中川煉瓦製造所 本店 その5

表に出てきました。
すっかり草生している中に凛と立っている煙突です。

蔦にデコレーションされていて綺麗ですがこの蔦が葉を落としてから
冬になってから絵のモチーフとして画く為に訪れる方もいるそうです。

そしてこの旧中川ホフマン式輪窯と中川煉瓦製造の遺構がある
現在の敷地の管理を行なっている高齢者福祉施設「赤煉瓦の郷」
正面玄関です。

この玄関のレリーフが入っている煉瓦のオブジェですが
この施設ができる事が決まった後に実際にホフマン式輪窯で
焼いた煉瓦を使っているのです!

色も華やかで明るい煉瓦です。
ホフマン式輪窯を実際に使ったことは当時話題になったそうです。

今ならガスで温度調節しながらオートメーションでできる煉瓦。
この窯を使うということは技術でも当時の再現が必要です。
実際に石炭を使い、作った煉瓦。
たくさん出来たという事で中庭の飾りにも使われていました。

崩れている所も在りますが手間暇かけてきちんと使えばまだまだ
働ける所を見せたこの遺構。

余談ですが廃墟写真家で有名な某氏が出した写真集にこの遺構が
あったそうです。理事長さんが偶然それを発見したそうです。
管理母体には何の挨拶も無かったという事で、説明をしてくださった職員
の方が「隠れて撮らなくても申し出てくださったら良かったのに」とにこやかに
笑っておられました。

この敷地には他にも煉瓦の遺構が残っています。
崩れかけていて危険なので見学される方は必ず「赤煉瓦の郷」に
声を掛けていってください。気持ちよく案内してくださいます。

まだ使えるんだよ

まだ働けるんだよ

福祉施設の中に入所している方にも幾人かここで働いていた方が
おられるそうです。

ずっと使われていなかった煉瓦の窯から煙がでた時、往時を思った方も
いらっしゃったかと思います。

この遺構は補助を受けずに自腹を切って維持・管理されています。
崩れる速度が少しでも遅くなるように慎重に大切に見て欲しい遺構でした。