令和2年3月4月

2020/4/28 更新

COVID-19でインバウンドが激減した令和2年早春。


鹿の国は鹿ばかりになりました。


各地でイベントが中止になりしくしくしている時に
自分にとってもとてもしくしくな出来事がありました。


奈良国立博物館で開催されていて
臨時休館になったまま会期を終えずに終了が決まってしまった
毘沙門天 北方鎮護のカミ 展

“最強武神、此処に集結!”のキャッチに
見に行くぞ〜見に行くぞ〜と、楽しみにしていたのに
いきなりの終了お知らせで泣くしかない。


あーんあーん
最強武神大集合見たかったぁぁぁぁ!!

COVID-19、早く終息してくれと春日大社でお祈り。

◆ ◆

更にどんどん気温が上がって雪柳も咲き始めた3月半ば。


大阪府立狭山池博物館の土木遺産展。
今年で三回目。
ダムに続いて昨年は橋、今年はトンネルです。
関西のトンネルめぐり♪

しかし…COVID-19の影響で臨時休館。
そしてそのまま終了のお知らせが…。

くやしいくやしい
しくしく しくしく
本気で憎いぞSARS-CoV-2め!

◆ ◆

欧州や米国でCOVID-19による感染者・死者数がとんでもないことになり始め
欧州と米国と日本では遺伝子型が違うので病原性が異なるのかなと
心配していましたが感染拡大を受けてついに緊急事態宣言がでた事で
事態が一変し、4月現在、外出自粛でホントに各地の観光地は閑古鳥。


運動のために朝のお散歩コースに出ても少し気持ちが下向きになる。
あら、石畳に桜が綺麗。


心のよりどころの図書館も次々休館してしまって
お散歩もお買い物すら気を使う状態に。

NHKのニュースで
「奈良です。 鹿しかいません」
と、超、真面目ボイスで流れた時はこけそうになりました4月。

◆ ◆


右向いても左向いてもCOVID-19とマスクのニュースばっかり流れる中
記事にでましたダム事前放流について。

事前放流は
大雨が来るという予測の基に
数日前から計画的に
下流に安全な量を放流し
貯水池に治水容量を空ける
という操作です。

これ、どこのダムでもできるものじゃありません。
ダムと利水者の信頼関係が大事だし
そういう運用を今までやったことがないというダムもたくさんあります。
勿論、やりたくてもできないというダムもありました。

なので国がかっちりと指針を出してくれたことで
この制度に弾みがついてほしい。

◆ ◆


令和2年4月28日の新聞記事です。

今大変なことになっている各地の感染症病床を抱える病院について
拠点病院でも浸水リスクがあることを伝える記事でした。

同じ記事がwebでも上がっていたのですが
吃驚するくらい伝えたいことが伝わっていない
コメントの嵐に絶句しました。

「1000年に一度の洪水に備えるなんて考えられない」
「不安をあおってほしくない」
「今、伝えるべきニュースじゃない」

等々…。

いや、今から洪水期だからあえて今発表することが大事なんだけど。

世の中、COVID-19禍で他の災害の事忘れているのではないだろうな…。
昨年の19号台風でどれだけ大変だったかもう忘れたとかないわー…。

コメントを見ているとあまりにエビデンスの無いアホな言い草に
何なんだこれ…とあきれるのですがコメントつけたりはしないのです。
動画でも記事でも中身をきちんと見ずにアンチコメントをつけて
同じ手合いの人から“いいね”をもらって
承認欲求を満たすという輩がいるという事を知りましたので。
後はSNSで得意気に間違ったことを書いている人がいても
間違っているよと知らせたりしません。
カニンガムの法則だし。
いや、そもそもSNS嫌いだからやってないし。

