三瀬谷ダムと立梅井堰のバスツアー

20232/4/1 更新

令和5年3月26日、三重県の中部電力・三瀬谷ダムと
世界かんがい施設遺産登録の松阪市飯南町の立梅井堰が協力して
バスツアーが開催されました。


COVID-19の関係で延期になっていたバスツアーです。
ついについに開催となりました。


開催日の数日前からややこしい前線が停滞し、雨が降ったりやんだりで
当日の朝もこんな雨模様。

かなり激しく降っている時間もありましたがツアー開始時刻頃には
紀伊半島南部に特徴的な大きな雨粒の降雨もなく
ぱらぱら降る程度の雨になっていてほっとしていました。


いつもお世話になっいている中部電力・三重水力センター様の玄関に到着しました。

自分はツアー参加というのではなくお手伝い要員です。
鹿の国からの道中、R166はずっと道路横の桜並木も満開になっていて
大変美しかったのですが撮影する間もなく現地入り。

当日は事務所の皆様総動員されているのでは??というくらい人がいっぱいで
皆様おひとりずつが役割をしっかり認識して
きびきび準備をされているのを見つつ
こっそり部屋の隅に潜んで応対してくださった方と
ゲートの話とか、農業用水への協力を行うにあたり
春先の雨がどれだけ大切か、とか
そんなお話をしているとバス本体チームから入電。

「松坂駅前を定刻に出ました」


いつお越しになるかなー♪と玄関のすみっこからバスの到着を待って
怪しい奴になっていたところ、大型バスが到着しました。


体調が思わしくなくて、おひとり参加を見合わせた方がいらっしゃいましたが満席です。
しかも西は愛媛、東は埼玉からも参加されているという事で吃驚しました。

中部電力様のツアー、やっぱりコアなニーズをついているんです。
先日行われた畑薙第一ダムを見学できるツアーなんかはキャンセル待ちが
50人以上いたという事でした。

これだけ人気のツアーなので、もっと回数を増やして欲しいという声も
今後、上がってくるかと思いますがそもそも本来業務ではないし
凄いマンパワー使うし、洪水期が来るまでは基本的に機器整備期間なので
メンテナンスに全振りしたいくらいの時期だし
観光部門が独立して別にある関西電力の黒部ダムみたいな環境を求められても
それは無理ってもんだろうなとは思います。

◇ ◆ ◇

参加者の方は三つのグループに分けられました。
青空(そら)組、さくら組、スマイル組の三つに分かれて
見学場所を移動していきます。

最初にトークショーがスケジュールされている組で
部屋の後ろの方にこそっと座る。
参加者の中にダムマイスター仲間のピンクのうさぎさんご夫妻と
丸山ダムマイスターの佳様がお越しでキャーキャー言っちゃったけどwww。


今回のツアーは午前中にまず三瀬谷ダムと発電所見学、
三重水力センター管内の珍しいダム紹介とトークショー
三瀬谷ダムのVR映像体験にこの日特別に登場した三瀬谷ダムカレー喫食
というとてもぎゅうぎゅうのスケジュールです。


三重水力センター様からお借りしました当日の写真です。
これは小雨の中、堤体見学を受けている様子。

こちらはゲート巻上機室の中で説明を受けておられる様子。

こちらは発電所内の見学の様子。

普段なかなか見られない所にも近づいて詳しい説明をいただけたようです。

トークショーはwDN in Kizugawaで発表されたスライドの短縮版でした。

三重県の珍しい発電用ダム、取水堰の紹介に加えて
wDNでこのテーマでお話しくださった方が
『ダムの歩き方』(自分も執筆で協力してます)をご覧になって
香川県の豊稔池を訪問し、造形に大変心惹かれたというエピソードが紹介されました。

その流れで私がちょろっと顔を出させていただきまして
マルティプルアーチのダムはバットレスダムの系統であるという事で…


海外事例としてマルティプルアーチで有名な中国の仏子嶺ダムと


米国はカリフォルニア州のどれだけアーチが連なっているのか数えてないから知らないけど
とんでもないアーチを持っているというフローレンスレイクダムを紹介しました。

そしてやっぱり名称がそうだから勘違いされやすい所ではありますが
マルティプルアーチはアーチダムとは親戚でも何でもなくて
バットレスの仲間で、中空重力式とも近しいのだという点を力強くアピールしました。

そして中空重力式と言えばやはり中部電力様です。
国内に13基しかない中空重力式のうち、4基が中部電力様管理ダムです。
井川、畑薙第一、畑薙第二、高根第二どこが好きですかー??

