タチソ その1

終戦間際、日本の各地に軍事工場が作られていました。
それは新しく作られたものであったり、既存施設の再利用であったりしました。
以前、私がたずねた三重県の久居市にあるプロペラ工場跡は磨き砂の
採砂場を利用した物で、現在は旅館の観光食堂になっていました。

 
旅館の前にある小山。ここには蜘蛛の巣のように複雑な地下トンネルが残っています。
しかし、地元の子供が入り込んで危険ということで現在立ち入り禁止にされています。
もちろん地主の方もいるので断りを入れずに入るのは問答無用で不法侵入になります。

小さい頃に入って遊んだという方に聞きましたが必ずロープなり
長い紐なり持って入らないと戻ってくるのが怖かったということです。


旅館の周りの小山には車道沿いでもこんな風に壕の入り口が
開いていますが中はゴミだらけ。入る価値はあまりないと思われます。

    
地下トンネルを観光食堂にしている旅館です。

   
なんだかとても涼しそうな地下トンネルの食堂です。
ここはもともと採砂場ですから壁も綺麗に削られていますし
綺麗なトンネルになっています。
計画的にきちんと掘られたトンネルは保存状態も良いわけです。

ここは143.000uの敷地に300の工作機械、800人の従業員が働いていた
三菱の航空機部品(プロペラ)工場でした。

京都の桂や清滝、大丸、滋賀の大谷、などでも軍事工場として
転用された場所があります。

 

大阪の北、高槻市成合の山間部に住宅街のすぐ奥に『タチソ』と呼ばれる地下トンネル群が
あります。「高槻地下倉庫」の略で『タチソ』だそうです。
これは既存施設の転用ではなく新規で作られる事になった地下トンネルでした。
トンネル掘削には、韓国・朝鮮人が多数従事させられたということです。

私がこの遺物の存在を知ったのは新聞記事でした。
丁度 この上を「第二名神自動車道」が建設されることになっており、崩落の危険があると
いうことで日本道路公団がボーリング調査したという内容でした。

新聞の写真では煉瓦積みのトンネルらしきものと、保存活動をしている会の方が写っていました。

とりあえず資料集めのために高槻市役所に向かいました。