宮川ダムが凄い事になっている話
2013/3/14 更新
三重県の宮川水系に来ています。
あのカッコいい蓮ダムもある宮川水系です。
蓮ダムを差し置いて朝一番に目指すのは宮川ダム。
真っ赤なゲートがクレストに並ぶ三重県企業庁の多目的ダムです。
メインのお仕事に発電を持っています。
ダムの上流にも高落差の発電所がたくさんあります。
という事で宮川ダム周辺と発電所を見に来たのです。
左岸道路を上っていくと見えてきました!
このエリアで特にカッコイイビジュアルの宮川ダム。
天端のクレストゲート部分が下流側に出っ張っていて
その下にピアのように並ぶコンクリートの支えがゲートを引き立てていて
すごくシャープでカッコいいんです。
が・・・
ななななななななな何があったーっ!
ゲート無いー!!
なんとぽっかりとクレストゲートの扉体が一枚無くなっていたのです。
ゲートが全開になっているわけでは無くなっているのです。
ゲートの改修工事にしてはクレーンもないし
周辺がすっきりしすぎです。
ぽっかりと空間が。
あわわわわ
ひええええ
ゲートレスじゃなくてゲートロスト!!!
ゲート盗られたー!!!!
盗難だーっ!!!!!
あんな重い物をどこにやったーっ!!!!!!
現場で絶叫。
「ゲート盗まれたー」
「盗まれないでしょう」
「じゃ、売られていったのかしら〜」
「どこに?」
「鉄屋さんに」
「そんなわけないですね」
「じゃ、金属不足で強制徴用されたのだわー
先の大戦の時のお寺の鐘のようにー」
「絶対ないですね」
「じゃ、ゲートレス化の準備ってこと?」
「ゲートレスは嫌ですね〜」
「いやいやいやいや。ゲートレスなんてとんでもない。
宮川水系の河川基本計画にものすごく大きく関わる話だぞそれ。
電力のダムで言ったら一類指定間違いなしのこのすごい宮川ダムが
ゲートレス化されたらいきなり四類になるってことだぞ
そんなの絶対ありえなーい。
2004年の台風でも洪水調節あんなにやったのに。
宮川が洪水調節しなかったら下流大変だぞ。
コンジット無いからクレストゲートが肝なのに。」
と、理解不能の光景にセルフ突っ込みセルフボケをかまし続ける。
どこかにこっそりゲート隠してしまったのかと角度を変えて見てみるけど無いものはない。
あああああ。
カッコいい宮川ダムがなぜこんな姿にっ(涙)。
上流に回ってみました。
真っ赤なゲートですがダム湖側は真っ青なのです。
やっぱり無いよ・・・。
うぇーん。
管理所の横の壁にあるダム諸元。
ゲートレス化されるならここにも変更が書いてあるはず。
『ローラーゲート 10.0m×14.8m 3門』
ちゃんとゲート3門って書いてあります。
そして扉体は一枚当たり87tもある。
これはいくら道路で敷鉄板や車止めなどの鉄物を盗む輩が横行しているといっても
盗めるような代物ではない。
盗難されたわけではない。
では売られていったのか。
いやいや売られていかない。
「幸福な王子」や「聖者の贈り物」じゃあるまいし
堤体が管理所の方に僕の扉体を売って下流の土砂災害復旧費用の足しにしてくださいと・・
違う違うドナドナされていくのはゲートじゃなくて別の堤体と発電所。
ではゲートレス化なのか。
いやここは堤体直下の川は蛇行していないし
一門だけ抜くとしたらどう考えても真ん中を抜くはず。
つーか抜くなんておかしい。
抜くなら全門抜くだろうし。
何期にも工事分けたら余計にコストがかかるから他のを抜いていないという事はゲートレス化じゃない。
そもそも宮川の洪水調節の肝である宮川がダムがゲートレス化するわけないし。
右岸からこの角度で見たら今まで通りのカッコいい宮川ダムなんですが。
実は乳歯がぬけて隙っ歯状態なの。
あまりの驚きに帰宅して翌日、三重県企業庁に電話して聞いてしまいました。
かなり動揺して支離滅裂な質問をしたと思いますが企業庁の方は丁寧に説明してくださいました。
お答
「ゲートが故障してしまったので新しくするために取り外しているんです」
「2013年4月から天端は立ち入り禁止になります(クレーン架台設置などの為)」
「2013年11月から上流部を締め切って新しいゲートの設置工事が始まります」
「2013年の洪水期は今の状態で頑張ります」
「また新型のゲートが着きますので安心してください」
うわぁぉ!!
ゲート更新のために扉体はずしちゃったんだぁぁぁ。
ゲート付きのダムが一部ゲートレスで洪水調節頑張るって初耳だぁ。
なんか凄い事にトライしてる気がするっ♪
やっぱり宮川ダムカッコいいよぅ♪
という事で2013年の宮川ダムはこの姿でお仕事がんばるそうです。
一年だけの大変珍しい姿ですのでお越しになる方は工事の邪魔にならないようにお越しください。
しかしホントにビックリしました。