という流れで軽〜く、トークショーに参加させて頂きました。

◇ ◆ ◇


お客様が美味しい可愛い素敵な三瀬谷ダムカレーを
まさかまさかの水力センター内のお部屋で頂くという体験も無事に
クリアされたところで三瀬谷ダムエリアのイベントは終了。
こちらが皆様に提供された三瀬谷ダムカレーとダムカード。


そして私も可愛らしい可愛らしい春色満開の三瀬谷ダムカレーの
ご相伴にあずかることになりました。


ランチョンマットには部材の説明が詳しく載っています。


一緒についてくるしおりには次回のツアーについてのご案内も見られる
QRコード付きです。


真っ赤なローラゲート金時人参に堤体下流のバッフルピアを模したじゃがいも♪
バッフルピアwww そこ、そこまでこだわるのか〜♪素敵♪
綺麗だし美味しかったし最高でした。

◇ ◆ ◇

VR映像体験では、360°カメラ搭載のドローンを使って
三瀬谷ダムを貯水池側から下流へ、下流から貯水池側へ
1門放流している時の様子を見ることができたのですが
自分がとにかく注視していたのがやっぱり真上から見る放流水の挙動でした。

岸から見ているのとはやっぱり違うので
水理模型実験を見ているような不思議な感覚です。


シュートブロックはともかく、何でバッフルピアが上下流方向で
逆向きに並んでいるのか。
上流側に鉛直の面を向けないと減勢の役目がかなり落ちるはずなんだが・・・
と、以前から気になって気になって仕方がなかったのですが
VR映像の水の挙動を見て、やっぱりこれはバッフルなのは間違いないだろうけど
スロテッドの発想で水流を拡散して減勢することを狙っているんじゃないかと

川は下流で蛇行して幅も狭まっているし放流量が増大すれば
自然と減勢池が発生する地形なので。

などと、VR映像から素人なりにいろいろ考えてみましたが
正解は分からないままですが、普段見られない視点から
ダムを眺められるのはやっぱりとても楽しいです。

◇ ◆ ◇

この後、バスは立梅井堰に移動です。
とりあえず自分のお役目は三瀬谷ダムパートだけなので
後はフリーになりまして、皆が向かう立梅井堰に自車で先回りしてお待ちしていました。

午後はまず、今年で現在の位置に築堤されてから102年になる立梅井堰・取水堰堤を現場で鑑賞。


雨はそんなに強くなくてパラパラ程度で、殆ど止んでいるかなという状況で
お陽様こそ差していませんでしたが堰の近くには桜が満開でロケーションは最高。
あんまり晴れた日はサクラが白いので色飛びしちゃうし花を撮るなら曇りの方が良いと思います。


魚道の水も越流している水も流筏路の水もそこそこの勢いがあったので
お客様大喜びで撮影を頑張っておられました。
勿論、橋の上にも皆さん向われていまして自分もそれに続いたり。

この後、お客様は一般社団法人・ふるさと屋で
通水してから200年を迎える立梅用水について学べる
西村彦左衛門と成り立ちについての熱い紙芝居鑑賞に続き
立梅用水・水路トンネル内探検という内容だったという事でした。

自分はただのおまけ要員ですし長靴も装備していなかったので
ついていくのは控えて、参加される皆様に写真は頼んだ♪
とプレッシャーをかけて立梅井堰で離脱しました。


こちらは参加された芳様からお借りした手堀り隧道の中の写真です。
佳様、背が高いから…ヘルメットで頭ごんごんぶつけた様子…。

そもそも
普段通水している水路トンネル内に人が徒歩で入るってことは
水を止めなくてはならないわけです。

しかし数日、雨が続いていたために取り入れ口は塞いだとしても
周囲の山から出てくる水はなかなか止められないので
そこそこの水位になってしまうのではと心配でした。

結果的に参加者の長靴勢が大勝利というあたりでお察しいただけるかと思います。

無事に全行程を終えられた後、皆様に配られたお土産というのが
またすごかったみたいです。

☆立梅用水のお水で育ったお米「彦左衛門二百年米」3合。
☆中部電力様の発電所で使われていたスイッチなどの部品
☆立梅用水通水200周年記念カード(限定2000枚)
☆中部電力様のボールペン

これだけお土産ついてこの内容で…
絶対お得すぎる。

金額つけられないレアものがこんなに在ってこのお値段…。
絶対お得だった。
お米まであるの羨ましすぎる。

うーらーやーまーしーいー。

昨年末の日本ダムアワードでも紹介しましたが
中部電力様が本気出したら凄いダム見学ツアーが作られてしまう!!
という事を実感した今回のツアーでした。
ほんの少しだけですがそのお手伝いができて嬉しかったです。