with Dam★NIght 2024 Dam Odyssey

2024/7/21 更新

先日帝都に来たばかりでしたが…またまた帝都に来ております。

例年、7月上旬で梅雨末期の豪雨があちこちで悪さする頃なので
またまた新幹線で遅延が出たら困るのでリカバリーが可能なように
早めに帝都入りしました。

ダム工学会によるwith Dam★Night、今年はちょっと毛色が変わっています。
というのも…

昨年のwith Dam★Nightが終わった後に土木系youtuberの萩原雅紀様が
SNSにこんな投稿をしていました。

わっはっは。
面白がってもらえてよかった♪

と、呑気に喜んでいたらこれがこのままイベントテーマになってしまいました。

・・・。

とりあえず、面白いイベントにしたいけれどダム工学会のイベントなので
アカデミックでなくてはならない。
そこは譲れない。

ここのところ帝都のwDNでは
・ダム再生
・鋼製ゲート
・導流と減勢
と、かなりエンジニア目線のテーマを選んできましたので
今回のテーマはちょ~っと、路線が違います。

ダムの治水を語るときに語りたい内容というのは人によって違うと思いますが
自分の場合は
・その川で起きた過去の水害
・既往最大の降雨
・最もシビアだった防災操作
・そのダム、その川ならではの特徴
・ハイドログラフで泣いてくれ
位は踏まえておきたいのです。

対戦テーマは5つ。
基本的に自分の推しダムで対戦です。

ゲート付きダム対決
ゲートレスダム対決
気になっている面白いダム
ハイドログラフ対決
最強イチ推し治水ダム対決

ここで一応、アカデミックな会ですから慎重に選考しました。

というのはイベントとして面白くあるのはいいんです。
せっかくなので、防災操作の種類、治水を仕事に持つダム色々。
防災操作を読み解くときに必要なキーワード、ゲートレスダムの凄さ
高度運用のすさまじさ等々を事例で伝わるようにしなくてはならないと思いました。

ということで


ゲート付きダム対決には『四国のいのち・早明浦ダム』


ゲートレスダム対決には『スーパースター・灰塚ダム』


気になっている面白いダム対決には『覚悟のクレストゲート・温井ダム』


ハイドログラフ対決には『帝王のハイドログラフ・池原ダム』


最強イチ推しダム対決では『奥越のイージス・真名川ダム』

を選びました。

最強軍団(夜雀 選)。


ダム技術センターからすぐ近い美味しいお蕎麦屋さんでお昼ご飯です。
これは良いお店を知ることができた。
今度からここに来よう♪

早めに会場入りしているので本棚にも近づけます。


凄い資料見つけました♪
O.C.I.の上椎葉ダム建設工事設計資料。

出演する方が次々到着してPC接続準備にマイクテスト等準備を着々すすめてくださいます。

定刻になりまして始まりました。

まず今年からダム工学会の会長に就任された京都大学の角教授からメッセージを頂きます。
同じ時間にICOLDのweb会議が重なっていたという事で大忙しの角教授でした。


そして恒例になりましたHDYYの尾山様によるオープニング動画です。
またまた新作登場。
ちょっと音声が出ないミスがあったのが残念。
映像は空撮が多くてとてもカッコよかったです。

司会はここのところずっとお願いしている都市鑑賞者・磯部様
レフェリーは日本一のダムファンで土木系youtuberの萩原雅紀様


まず、ダムの洪水調節とはどういうものかを
気象予報士でダムマイスター(専門家)のみつはし様から
「洪水調節を実例でおさらい」ということでお話しいただきました。

本日のような対戦企画というのはダム工学会でやったことがありません。
対戦相手は星野夕陽様

お互い、好みのダムと好みのハイドログラフをよく知っているので
ダブらないように対戦するダム名だけは事前に情報交換しておきましたが
基本的にそれ以上に詳しい情報はやり取りしていません。
イベントの趣旨とは別に勝負は勝負。

対戦カード

ゲート付きダム対決
八ッ場(関東地方整備局)vs早明浦(水資源機構)

八ッ場ダムが最新の設計で放流設備を多数備えており
低い位置の洪水吐ゲートがどれだけ素晴らしいかを説明してもらった後に
クレストゲートしかないのにその巨大貯水池を生かして
127回もの洪水調節を実施してきた早明浦ダムがさらにパワーアップするために
ダム再生工事が始まっていることをお話ししました。

八ッ場が対戦相手だったことで視聴者の方に
低位標高の洪水吐の必要性を伝えられたかと思います。

ゲートレスダム対決
破間川(新潟県)vs灰塚(中国地方整備局)

