坂上ダム 見学 その3


坂上ダム堤体を見た後、やってきましたのは
坂上ダムダム湖の中流域にあるこの場所。
小鳥川と宮川の合流点です。


○印の場所に見たいものがあります。


○印の場所にあるのは小学校です。


小学校のすぐ横が坂上ダムのダム湖になっています。


そこに設けられているのがこの横引きゲートです。
水位が上がった時に小学校のグラウンドに水が浸入したりしないように
関西電力様が設置したものです。

坂上ダムは 建河発第178号 河川法第二章第三節第三款
において第V類に分類されているダムです。


電力のダムですから水位は高め
ここまでしか水位を上げてはいけませんと定められている
常時満水位までのマージンはほんとに少なくて1mありません。

出水の度、この位の水位からゲート操作をしなくてはなりません。
洪水調節容量がたくさんあるダムであれば水位が上がって
治水容量がほとんどなくなっている状態と同じ。

水位を上げずに安全に
急激放流にならないように本則操作で
発電所に送る水との量を考えながら
予備放流で水位を下げるゲート操作をするのです。


ダム湖の上流の浸水に気を配らなくてはならないのは
第U類のダムだけではありません。

坂上ダムは小鳥川と宮川の合流点のすぐ下にあり
急激な水位上昇が起きる事も想定しておかねばなりません。
しかも流域面積が1022.9m2という
ダムの規模から考えると凄い広域の雨が集まるのです。

そして急激な上流からの洪水の伝播でダム湖水位上昇があった時に
万が一でも川の傍の人々の暮らしに影響がないように
こうした対策が取られているのです。

第V類のダム
それはとても操作が大変なダム

あちこちの電力会社の方にお話を聞いてきて
自分が抱いている印象です。

第V類指定だけど貯水池がとても大きい為に
河川管理者の要請で本来ならば第T類ダムの操作である
遅らせ操作に似た対応を状況によって行っている事例も耳にしています。

第V類のダムだからと言って上流に気を配らないという事はないのです。
第U類のダムと同じように背水にもダム湖周囲にも気を配るのです。
第T類のダムでも河川中流域にあれば同じように気を配るのです。

企業として電気の源となる水を無駄にすることなく
出水時には上下流に気を配りゲート操作を行う。

洪水調節を行うダムと根底にあるものは変わりません。

ダムは人の為に作られたもの
ダムとして働くために流域の状況を踏まえて考えて操作する。

なので洪水の時に治水効果がなかったことを責めたりする
ピントはずれのダム攻撃の言動をする都道府県市町村の議員さんには
その河川の歴史と河川法からきちんと勉強し直してほしいですし
ごねるだけが代議士の仕事じゃないだろうと、いつも腹が立つのです。

上流に対する気配り
小さな堤体で目いっぱい頑張る
素敵な坂上ダムでした。