最上小国川流水型ダム 見学
2019/12/1 更新
完成間近の最上小国川ダムに到着しました。
ちゃんと展望広場がありました。
最近のダム現場ってほんとに開かれていて素敵。
一昔前は全然開かれていなかったというのに。
シンプルでデザインの管理所も完成していました。
このカラーリングとシンプルなデザイン
今回訪問している、東北の新しいダム管理所で多く見られているような…。
今のトレンドかな〜。
なにその長い事業名。
債務負担行為工事ダム整備事業って何。
ただでさえ、最上小国川流水型ダムって名前が長いのに。
周辺を見回すとプレハブハウスに
「最上小国川流水型ダム インフォメーションセンター」
の看板が♪
大喜びで入ります。
ダムスタンプのお知らせに誰かがスタンプしまくっていました。
こういう事するのは大抵、就学前のお子様ですね。
仕方ないかー。
スタンプぽんぽん、楽しいからなー。
流水型ダムは最近増えてきた治水目的のダムです。
ダムの底に大きめの洪水吐があって
いつも開いています。
普段水をためないで出水の時だけお水を貯め込みます。
平面図です。
コンパクトで可愛らしいけどごっつい堤指導流壁と大きな波返しが良い♪
ええと、「リック・ドムの足的カッコいい可愛い感じ」。
堤体可愛いのにパーツごついのがカッコいい可愛い要素。
こちらが標準断面図。
堤高41.0m。
まずしっかり見ないといけないのは堤敷の少し上に
緩い勾配でついている大きなオリフィスです。
ここが流水型の肝。
堤高41.0mの可愛いサイズなので常用洪水吐は
ほぼ底にあってもオリフィス。
オリフィスとコンジットの違いがわからないという質問があった時に
私がすぐ答えるのが
「コンジットチューブ(導管)あったらコンジットゲート」
「オリフィスはただの穴だから深いところには造らない。概ね25-30m位まで」
というシンプルこの上ないものだったのですが
ホントに教えた数字以外の要素を考慮できない人達が
「このダム、底部にオリフィスがあります! コンジットじゃないんですか」
「・・・このダムだったらオリフィスでいけるとおもうよ」
「でも底部ですよ」
「ダムの堤高見なさいよ。40m級でしょうが…。
ゲートレスだしなんでこれでコンジットチューブが必要なのよ…」
とか
「このダム、オリフィスなのに水深35.0mの所にあるんです」
「ほんで?(意味 : それがなにか?)」
「いや、変じゃないですか。オリフィスなのに」
「いや、別に変じゃないと思うけど…」
「オリフィスは水深30.0mまでですよね」
「物凄〜くかけ離れた数字でもないしケースバイケースでしょ」
「コンジットにするべきだったのでは?」
「いや、ゲートレスだしこのダムでなんでコンジットチューブが必要だと思うのか
君の疑問のほうがよくわかんない」
とか、今までに色々やり取りがありました。
海外のそもそも大ダム設計基準にも載っていないような
とんでもない設計のダムだったらともかく
日本のダムで構造令が業界内に浸透している状況で
必要な物がついていないダムとか
設計に根本的な不具合のあるダムが
新規で造られるわけがないと思うんですが。
うーむ。
で、ほぼ完成している本体を愛でます。
うふふっ。
コンパクト堤体なのにフーチングがっちりしてて
上流面鉛直で男前ではないか♪
ゲートレスクレストの越流部寸前まで
水位標が取り付けられています。
堤頂はEL313.0m。
越流部標高はEL309.0m。
目盛り自体はEL308.5mまで書いてあります。
流水型ダムで大事なのがこれ。
上流にスクリーン装備の締切堤が必要なのです。
平時でも山から色々、葉っぱや木や動物が流れてきますが
洪水時になれば巨木が流れてくることだってあります。
オリフィスを塞がれないようにブロックしないと。
考え方としては透過型砂防堰堤、スリット型砂防堰堤とおなじ。
下流側の堤趾導流壁の波返しがごつくて良い♪
好きなポイント。
もうすぐ完成してこんな姿が見られるようになるんです。
ホントにもうすぐです。
同じように流水型として計画されているダムには
九州地方整備局が熊本県に建設中の立野ダム(堤高90m)
近畿地方整備局が福井県に建設中の足羽川ダム(堤高96m)があります。
それらに比べるとコンパクトで可愛らしいですが
お仕事はきっちり果たしてくれると思います。
試験湛水と、もうすぐ竣工するのが楽しみな
最上小国川流水型ダム(長い!)でした。