滝畑ダムと日本酒 その3

からからと扉を開けて店内に入らせて頂きました。


ショーケースにたくさんのお酒が並んでいます。

一番上の段に置いてあったこの「吟醸原酒・天野酒」
滝畑ダムで醸造されている物のひとつです。


モスグリーンのラベルの「特別純米・醴(れい)」
これも滝畑ダムに運び込まれています。


そして「本醸造・天野酒」
燗が美味しいお酒だとか。

社長さんがお店にお越しになっていたのでお話を伺いました。

「すいません。私、日本酒に疎いんです」
「はい」
「色々辛いとか甘いとか旨いとかラベル見てなめてみるんですけど
さっぱりちっとも分からなくて」

「お酒は自分で飲んでみて美味しいかどうかで判断するのが一番いいと思いますよ」
「あらら」
「たとえばうちの酒は辛口で造っているものでも他の蔵のお酒より甘いとよく表現されます」
「あの日本酒度とか色々書いてある数字がよくわからないのです」
「一応、目安になるようにという事で記載していますが最後は自分の舌ですね」

他の人が美味しいと言っているから美味しいんだと思う罠にはまらず
自分が美味しい物という物を探せばいいわけで
こういうところは趣味の世界と一緒。

趣味の世界と同じなのは
その道に足を踏み出したときに他の人の話を最初は指標にするという事。

でも歩みを進めていくうちに見聞が深まって独自の視点が出て
自分の好きな方向が決まって行くわけで。
他の人が凄いと言っているからという理由で追従するのは楽チンだけど
本当にそれが素敵という感覚が伴っていないなら薄っぺらくなりがち。

勉強するのは面倒くさいし
ちょっと調べたらwebでいくらでも情報あるし
独自の視点を育てるほど踏み込んでもいない人も
ライトな趣味として確立していてそれがで満足なら全然問題ないです。
結局趣味の世界の深度も人それぞれ。

ただ、知識量と好きか嫌いかって別の話なので。
好きか嫌いかだけは誰かがこう言っているからというのではなく
自分の感性を一番大事にしないといかんなと思います。

「滝畑ダムでリムトンネルとダム湖にお酒を置かれたという事ですが
あれって他のダム事例を参考にされたりしたのですか?」

「いえ、そういうわけではないんですが他のダムでもしているのですか?」
「北海道のダムではワイン、新潟県のダムではワインと日本酒やってます。
あちこちで耳にしますからあのトンネルで“醸造”というのはそんなにすごく珍しくないんですが
ダム湖に沈めたというのはほんとに初耳で吃驚しました」

「冬場はダム湖の水温が安定しているということで
滝畑ダムの方が凄く頑張って準備してくださったんですよ」

地元の魅力発信ということで滝畑ダムの活用をという発案があり
大阪府と河内長野から話があって今回の醸造企画が試験的に行われることになったのだそうです。

「今回は本当に試験なので」
「はい」
「本数も少ないですし」
「市場に出回らないと」
「試験は関係機関とうちでやりますが一般の方の試飲とかはありません」
「試験ですから仕方ないですね」
「もし美味しくなればイベントとかで飲めるようにするくらいが精いっぱいかなと思っています」
「それはやっぱり本数が限られるから・・・」
「そうです。トンネルにせよ湖底にせよ場所がホントに限られていますから」

興味津々ですがこれは試験の結果待ち。

結果は初夏の頃にわかるのだそうです。
どれが美味しくなるのかなと社長さんの予想をお聞きしましたが
こればかりは初の試みなのでやってみないとなんとも言えませんとのこと。


ということで購入。
原酒です。
贈答用に使用予定♪


ということで新年早々、ニュースで見て気になっていました
“滝畑ダムで日本酒醸造”について蔵元でちょっとだけお話を伺ってきました。

美味しいお酒になるといいですね。

そして
あのアーチで計画されていた滝畑ダムに
アーチダムが立つべき岩盤に敬意を表して曲線重力式が採用された滝畑ダムに
とびきりの思い入れのある自分としては
滝畑ダムの知名度も天野酒と同じくらい上がってほしいな〜
と思った2017年のお正月でした。