災害渋滞

2013/9/17 更新


富山県の黒部ダムを見てきました。
堤高だけで日本一なのじゃないという事を勉強しに行ってきました。

ホントはゆっくりしたかったけど
とある事情で天端を大急ぎで渡って左岸へ。


ロープウェイ・黒部湖駅です。
15:30分発に乗ろうとしていたら臨時便が出る事になって大変嬉しい。
とにかく一分でも早く下山しなくては。


という事でロープウェイで黒部平へ。
なんでこんなに慌てているかというと
本日中に宇奈月駅まで行かねばならないのです。
理由は宇奈月駅前パーキングに車を止めていたからでした。


立山黒部アルペンルートは富山県の立山から長野県の扇沢まで
ケーブルカーありバスありトロリーバスありロープウェイありの
色々な乗り物を乗り継いでいく事が観光の目玉でもあります。

しかし
鉄道に疎い
乗り継ぎに弱い
時刻表を正しく読み取るスキルが低い自分には
乗り間違えたら
乗りそびれたら
宇奈月に戻れない
極寒の黒部で夜明かしは絶対いややー!!
という事で不安で不安で神経がキンキンにとがっていました。

というのも18年前に黒部ダムに初めて来た時
ロープウェイの輸送能力が最も低く
他の乗り物は輸送力が高く
堤体で大量のお客さんがロープウェイ待ちとなり
それに巻き込まれて大変な目にあったという記憶があったからです。
その時に比べて年取ってますし
身体各所に病気も抱えてあの恐怖はもう味わいたくないという事で
神経がぴーりぴりしていたのです。

しかし臨時便は出るし
接続がすごく良くて立山駅までケーブルカー(7分)を除いて
全部の乗り物で座ることができました。
18年前の恐怖の記憶はこうして払拭されました。

そして立山駅から富山地鉄で今度は宇奈月駅まで行くのですが
途中の駅で乗り換えがあります。
この乗り換えが終わるまで全く気が抜けません。
寺田駅というところで宇奈月温泉行きに乗り込み
ここで神経がぷつっと切れてぐーーー。

「おきゃくーさん うなづきつきましたよ〜」

と、車掌さんに起こしてもらうまで意識消失してました。
19:13宇奈月駅着。

早かったー。
これでお家に帰れる。

愛車によろよろと戻って
荷物整理して北陸自動車道・黒部ICを目指します。

高速道路に乗ったらもう安心。
台風来てるけどもう安心。
深夜割引使いたいしちょっとSAで寝ようかな。

ぐー

これが間違いだったと数時間後に気づく。


予想以上に寝てしまってはたと気づくと日付変更線を越えていました。
とりあえず道路状況を調べようと日本道路交通情報センターのサイトを見たら・・・

真っ黒い

道が全部真っ黒い

これ全部通行止めなのか??

トイレに行ってSAの建物内でTVを見るとちょうどNHKのニュースで
物凄く水位の上がった川の映像が流れていて
そしてアナウンサーの言葉が・・・

「木津川で避難判断水位を超過しました

全身に鳥肌が。

高山
室生
青蓮寺
布目
比奈知
ゴレンダムは大丈夫なのかっ

大慌てで車に戻ってPCを見ると


川の防災情報が・・・
なんだよこれー!!
近畿地方が物凄い雨に襲われてるっ!!


ぎゃーーーーーっ!!
なななな
なんというえらい事にっ!!


続けてダム情報で近畿を開く。


日吉が・・・
一庫が・・・
利水容量満杯で治水容量使い始めてる。

日吉が流入1022.07t/sって
これ・・・
既往最大だよね
1000t/sなんで日吉竣工以来経験したことない流入だよね。

数字を見てぞっとしながら
今、高速を降りたら大変なことになりそうな気がしました。
せめて薄明るくなるまでは我慢。
高速道路のSAはとても安全な場所。
下道に降りて土砂崩れや冠水で真っ暗な中で動けなくなったら致命的。

という判断でSAを出るのを5:30まで待ち
燃料も満タンにしてから栗東ICで降りました。

ここからが災害渋滞の始まりです。

連休だったからまだ産業車は少ない方だったかもしれません。
しかし高速道路を降ろされた大型トラックが道という道にあふれています。

主要道を外れて県道を行くといきなりパトカーが追い越していき、数台前で車を列をとめる。

「草津川の東側堤防が決壊しかかっています
大変危険です
速やかにここから離れて別の道に移動してください」

スピーカーの音声にぎゃーーーっとUターン。
堤防決壊って草津川、河道変更して付け替えたばっかりでそれないよ〜。

とにかく通れる道路が限られるし
信号はところどころ死んでるし
ホントに明るくなるまで待ってよかったと思いつつも
富山から一気に帰っていたらこんな目にあわなかったかもと
心の中で地団太を踏み踏み。

◆ ◆

やっとの事で瀬田川洗い堰に到着したら
琵琶湖でとんでもない事が起きているというのが
はっきりとわかる流れと水位と色。

まっすぐ天ケ瀬ダムに進もうとしたらここも交通規制がかかって通行止めで迂回を命じられる。

洗い堰を右岸から左岸に渡ってすぐ
大戸川を渡ろうとしたら
そこには撤収する重機とトラックがちょうど居て
その二台には流木と土砂が

そして橋の上には土砂の残りと欄干に流木が

越水したんだ・・・
大戸川で橋より高く水があがったんだ


その時の大戸川。
私が橋を渡るときには少し下がっていましたがそれでもこの水位です。


大戸川の横の道で宇治方面を目指す時に車から適当にシャッターを切った写真です。
濁流が川幅いっぱいにものすごい速さで流れています。


水位局舎もここまで浸かっています。

ちくしょー
ちくしょー
大戸川ダムが出来ていたら
ここまでひどいことにはならなかったはずなのに
この水、全部、天ヶ瀬に行くんだぞ
洗い堰からの水も全部天ヶ瀬に行くんだぞ
天ヶ瀬を殺す気かよぉぉぉぉ

