佐久間ダム 見学 その7

巨大なローラーゲートが並ぶこの姿。
これぞ佐久間スタイル。
全く無駄のない造形。
“暴れ天竜”の水と戦ってきたゲートです。
一枚の大きさは高さ14.494m、幅12.0m。
諏訪湖から佐久間までの間には
三峯川
大田切川
小渋川
阿智川
和知野川
遠山川
と、たくさんの川が天竜川に合流しています。
佐久間ダム地点における計画高水量は9000t/s。
それだけの水と戦える装備がこのゲートです。

OFF会で入れて頂いたエレベーター内に展示してあった詳細説明図。
ここには導流壁を“トレーニングウォール”と書いてあります。
外国の方に説明する事がもしあったら必要なので各部名称の英語位は覚えねば。

佐久間のコンジットゲート。
通常これを使う事はありません。
現在進められている天竜川ダム再編事業の
佐久間ダムにおける恒久的排砂対策ではこのコンジットゲートを活用して
排砂ができないかという案も検討もされています。
ダムが続く天竜川。
暮らしを支える電気を生み出し、洪水の被害は減少しました。
しかし、ダムが土砂をせき止め、河口付近の砂浜が減少しています。
ダムにたまる砂を自然に排出することで浜辺の砂浜を取り戻す事が出来ます。

「 佐久間ダム 電源開発株式会社」
誇らしげな文字。
発電ダムとしてこの地に生まれたのは1956年。
電気の為に生まれた佐久間ダム。
でも建設時から豊川用水を佐久間ダムで確保することは計画されていました。
戦後の日本に
ダムができる事を全部やろう
上水道の水を確保しよう
工業用水を確保しよう
灌漑用水を確保しよう
そして水力発電で暮らしを支える電気を作ろう
佐久間ダムは利水ダムとして担うべき事を全て実現しています。

そして佐久間ダム下流にある周波数変換所。
西日本の60Hz
東日本の50Hz
その壁を超える力をもつ周波数変換所。
隣にある新豊根ダムとは揚水発電もおこなっています。
ダムができる全ての仕事をこなしているのが佐久間ダムなのです。
たったひとつ
洪水調節を除いて。

河川局長通達 建河発第178号
この通達によって第一類と定められた佐久間ダム。
佐久間ダムの運転に洪水調節はありません。
ただ、第一類ダムである事で出水時に行わなくてはならない操作があります。
遅らせ操作です。
利水ダムにとって水は大事な資源です。
無駄に流す事はしません。
なので余分な分だけしか放流はしません。
ダムが無く、川であった時にはダム上流のA地点からダム下流のB地点まで、水が来るのに1時間かかっていたとします。
それがダムができた事で水が来るのが20分になってしまったとしたらこれは川が持っていた機能を大きく変えた事になります。
貯水池の特徴として水深が深くなるほど水の移動速度が早くなります
ダム湖で水の移動速度が速くなりなおかつ曲がりくねっていた物が直線化することで
A地点からB地点までの水の移動ははるかに短い時間になってしまうのです。
第一類ダムは巨大なダム湖を有しています。
元々の河川が持っていた通りの機能で水を流すことが求められた時に
行われるのが遅らせ操作です。
上流から押し寄せる水をゲートを開けずに耐えているように見えるため
洪水調節をしていると見えてしまいますが違う操作なのです。
今、進められている天竜川ダム再編事業の佐久間ダム洪水調節機能付加の検討。
これが行われて初めて佐久間ダムは洪水調節を行う事が出来るようになるのです。
洪水調節“F” 灌漑用水“A” 上水道用水“W” 工業用水“I” 発電“P”
天竜川の王・佐久間ダム
それは戦後の日本を支えた復興のシンボル。
利水ダムとして全てのスキルを備えた王。
そして
佐久間は進化していきます。
真の多目的ダムとして。
いつも時代の先を行く
それが佐久間ダムなのです。