明らかに問題だなと思ったら精神衛生のために
自分のHPで云いたいことを書きます。

そもそも
京都大学防災研究所がなんでこういう発表をしたかという事が
一般の人にはピンとこないことらしい。

なんで?
めっちゃ関係あるんだけど?
防災学術連携体なんだけど。


昨年末、クリスマスイブに開催された緊急報告会のリンクです。

日本学術会議公開シンポジウム
令和元年台風第19号に関する緊急報告会


報告しているのは防災関係の工学系の方ばかりじゃありません。
役所関係、医療関係、ボランティア関係など
災害時に現場で苦労された方々の実体験が発表されているのです。


この報告会のセッション3では災害時の対応として
日本災害医学会、日本災害看護学会の発表もありました。

台風被害、洪水被害と医療は物凄く密接な関係があります。
水害時に浸水被害があったら
停電があったら
病院がどんな状態になるか実際の現場の様子を知ってほしいです。

そして
台風というのは数多くの災害の中で唯一、数日前から予測が可能な災害である
いうことをもっとたくさんの人に知ってほしいです。
広域避難にかかわることでもありますし。

ただでさえ今はCOVID-19で都心部の病院はパンク寸前になっているところもあり
診療も入院も大変なことになっているのです。

だからこそ病院が被災することは避けなくてはならないし
浸水被害が想定外とか思考外に追いやって見たくないから見ない〜
じゃすまされないんだよ、目の前に洪水期が来ているんだよと
伝えてくれている記事に対して信じられないコメントの数々。

何がここまでちゃんと意図が伝わらない要素になってしまっているのだろうか?

記事の意図を理解しない人が何に引っ掛かったのかな
と思って何度も読み直してみると、どうも単純に
この数字に引っかかって居るような気がしました。

1/100〜200 と 1/1000

これがあり得ない数字に見えるんでしょう。

いや、つい最近あったのですが…。


平成29年の九州北部豪雨です。
1/1000年確率の豪雨でした。


ちなみに九州北部豪雨というと平成24年にも起きているので
検索するときは注意が必要です。
どっちも線状降水帯があって見分けにくいので。

そして怖いのはこの1/1000年確率級の平成29年九州北部豪雨を上回る強度の降雨が
過去に日本で観測されている事です。

これだけ毎年とてつもない雨で災害が起きているのに
未だに破られない記録

38年前の豪雨災害

それが昭和57年7月23日の長崎大水害時に長与町で観測された
187mm/hなのです。

逃げようかどうか迷う時間もなく
町が雨に飲み込まれた大災害です。

◆ ◆

そして1/100〜200年確率級の雨はというと


昨年のT1919(令和元年台風19号)


2018年(平成30年)の西日本水害


2015年(平成27年)の関東・東北豪雨等が挙げられます。

こんなに災害が起きているのに自分ことじゃなかったら忘れちゃうの?

1/1000年確率の雨すら降る日本で
ここまで毎年のように災害が来る日本で
インフラが正常に機能している事のありがたみって
被災したことがないと中々伝わらないのかなぁと思いました。

今回のCOVID-19は大災禍です。

だからその災禍から暮らしを守るために
今あるインフラで最大の効果を出そうとして奮闘しているのが
土木技術者の皆様なのです。

手洗いに清潔な水を使える国が世界的に珍しいことや
下水道の整備が行きとどいていることがどれだけありがたいか…。

実感された方もいらっしゃると思いますが多くの方にとっては
当たり前すぎてそこにあることを忘れるほどの行きとどいた環境。

それを支えてくれているのが日本のインフラなのです。


COVID-19禍に自然災害が加わって起きうる災厄の対応で
一番大事なことは記事で言うとここ。

他で肩代わりできない施設がある

それを守るためにインフラ整備をしたくても
予算もかかるし建設には年数もかかる

今年の洪水期はもう目の前だ

今ある防災インフラにできることは何だ

ダムの操作規則改定と事前放流の整備だ
これならできる

と、いうメッセージなんです。

はやくCOVID-19禍が終息しますように。

やっぱり春日大社でお祈り。