十津川第一発電所の取水堰堤 その1
2026/5/1 更新

梅の花が咲き始める頃に京都大学宇治キャンパスにやって来ました。
京都大学防災研究所の研究発表だったので。

まずはお世話になっている角教授の講演を良い席でお聞きします。
次に、口頭発表のプログラムを見てあちこち回りましたが
満席が多くてなかなか大変。

お昼になったのでポスター発表会場へ。
ポスターはゆっくりじっくり見られるので好きです。
ポスター発表で興味深い内容がありました。
海外の純揚水の発電所上池の堆砂についての研究でした。
(プライバシーと著作権に配慮して目一杯ぼかしてます)
吃驚したのは予想よりかなりすごい貯水池内の堆砂の写真です。
しかもそれは上池だったのです。
混合揚水だったら本川の濁度が高い場合もあるだろうし
解らない事もないな~と思ったのですが
純揚水でこれ???
どんな水質なの???
日本とは地質が色々違うのでしょうけどこんなに溜まったら
貯水池、空にして建機を入れて掘削除去はやむなしだなと。
ただ、やっぱり不思議に思うところが多かったので
発表者の方と揚水発電についてを色々お話して
堆砂が進まない凄いダムが富山県にあるんだよ
という方向に脱線して
北陸電力様の有峰ダムがどれだけすごいダムかというのを
オタクトークで語ってしまいました。
総貯水容量2億m3超の有峰ダム。
山のてっぺんの有峰盆地を貯水池としており
直接流域は約50km2ですが
間接流域が約220km2もあります。
山の天辺で貯水池を可能な限り大きく取っており
周辺の山から渓流取水等で水を集めています。
この仕組の何が素晴らしいかというと
水が濁り、貯水池に土砂を運ぶような大雨の時に
取水を止めることで貯水池内へ土砂が運ばれるのを防ぐことができるのです。
オタクトークにも発表者の方は気持ち悪がらずにのってくださいまして
ワイワイお話してとても楽しかったです。
◆
他のポスター発表も楽しく見ていたのですが
渓流取水の話が楽しかったので
頭の中にいろいろ浮かんできたものがありました。
その時に、そういえば…サージタンクで水を集めている所を教えてもらったな…と
思い出したのが電源開発様の十津川第一発電所でした。

電源開発様の十津川第一発電所に水を送っているのは風屋ダムです。
風屋ダムからそう遠く離れていないところに
こちらも電源開発様の奥里ダムというダムがあります。

奥里ダムのある滝川が十津川に合流するのは
風屋ダムの直ぐ下流です。
風屋大橋から見たところです。
ダムがあるのが十津川本川。
尾根を挟んで下流で合流しているのが滝川です。
なので直接流域ではない川の上流に取水ダムを作って
貯水池に導水することで河川からの水を集めることが出来ます。
これが間接流域からの水です。
奥里ダムのある滝川から水路が伸び、栗平川を越えて
風屋ダムの貯水池に水が入ります。
有峰ダムもこんな風に、周囲の川の水をダム湖に入れて
ダム湖から出る水は発電所をいくつも経由して常願寺川流域を潤します。
このように間接流域の水は多くのダムで
ダム湖に導かれることが多いのですが
十津川第一発電所では更に工夫が見られると教えて頂いたのです。

風屋ダムの20km以上下流に電源開発様の二津野ダムがあります。
風屋ダムの水が届く十津川第一発電所で電気を作った水は
二津野ダムの貯水池に入り、十津川第二発電所でまた電気を作ります。
十津川第一発電所の東側に川があります。
この水もダム湖貯水池に入れられたら良いのですが
さすがに二津野ダムまでは遠いです。

では、貯水池ではなく、発電所の真上にあるサージタンクに届けたら
風屋ダムからの水と一緒に水車を回せるね♪
ということで、なんと、取水した水をサージタンクで合流させているという。
他の電力会社様でもほとんど聞いたことがない方法で吃驚しました。
(後日、別の電力会社様でもサージタンクに導水している事例を聞きました。
私が無知なだけでした)
◆

サージタンクに導水する水を取水している小川取水堰堤を
電源開発の方のご案内で見学させてもらいました。
道中、このようなとんでもない落石とかありました。
R425でよくみられる光景。
酷道なので。

到着しました。

道はここで行き止まりです。
立入禁止の注意看板もあります。

小川取水堰堤の堤体です。
写真左側のネットが張られた水路に滔々と水が流れていました。

水路が少し広くなってから、また狭くなっているのは
ここが沈砂池の役目もしているからでしょう。
水路の幅が広くなると流速が落ちます。
その時に水に含まれている砂が沈殿します。
その後にまた水路を必要な幅に細くしてコンパクトに。
広くなった部分には溜まった砂を川に戻すための排砂門があるのが見えます。

車止めのゲートを開けて頂き、堤体にお近づきに。

堤高12.25mでローダムです。
集水面積は30km2あります。

堆砂が進んでいて貯水池は奥里と同じ綺麗なエメラルドグリーンです。
堆砂が進んでも取水できるなら発電用取水堰堤として問題なし。