トヤ沢砂防堰堤 見学

2022/2/11 更新

降りしきる雨の中、次々県境を越えて新潟県に入りました。


高速を降りて最初に向かったのがここ、トヤ沢砂防堰堤です。

巨大な円筒が立ち並んでいます。
これが砂防堰堤なのです。


到着時にわずかに雨が途切れ、うっすらと虹が出ましたが
この時だけでした。


土砂災害についての説明板が立っています。

崖崩れと土石流と地すべりの違い。

いきなり足元の地面が落下する崖崩れ
物凄い速度で水と土砂が流れてくる土石流
ゆっくり地面が滑り落ちていく地滑り
全部怖い。

それぞれ単体で起きることもあるけど
れらが複合的に起きていることもあるという印象。


この砂防堰堤の奥に崩壊地があります。


崩壊地からこの場所までの姿を見ることができる説明板です。


平成23年月に起きた長野県北部地震。

震源地は新潟県津南町と長野県栄村の境付近で
最大震度6強の地震でした。


震源地からほど近いこの場所で山腹崩壊が起きます。
まだ3月で雪がたっぷり積もっていたために土砂と雪が土石流になって
流れ下り、この地域の主要国道であるR353を埋めて
交通を遮断してしまったのです。

そして運の悪いことに1ヶ月後、2回目の崩落が発生して
大量の土砂が発生しました。

土砂をそのままにしておくと大雨のたびに流れ出します。
国道は復旧できませんし安全が常に脅かされることになります。


この崩壊地と土砂から安全にライフラインを守るために
造られることになったのがこのトヤ沢砂防堰堤なのです。

主要部分を構成するのが鋼製セル式堰堤。
巨大な円筒型の堰堤です。


この写真では右上の方に陰で上に向かって伸びている部分が
INSEM-ダブルウォールで造られているところになります。

この二つの優れているところは土石流で発生した現地の土砂を
中詰め材として利用できる事です。

大量の土砂をどこかに捨てに行くの手はなく現地で有効活用し
安全度も上げるという優れ物なのです。


地震発生から2回崩壊がおきて塞がった国道を開通させた
応急復旧工事の時の写真です。
ここにある不安定土砂が今後また悪さをしないようにしなくてはなりません。
全体の完成は2014年との事でした。


現地は散策路もあるので奥まで行くことも可能でした。


草がすっかり生い茂ってカモフラージュされている
この円筒に接続している部分がINSEM-ダブルウォールです。
ダブルウォール工法でも緑化しやすいエキスパンドメタルタイプ採用。


奥に見えているのが地山陥入部に設けられた
普通の重力式コンクリート砂防堰堤です。
不透過型で水抜き穴も見えていました。


巨大な円筒に近づくこともできるので
足元注意で傍まで行くことにします。


鋼矢板で造られた巨大円筒です。


水路の先は通常の砂防堰堤だったら副ダムが造られているあたり。
特殊な形の堰堤ですが基本は同じのはず。


と、ちっょかを見たらこちらもすっかりカモフラージュされていて
はっきりとコンクリート構造物は見えませんがシルエットは分かりました。

それよりも道路の向こうに何かカッコいい建物が見えています。
後で見に行こう。


巨大に円筒と円筒の間はぴったりくっついているのでなく少し隙間があります。


水抜きスリットです。
他のスリットからは水が出ていました。


ひときわ大きい円筒に銘板発見。


堤高は14.0mなんですね。
堤頂は一つずつの円筒で考えるのでなく全部を足すようです。


道路の向こうにあるかっこいい物はというと…


東京電力の信濃川発電所のサージタンクでした。


道路を挟んで山側にあるこの壁と水路。


水利使用標識があり
取水施設管理者名が東京電力リニューアブルパワーで
水利使用の目的は灌漑になっていました。
なーんと!!

でも電力会社様のダムって水を消費するのでなく
水車を回すのに使うだけなので、巨大な一類のダムに貯められた水は
多くの場合、下流に至るまでに水道水になり灌漑用水になるというのは
ごくごく当たり前のことです。

どこの電力会社もあまりPRしないけど水路網だけでなく
水そのものの安定供給に発電専用ダムというのは大きくかかわっているのです。


ということでトヤ沢砂防堰堤を見て
向かいの東電様のサージタンクも見て
雨の中、次の目的地に移動することにしました。