渋滞につかまりながら
怖いやら悲しいやら

そして渋滞、ぴくりとも動かない。
地元ナンバーの車が渋滞から抜けて出ていく。
ナビで道路を確認して入った道で悲劇が起きました。


大型車進入禁止の町道に高速を降ろされた相当数の大型車両が進入していて
それが原因で普通乗用車だけなら離合困難でもなんとか通過できる道路をふさいでしまっているのです。

一台ずつ微妙に動きながらなんとかクリアしていきますが
次から次へとトラックがきます。

そして自分の車の横にトラックが来た時に

突風・・?

トラックが傾いて愛車にごんっ!!

ああああああああ
もういいや
とにかく私は今お家に帰りたい
おうちに帰りたいっ!!

トラックの運転手の方が窓から振り向いて何か仰いましたが
雨とエンジン音で聞こえね〜よ
もういいですーと手を振る。


事態が深刻になってきて全く動かなくなったために警察車両が来ましたが
この先にある一番の糞詰まりポイントにすら辿りつくことができない緊急車両。

これはひどいや
高速道路が止まるとこういう事が起きるんだ
大型車両進入禁止の立て看板もあったけど
高速道路降ろされて国道も次々通行止めにされて
迷い混んじゃったが最後こういう事になるんだ

Uターンできる場所まで30分くらいかかって到達した後
逃げるようにUターン。
結局、通れるのは国道しかない。
国道1号だと北に進路をとりなおす。


宇治ルートがダメなのでとにかく京都に逃げようと国道1号に何とか入ったら
頼みの綱の国道1号も通行止め。
西大津バイパスまで行かなくてはならない。

そして1時間に200mも動かない。
多分朝に京都・大阪に到着するはずだったであろう高速バスも一緒に並ぶこの時すでにお昼。
大型車両を追い越して横入りする乗用車。
裏道を知っている地元の車両が交差点でもどんどん入ってくるので
信号が5回変わっても前の大型トラックは交差点をクリアできない。

西大津バイパスにたどりつくまでに4時間かかりました。

この渋滞につかまっている途中で

「天ケ瀬がクレスト開けたー」

というメールが携帯に届いて気を失いそうになったり

「無事ですかー
安全第一でお帰りくださいー」

というメールが届いて励まされたりしていました。

おうちにかえりたい

今頭の中にはそれしかない

おうちにかえりたいよぅぅぅ(涙)


何とか乗る事が出来た西大津バイパス。
しかし路面には土砂や木の破片がいっぱい。
国道1号は土砂崩れで塞がったそうです。
この西大津バイパスにもかなり荒れた痕跡が。


滋賀県に入って栗東ICを降りて8時間。

京都に入りました。
助かった・・・。

ここから県道35号で一気に南下。
しかし六地蔵付近でまたまた通行止めのインフォメーション。

六地蔵に行くまでの間に
京都でもこの辺りにはかなり被害があったことを
店から出されて椅子や机
割れた窓ガラスを片付けた跡
道に転がるゴミや木が教えてくれます。

宇治川を渡る時に宇治川の水位の高さに泣きそうになり
クレスト開けた天ケ瀬にはまた今度、挨拶に行くぞと
とにかく家を目指す。


やっとたどり着いた国道24号。
その横を流れる木津川もとんでもない水位になっていました。

この頃はもうすっかり空も晴れていて水位も下がり始めていたと思います。


それでも堤防の内側ではこんな状態。
堤防の川と反対側が内側。

樋門を閉めて内水氾濫防がなきゃいけないから。
そして堤防の内側では逃げ場を失った水がこんなに。
田んぼも道も水の下です。

ようやく自宅に帰りついた時には16:00を過ぎていました。

遠方に旅行に出る時は休みを全部スケジュールで埋めないで
最後の一日だけは緊急事態に備えて予定を入れないようにするのですが
見事に災害で休暇最後の日をつぶされました。
仕事に穴をあける事は避けられたのでよかった。


家についてすぐTVをつけるとニュースが。
民放でまたまたこんな見出しが!!

でもこのニュース番組では関西大学の先生をゲストで呼んでいて
正しいコメントを流してくれていました。

桂川と鴨川の流量の関係
本川のボリュームが多いと支川が負ける事などをはじめ
淀川の流域特性をきちんと説明しておられ
キャスターの人もどこまで分かっているのか分からなかったけど
少なくとも変な茶々を入れる事はせずきちんと聞いていました。

他の地方の民放では日吉ダムの異常洪水時特別操作について
とんでもない誤解を招きかねないコメントや
例によってダムの洪水調節についてまったく勉強していないレポーターが報告するのを
垂れ流していたりしたそうです。

平成18年7月豪雨の時の鶴田ダム下流の洪水被害を
ダムが原因であるかのように偏向報道で垂れ流した番組フラッシュバック!!

ちくしょー
日吉と天ヶ瀬のハイドロ読み解いてから
各河川の基準点の水位見てから
流域平均雨量とポイント雨量見てから報道しろよ
いつもいつも不勉強なレポーター共め

くたくたになって帰ってきて
災害渋滞の大変さを思い知りました。

そして

日吉の活躍にケチをつけたTV局

ゆるさねー

日吉の仇は私がとる

と、闘志を燃やしながら布団に倒れて寝ました。