小原ダム(北陸電力) 見学 その4


新雪を踏みしめて右岸に移動です。
堤体は思いっきりアーチです。
堤敷もタイトで立派な重力式アーチです。


にょっきり立っているのは降雨量を観測する装置。
なんでここまで高い所に設置する必要があるのかという高さですが
この高さにエリアの豪雪を感じ取ることができます。
ここは国内屈指の豪雪地帯、福井県の山間部。


フルオープンのゲートのスキンプレートにも雪が降り積もってこんな姿に。
この近さで目の前にゲートってなかなか体験できるものではないです。


ゲートピアにはゲートスペックを記した銘板が。
日立造船株式会社様の作品でした。


見学していて一番びっくりしたのはとにかくこのダムの立地です。

物凄い狭隘な谷間の直上流にあるのです。
左右の山の尾根が迫ってその間の距離は数mかと思うほどの狭さ。
このポイントで滝波川は大きく蛇行しているのです。

この極端に狭い部分にダムを作っていたら
帝釈川ダムのような
バイオントダムのような
とんでもなく縦長のダムができていたと思います。

しかしこの左右から迫る尾根は上から下まで良質な岩盤ではなく
上の半分以上はもろく崩れやすい為、とてもダムを支えられるような物ではなかったため
現在の位置にダムが造られることになったそうです。


堤体の下にほとんどスペースがない極端に狭い立地。

左岸の尾根には管理道路があり
右岸の尾根のすぐ向こうには、滝波川とは別のけい流が並走していると
現地で説明を受けました。
とにかく両岸ともに非常に細い尾根です。

この狭隘な部分を抜けると滝波川は広くなり尾根の向こうでは全く別の顔です。
開削しようにもできない恐ろしくタイトなポイント。
ダム直下のこのポイントだけが難所。


脆い地盤を保護するために左岸の管理道路側の斜面はモルタル吹付けで法面保護がなされています。

現地で案内をくださった大野電力部の方にお聞きしたところ
小原ダムは次の春から改修工事を計画しているのだそうです。

1964年にできた小原ダム。
竣工して47年目になります。

人でもこのくらいの年になったら色々身体に悪いところが出てきて
手術したり病院通いしたりしますね。
一緒にするなと言われそうですが。


福井県と石川県の県境に近い滝波川の上流に在って
静かに静かに仕事を続けている小原ダム。
発電ダムであると同時に砂防の仕事も持っています。
県のダムでは割とメジャーな事です。

福井県が造り、北陸電力様に養子に出た小原ダム。

この雪が溶けたら

春になったら

春になったら手術だね
心配かもしれないけど大丈夫だよ
だって北陸電力様がやってくれるんだよ

久婦須第二も大きな手術だったんだよ
でも元気に仕事しているよ

尾口第一も凄い手術だったんだよ
でももうすぐお仕事再開するよ

北陸電力様の子になったんだから
安心して手術受けてね

2年経ったら

男前になった顔を見にまた来るから

初めて会いに行った日に
初めて顔を見た日に
もうこの顔を見ることはできないと知ってしまったので
寂しくなってしまわないように
次に会いに来ることを楽しみに
冬支度の小原ダムにサヨナラしました。

工事が終わったらまた会いに来ます。
更にカッコ良くなっていることに期待します。

最後に、突然のお願いにもかかわらず
見学を許可してくださいました北陸電力 大野電力部の皆様にお礼を申し上げます。
ありがとうございました♪