番外編 琵琶湖疏水 疏水分線 扇ダム 其の壱
2007/6/27 更新
扇ダムという名前を目にしたときの第一印象は
インパクトのある名前だなぁというものでした。
web検索で調べてみるとどうも京都にあるらしいという情報が流れていました。
しかしダム便覧を調べても扇ダムの名前はありません。
こいつは・・
よくある取水堰堤って奴かな・・
扇ダムという文言を記載しているwebページを幾つか調べていると
どうも琵琶湖疏水の関連施設のようだという事が解りました。
琵琶湖疏水についての詳細な情報を公開しているのは
管理を行っている京都市上下水道局の琵琶湖疏水のページです。
しかしこのページの情報だけでは扇ダムのおおよその位置は分かったものの
まだ正体不明という感じでした。
扇ダムの図・写真の類がwebでは見つからないのです。
電子国土web、Googleマップ等で探しても扇ダムがあると予測される場所には
これといった建造物が見つかりません。
扇ダム予想位置。
webでの事前調査でつかんだ情報をもとに出かけたのは
またまた例によって大阪府立中之島図書館と大阪府立中央図書館です。
古いデータはここに限る♪
狙っていた文献は琵琶湖疏水を計画・設計した田邊朔郎博士の「琵琶湖疏水誌」です。
「京都都市計画書 第一編 琵琶湖疏水誌」
思わず内表紙のカラーコピーを申請してしまいました。
1920年の本です。
カタカナと漢字の文章を必死で読みすすめましたが
扇ダム、または扇堰堤という言葉は出てきません。
扇という文字すら年表にないのです。
仕方がないので扇ダムがあると推測される疏水分線に関する記載をじっくり読みます。
疏水分線は南禅寺にある水路閣から北に延びている疏水です。
水路閣から第五隧道を経て第六隧道までの間に扇ダムはあるらしいのです。
第五隧道と第六隧道の間に「水溜」というものがあることが書いてありました。
こいつか・・?
水溜?
疏水分線の断面図に「水溜」と「放水場」の文字がありました。
疏水分線から扇ダム放水路と呼ばれる水路が西に伸びているという情報が
京都市都市緑化協会発行 広報誌「 京のみどり 2004年 冬 33号 」(pdf)で公開されていましたので
まずこれがそうに違いないと確信しましたが当時の文献に扇ダムという名称はありません。
他にも何冊が文献や図誌をお休みの度に調べましたが
これ以上には情報が集まりません。
文献調査ではこれが限界かな
やっぱり現地で調べるしかないかな
しかし対象物がよりによって水道用水源にある構造物です。
ガードの固さは半端でないのが水道水源。
しかも京都市の指定史跡。
うーん
それより
扇ダムって正式名称なのかな
扇ダム放水路って言葉は出てくるけど
それだけだし
調べに行くにしても警察の方のお世話にならないようにしないとなー
疏水の管理をしているところに電話で聞いてみよう
と、電話したのは京都市上下水道 疏水事務所。
疏水を管理している機関です。
ここに行けばすべての情報が揃っているはずです。
ダム管理所でインターホンを押すときもドキドキしますが
電話は相手の顔が見えないのでその数倍緊張します。
とりあえず電話をかける。
琵琶湖疏水について勉強しています
扇ダムという構造物について調べているが資料が乏しいので
お持ちの資料を閲覧をさせてもらえませんか
と、お願いしたところあっさりOKが出たので、そのまま家を飛び出しました。午前9時。
電話の感じからすると扇ダムと呼ばれるものはちゃんとあるようです。
京都駅から地下鉄烏丸線・東西線と乗り継いで蹴上駅で下車。
琵琶湖疏水・インクラインにやってきました。
インクラインの傍にある説明板です。
本当にものすごい事業ですね。100年以上前の大事業。
琵琶湖疏水は2010年で竣工してから120年を迎えます。