嵯峨野にて

京都の西に大変有名な観光地『嵐山・嵯峨野』があります。
渡月橋、天竜寺、落柿舎、15年前には市内のほかの観光地と違って
趣と静けさも有り、よく電車で行っていました。
お目当ては紅葉の名所・常寂光寺でした。

現在は『嵐山・嵯峨野』といえば...『美空ひばり館』というくらい
凄まじい人の出入りで、周辺にはタレントショップがぎゅうぎゅう詰に
出店し、すっかり下世話な雰囲気になってしまいました。


渡月橋の袂から嵐山を見ます。
保津川下りの終点はこの右になります。
渡月橋の橋脚を守る為か、遊覧船の移動に必要な深さを維持する為か
可動堰が設けられています。水しぶきが綺麗です。水流の一部は堰から
渡月橋を迂回して橋の下流で合流するように副水路で調節されています。

すっかり趣の途絶えてしまった観光地のようなメインストリート。
でも少し奥にはいれば老舗が近づきがたい迫力で現在も店を構えています。

『湯豆腐・嵯峨野』もその老舗のひとつです。



よく晴れた朝です。京都には色々な桜があります。
地元が誇る桜はやはり枝垂桜らしいですが、私はこの桜が好きです。
山桜は葉が花が咲くより先に出始めます。
園芸種の多くは花が咲いてから葉が出ます。

 


ちょっと見ただけではこれがお店の庭先とわかりません。
古いお寺の境内の一角のようです。
ここが湯豆腐の老舗『嵯峨野』の裏口です。


塀伝いに庭を眺めました

!!!!!

『かっ......回天ッ!?』

 

 
有人型魚雷・回天です!
大東亜戦争末期に開発されていたというものが何で
古都・京都の湯豆腐の老舗の庭先にこんなに
立派に展示されているんでしょうかっっ!!

大きさは6m以上あります。
よく出来た模型なのか本物なのか...。
あまりにシュールな光景に言葉も出ません...。

 


多分ここに由来と説明書きがあったのでしょう。
何故か何も掲示されておらず、どうしてここに「回天」があるのか判りません。


塀の横に小さな真新しい観音様が立てられています。
『魚雷観音』て.........。


市営駐車場でもらえる嵐山観光地図にも『魚雷観音』と出ていました。
どういう感覚でこういうものを設置するのかさっぱり理解できません。

 

正面玄関で開店前の清掃をしていた従業員の方に聞きましたら

『先代の社長が戦争を二度とおこさんようにという思いを込めて置きはったんです』

.....。ふーん。

ごめんなさい。私にはとてもそうは見えませんでした。
マニアが自慢げに展示してあるみたいにしか見えなかったのです。

せめてそういう高尚な思いがあるなら説明板掛けておきましょう。
絶対、私のように誤解するものがいると思います。


何度見てもシュールな光景です。

『回天』は靖国神社に一型が展示されているそうです。
ここに展示してあるのは十型という本土決戦に備えて用意されていたけれど
終戦になってしまって実戦配備されなかったという物のようです。

どういう経緯でこの庭先にきたのかは不明です。

それにしても...。何で枯れ山水に魚雷が置いてあるんやぁぁぁぁぁ!
何度も来ていますがかつてない混乱の嵯峨野路でした。

※ 回天10型は2002年8月27日に故郷広島に 「呉市海事博物館(仮称)」
  展示される為に嵯峨野の地を離れる事になったそうです。
  京都新聞で報道されていたニュースを 名無しさん@3周年 様から
  お知らせ受けました。(2002 8 26 追記)