ふるさと明延祭り その1
国内一の錫の産出を誇った兵庫県の明延鉱山。
あちこちの鉱山施設を回ってきましたが
自分が一番思い入れのある鉱山が明延です。
明延鉱山で採掘された鉱石は
神子畑選鉱場に運ばれ
生野精練所を経由して
大阪にまで来ていました。
鉱石の道
これをずっと追いかけています。
2007年は生野銀山開坑1200年のイベントイヤーです。
一年を通して色々なお祭りが開催されてきました。
この日も生野町でイベントがあるという事で行ってきました。
錫の来た道
鉱石の道
最近は生野・神子畑・明延と合わせてくることが多くなりました。
足を運ぶうちにお知り合いが増えて顔を出す所が増えたことも原因です。
生野町のマインホールでは鉱山生活文化展という展示もあったのですが
週末という事で休館日。
中に入って見ることができず窓越しに展示を眺めるだけになりました。
生野に来て思うのはいつも銀の事ばかりで錫の知名度が低いという事です。
生野は銀山としての歴史だけでなく錫の精錬をしていたという歴史もアピールしてほしいです。
シルバー生野には観光バスで次々とお客さんが来ていました。
笑ってしまったのは
「世界遺産登録おめでとう」
と声をかけられている職員の方の困った顔。
島根県の石見銀山の世界遺産登録が発表された後だったので
銀山という名前だけしか記憶していない人が多いようでした。
世界遺産登録された方の銀山は
ここから直線距離で200km以上離れていますよと突っ込みたかったです。
◆ ◆
生野町を回った後、神子畑に向かいました。
神子畑選鉱場の前は少しずつ整備が進んでいます。
でもまだ一円電車は来ていません。
◆ ◆
二か所を回った後、明延に来ました。
明延に着いた時にはぱらぱら降っていた雨が滝のような降りになっていました。
明延鉱山の産業遺構は今までもずっと見て来ているわけですが
坑道はまだ見学したことがありませんでした。
以前から何度か見学についてお話を聞いていましたが
ある程度人数を集めなくてはならなかったり条件があるという事で
諦めていたのです。
この日、撤去間近の大仙選鉱場を下から眺めた後、いつものように
明延のメインストリートだった道をとぼとぼ歩きました。
診療所も撤去されました。
建物が少しずつなくなっています。
選鉱場だけでなく他の物もなくなってきています。
明延で一番大きな建物、明延ドームに足を向けたのは
生野で立ち寄った井筒屋で鉱石の道プロジェクトについて
現地の方といろいろ話をしていた時に
『明延にそれだけ通っているならこの人の事はご存知でしょう?』
と名前をお聞きした人と私が会っていなかったからでした。
今まで明延に通っていて一度もお会いした事はなく
お話ししたこともない方でした。
しかし、鉱石の道プロジェクトに明延で一番関わっておられるのはその方だと聞き
お会いできるかの確証もなくとりあえず行くことにしました。
◆ ◆
明延ドームの横にある明延自然学校。
明延鉱山の坑道見学の受付を行っている場所です。
数年前に尋ねた時には坑道見学にはある程度人を集めてほしいと言われました。
その為に坑道見学はあきらめていたのです。
しかし、昨年くらいに明延の人から一人でも見学を受け付けるようにしたと聞いていました。
明延自然学校に着いた時にはもう雨がかなり強く降り始めていました。
玄関に立った私に事務所の中から人が出てこられました。
「突然すみません。明延鉱山の事を勉強しているものですが・・・」
でて来られた方に何年も明延に通っていること
坑道見学をしたい事をお伝えしました。
すると
「いいですよ。今から行きましょうか?」
と、吃驚するようなお答えが返ってきました。
いきなり明延の坑道見学をできることになったのです!
物凄い土砂降りの中、やってきました。
鉱山学習館。
ここもずっと入りたかった場所です。
ヘルメットをお借りするために初めて入った内部はこれでもかという資料の山!
こ、ここにこんなに凄い資料があったなんて!
必死で資料を見て回りますが今は坑道見学が先。
坑道の見学コースは通常ここからではないのですが
通常のコースに行くにはここから少し離れた道路横まで徒歩で移動しなくてはなりません。
この通りの雨でしたのでコースを逆に巡りましょうとの御配慮。
ヘルメットをお借りして雨の中を入口までダッシュ(傘を持っていなかったので)。
カメラ曇りまくり。
坑道出口の扉です。
扉が開きました。
入口はいきなり綺麗なコンクリートで固められていて吃驚しました。
「明延の坑道の見どころは観光用に手を加えたりしていない事です。
この中は仕事をしていた当時のまま残してあります」
「観光用に整備しなくても安全に問題が無いという事ですか」
「はい。明延は非常によい岩盤に恵まれているんです。
あちこちモルタルを塗ったり化粧板で隠したりしなくてもいいのです。
そのまま見て頂くことができます」
稼働していた時の姿をそのままにしているという事
それは閉山した時のまま時間が停まっているという事です。
突然目の前に現れたのは大寿立坑のダブルデッキエレベーター。
2階建エレベーターです。8人×2の16人乗り。
人の運搬では150m/minですが荷物の時は300m/minとの事。
かなり怖いくらいのスピードだと思います。