただ、ただ、広く、思い出すだけで寂しさがこみ上げてきます。


道の先にダムらしき斜面が見えます。
目的地、面草堆積場(ダム)です。


2001年に訪れた時には渡るなんて思いもよらなかったこの橋も
綺麗に改修されていました。

対岸にも何か残っているようです。