with Dam Night 2026 その1
2026/8/1 更新
令和8年、帝都で開催されるwith Dam Night のテーマは
“ レアタイプダムの不思議 ”になりました。
中空重力式ダム
バットレスダム等に主役になって貰います。
一応、国内に現存するバットレスダム6基と中空重力式ダム13基については
現地まで行って挨拶をしております。
◆ ◆
国内の中空重力(ホローグラビティ HGと略される)式ダムは13基。

国土交通省 北海道開発局 金山ダム
北海道で唯一の中空重力式ダムです。
建設に関わられたダム技術者の先生から、技術継承の意味合いもあって
中空重力式を選んだとお聞きしたことがあります。

山形県 木地山ダム
木地山ダムはHGであるという希少性でもですが
とにかくゲート操作がメチャクチャ大変なダム
泣くほど大変なダムという認識が自分の中にあります。
日本ダムアワード2022で最上川のダムの活躍を発表した時に
木地山ダムのデータがあまりにも厳しくて不憫で不憫で…。
下流に国土交通省 東北地方整備局の長井ダム(最上川最強堤体)ができるまで
ホントに大変だったと思います。
木地山ダムで気になるのはやっはりエプロン末端のスロテッドバケットの曲線。
直下は渓谷で狭窄しており自然に減勢地が形成される地形。
だけど岩畔にダメージを与えないように流下した放流水が
エプロン末端で上下方向、左右方向に広がって
空中に飛び出して広がる構造にすることでことで減勢を図っています。
これ、大好き。
中空重力式ダムは堤体下流側がすっごく急勾配になるので
重力式ダムと同じように考えると色々まずいらしい。
特に50m級と100m級では全然違ってくるらしい。
この辺りも当日お聞きしたいポイント。

山形県 蔵王ダム
蔵王ダムは中空重力式に最高に適した地形であることを感じられるのが最高です。
V字谷にアーチダムというのは同じようにU字谷には中空重力式がとても適しているので。
それはシンプルに、中空部分(ホロー)の数を増やすことが出来るからです。
同じ幅の谷ならホローが多ければ多いほどコンクリートを節約できて材料を節約できるからです。
蔵王ダムはひろーーい谷に造られているので監査廊からホローを繋いでいる
この通路がどこまでも続く感が見られてホントに素敵なのです。

新潟県 内の倉ダム
内の倉ダムは日本で最後に造られた中空重力式ダムです。
ホローの数が一番多い蔵王は16。
一番少ないのが内の倉で6です。
地形でいうと、蔵王の正反対でめちやくちゃV字谷ですのでなんで???となりますが
技術継承で型式が選ばれているあたりにダムエンジニアの皆様の気概を感じます。

中部電力 畑薙第一ダム
いつか見せて貰えたら…と願っている堤体内に格納された発電所。
日本で一番堤高が高い中空重力式ダムになります。

中部電力 畑薙第二ダム
畑薙第一に比べるととっても小さくてかわいい♪のが畑薙第二ダムです。
こちらは下流のビューポイントまで足元は良くないですが転落と動物注意で行くと
こんな素敵な顔を見ることが出来ました。
かなり昔の写真です。

中部電力 井川五郎ダム
何度も会いに行っていますがこれは大井川鉄道から撮った写真です。
道路が土砂崩れで通行できなくなっても鉄道があるのが強い。
一門放流している井川五郎ダムです。
気になるのはこの急勾配の堤体を流れ落ちる水。
重力式ダムの緩傾斜では考えられない悪さをするらしいという事で
この辺りのお話も色々聞きたい。

中部電力 高根第二ダム
ダム工学会中部近畿ブロックのwith Dam Nightで揚水発電をテーマにした2022年に
見学させていただいたのですがホロー内部の構造とむき出し岩盤の魅力がすごかったです。
ホローグラビティダムで揚圧力対策が重力式コンクリートダムと根本的に違うというのも
今回、是非ご説明を頂きたいです。

国土交通省 中部地方整備局 横山ダム
他の国内の中空重力式ダムは洪水吐ゲートはクレストだけなのですが
横山ダムだけはコンジットゲートを持っています。
なので顔つきが全然違っています。
これは最上流に徳山ダムが竣工してサーチャージ水位に到達後、200m3/s放流維持していた時に
追随して途中にある久瀬ダム、横山ダムも放流したというレアケースの際の写真です。
出水による異常洪水時防災操作でのクレスト放流ではありません。

岡山県 河本ダム
ここは立地に関係で下流面真向きが綺麗に見られます。
下流面真向きから見るとぺったんこに見えます。
しかし横から見ると実に中空重力式らしい下流側急勾配です。
河本ダムの減勢池は直線流下等幅の長ーい形状ですが
副ダムの手前で広がっていることと壁が高くなっているのが気になるポイントです。
何か変わったデザインを採用されているのか気になる気になる。

四国電力 大森川ダム
四国には四国電力様が管理する中空重力式ダムが二基ありますが
一昔前、とにかく林道が険しすぎて辿り着くことが大変だったのが
この大森川ダムです。
丁度、一番楽ちんルートが閉鎖されていたために
最も過酷なルートで辿り着いたのですが会えた時は感動しました。
カッコよすぎて。
馬力オバケのディーゼルターボの4WD乗っててよかった思い出。

四国電力 穴内川ダム
大森川ダムと違って車でそばまで行ける穴内川ダムは
四国電力様の管理ダムの中で最も大きな貯水池を有しています。
これは運よくゲート放流しているときの写真です。
洪水吐水路の傾斜が角度を変えて急傾斜から緩傾斜になり
更にスロテッドバケットで空中に飛ばして減勢を図っているので
ゲート放流の時の水に対してメチャクチャ減勢に気を配っている感が
伝わってきてわくわくしてします。

九州電力 諸塚ダム
九州で唯一の中空重力式ダムであり
国内唯一の下流面開放ウェブ二枚型の諸塚ダムです。
中空重力式ダムの設計で世界的権威であったマルチェロ技師が
最も得意とした下流面開放ウェブ二枚型ですが日本ではあまり選ばれませんでした。
マルチェロ技師の代表作の一つ、シチリア島にあるアンシパダムです。
下流側にスリットが入っているので諸塚ダムと同じデザインになります。
下流面のスリットと、ホロー空間を全部描くと
コンクリートが吃驚するくらい少ないことがわかります。
ウェブ二枚型なのでこの図だとスッカスカに見えちゃいます。
アンシパダムはこの方向で見ると二等辺三角形になっています。
最初に造られた中空重力式ダムであるスイスのディクサーンスダムは
重力式ダムの下流側にスリットを入れたデザインなので
貯水池側は鉛直の三角形です。
その後、この二等辺三角形の設計が主流になり
更に進化して水の重さを利用するという思想が加わり
上流面勾配の方が下流面勾配より緩やかなデザインになりました。
当時、最先端だったこのデザインを国内最初の井川ダムではなぜ採用しなかったのか。
やっぱり諸外国なら決壊しないといわれたアースダムでも決壊するのが日本の地震なので
配慮されたりしたのかな???
でも、イタリーも地震国なんだけどな
初事例だったから頑丈にしたくてウェブ一枚にしたのかもしれません。
その気持ちとても分かります。
なので、続いて建設した畑薙第一と畑薙第二はマルチェロ技師の
指導の下にウェブ二枚型にしたのかなぁ…等と妄想。