クレスト中央部に二門のゲートレスクレストの破間川ダム。
H7.5m×W14.5m。
今では堤頂にずらーーーっとゲートレスクレストで
堤趾導流壁を採用するダムが多くなっているのでこの大胆な巨大な二門だけの
ゲートレスクレストが洪水をカットするうえでどれだけ優秀かという話をしてもらった後に
小さな堤体で巨大な貯水池、いざとなったら事前放流や後期放流調節にも使える
常時満水位よりも低いところにある引っ張りラジアルゲートを備えた灰塚ダムを紹介しました。
ゲートレスダム対決なのにゲートの話が出るのはどうかと思うと対戦相手から指摘があり
ニヤッと笑って、ゲートレスダムにも高度運用のためにゲートを付ける時代になったんだから
ゲートレスだけを誇る時代遅れはどうかと思うがなーっwww!!! 
と、中筋川ダムの事例を出そうと思った矢先、川崎先生から
「引っ張りラジアルはゲートじゃなくてバルブだから♪」
という一言が出て、すべてはその驚きに流されてドロー。

気になっている面白いダム対決
温井(中国地方整備局)vs浦上(長崎県)

温井ダムのクレストゲートについて、ドロップゲートが採用された理由を説明しましたが
さすがにアンダーフローとオーバーフローは短時間で説明は困難でした。
実力不足。
対して、浦上ダムは再開発で、嵩上げが全然できない長崎という土地柄なので
魔改造にもほどがある、どうやってこんなもの考え付いたんだという
越流頂付放流管を組み合わせていく技でピークを抑える設計とCGが出て
会場も視聴者の皆様も騒然としてしまいました。

チャットに設計されたコンサルタント様の書き込みがあったのがまたまたよかった。
水利模型実験大変だったらしいです。

ハイドログラフ対決
池原(電源開発)vs下久保(水資源機構)

今年の初めにダムアワード2023で紹介したT2307の池原ダムと風屋ダムの活躍で
下流の厳重警戒地点の水位を3.1mも下げることに成功したことなどをお話ししました。
ゲートがクレストしかなくてもコンジット並みに吐ける発電放流ルートがあれば
電気を生み出しながらこれだけすごいハイドロが出るんだぞと次々紹介しました。
それに対して下久保はもともと、国内でも数少ない本則操作が不定率調節方式のダムなのですが
その特別防災操作は一定量放流にすることだという事をグラフで説明してくださいました。

最強イチ推しダム対決
草木(水資源機構)vs真名川(近畿地方整備局)

草木ダムは他のダムで絶対できないことができるダムで最強だという話が出ました。
河道整備が十分で400m3/s流しても大丈夫
一日1m以上水位低下させても崩れない貯水池斜面
ダムが本気の性能をいかんなく発揮させられる環境
そして水資源機構のダムであるということ。
国内有数の超高度操作を展開して実績のある水資源機構という
管理者の英知がなせる業であるという事。
素晴らしい♪
この後でスライド準備にもたついたときに、T1919で実際にその操作の時に
下流の荒川上流河川事務所で所長をしておられたみつはし様が
会場にいたわけで、この話題で盛り上がりました♪
最後に真名川ダムを紹介しました。
真名川はよくでっかすぎるといわれます。
でも何故その大きさが必要だったのか。
その大きさで作ることができたのは奥越水害で解村に至った西谷村の村民の皆様の志を
受けているからなんだという事を伝えました。
ハイドログラフなしで。


という事で、対戦が終わって投票中には川崎先生から
世界の治水ダムと反治水で使われた事例などをさらっと紹介してもらいました。
また別の機会に詳しくお話しいただけるという事で投票時間終了。


今回は相当雨量について簡単に説明しましたが
相当雨量が小さいことでどれだけ大変かという事を
実例で説明することも必要かなと思いました。
やっぱり比較が大切。

温井ダムの紹介でドロップゲートに興味を持ってくださった方には
ぜひ、和歌山県の合川ダム湖遊覧船で関西電力様の殿山ダムを見てほしいです。
非公開の発電ダムですが貯水池からはこんなに近くからゲートを眺められますので。
ランチもおすすめ♪

結果発表~♪

ゲート付きダム対決 勝者・早明浦ダム

ゲートレスダム対決 僅差で勝者・灰塚ダム

気になっている面白いダム対決 勝者・浦上ダム

ハイドログラフ対決 僅差で勝者・池原ダム

最強イチ推しダム対決 勝者・真名川ダム

紹介した10基の中で一番 早明浦ダム

投票結果はこうなりましたが
事例を並べて比較しながらの発表で
聞きなれない単語については専門家からの解説もありましたので
ダム工学会のイベントとしてアカデミックにお役目全うできたかなと思いました。


翌日はいつものように帝都でゲームの聖地巡り。
サンシャイン60到着。


その後、横の交差点で頭がぽーーーんっ!!となりました。
ゲームに出てきた景色そのまんま。


都庁に行って地霊属の護符を得なくては♪


池袋の後は明治神宮にも参拝してから渋谷までてくてくして
山手線で東京駅に移動。

新幹線でびゅーんと京都に戻り、近鉄で鹿の国に戻りました。