I-HI-KA  1


伊波禮毘古命(イワレノヒコノミコト:後の神武天皇)が
熊野路を進む折に、建御雷(タケミカヅチ)から下される剣
布都御魂(フツミタマ)のエピソードや道案内として現れる八咫烏(ヤタガラス)
のエピソードは大変有名ですが、日本書紀にも古事記にもその直後に
国津神として数名が加わっている記述があります。

日本書紀の場合

「吉野に至る時に人ありて井の中より出でたり。
光りて尾あり。
天皇問ひて曰はく、『汝は何人ぞ』とのたまふ。
対えへて曰さく『臣は是国神なり。名を井光と為ふ』
とまうす」

古事記の場合

「尾生ひたる人、井より出で来たりき。
その井に光ありき。
ここに「汝は誰ぞ」と問ひたまへば、
『僕(ア)は国津神、名は井氷鹿と謂う』
と答へ白しき」

その国津神の中のひとり、ファンタスティックな容姿の井氷鹿
を御存知の方は割と少ないのかもしれないです。

尾の有る人が光る井戸の中から.....。
もしくは尾があって光り輝く人が井戸から....。
単純に文のとおりに考えたら、両生類的容姿を考えてしまいます。
金属的なぬめりのある山椒魚の尻尾のついた山の民...。

何故、この井氷鹿が気になるかというと、名前が強烈なインパクトを持っていて
刷り込まれてしまったことと、奈良の水銀鉱山の伝承にかかわるかもしれないという
話がよく持ち上がっているからです。


奈良の川上村に建設中の大滝ダムです。
井氷鹿に縁の土地「井光」はこの上流にあります。


「井光」は「イカリ」と読みます。
日本書紀ではこの字で「イヒカ」と読んでいました。
ややこしいので地名を「井光」、国津神を「井氷鹿」と呼びます。


道路標識に従ってどんどん奥地へ進みます。
ダム建設に伴う余波はあちこちに見られます。
綺麗に拡幅された道から旧道を見下ろした所です。


井光の地にはオートキャンプ場が出来ていました。
そこから更に進むと井氷鹿の井戸があったといわれる
謎の遺構に辿り着きます。


川沿いの道を登ってきました。
来た方を振り返ります。