まるっとテラス

2022/5/11 更新


木曽川で進んでいる丸山ダムの再開発、新丸山ダム建設現場を見渡せる
展望台が完成したというニュースがありました。

展望台の名前は「まるっとテラス」。
とてもかわいい。親しみやすい。
素敵なお名前。


展望台への道がちょっとわかりにくいということは耳にしていたので
現地の案内を見落とさないようにゆっくり移動。


蘇水峡に到達。
桜が満開でした。


山の上には存在感が凄い新しいサージタンク。
新丸山ダムの竣工に向けてパワーアップしている丸山発電所。


そのすぐ下流にあるのは八百津発電所遺構です。


この道で間違っていないかなーと心配しつつ現地案内板で確認しつつ進みます。


新しい展望台まではこのルートで行けるらしい。


ゆっくり進んで不意に視界が開けたと思ったら到着していました。
この先は工事エリアなので道は行き止まりになっています。


よい♪
とてもよい♪

とても親しみのわく素敵なお名前つけてもらえてよかったですね。


親しみのわく柔らかい印象のお名前ですが
展望台自体は変な飾りなどもなくデザイン性が高く
無駄なくクールでこれまたよい感じ。


まず最初に目に飛び込んでくるのが丸山ダムの右岸監査廊入口のポータルにあった
「動中静」の扁額。

ポータルの土台ごと切り取ってくださったのでことさらに重厚さが際立ちます。


関西電力の太田垣社長の筆による扁額。

動中静、そういう意味だったのですかー

激しい木曽川の水流を丸山ダムで静かな水にして下流に流すという意味でもなく
ダムの働きを見て、いつもは静かに佇んでいるけれど、降雨の際にはゲートを開けて水を流す様を
動と静に込めたというわけでもなく
人の在り方を書いておられたんですねー♪


まるっとテラスの真ん中を通る平らな道はバリアフリー対策で設けられたもので
遊歩道は飛び石状にコンクリートブロックが配置されています。
でもついつい目立つのでこっちを歩いてしまいます。


次に移設されてきた石碑は歌碑のようでしたが文字がはっきり読めず
何なのかなと思っていたところ、丸山ダムマイスターの佳様が
堀会長の筆によるもので丸山ダム発電所竣工の歌碑・記念碑であると教えてくださいました。

堀会長は丸山ダム発電所が運転開始したときの関西電力の会長を務められていた方です。


関西電力の丸山発電所工事誌に歌碑が載っていました。


こちらがその写真です。


そしてダム・発電所建設工事で殉職された方の慰霊碑です。
とても大きな岩で、縞目も美しく、現地で取れたとても良い岩を
慰霊碑にと選ばれたのではないかと思いました。


これは2004年の訪問時に撮影していた慰霊碑の写真です。
右岸の展望台に設置されていたのでご覧になった方もたくさんいらっしゃると思います。

そして慰霊碑が二つあるのは、この大きな慰霊碑ができた後に
亡くなった方がおひとりいらしたことで造られたものです。


慰霊碑の後ろに石段があり、その奥にはお社が見えます。


丸山宮祠という文字がありました。

関西電力様といえば…関西電力送配電・奈良電力所の構内で
お祀りされていた三徳稲荷が頭に浮かびましたがお稲荷さんの姿はなし。


お供えのお神酒が豪華絢爛。
しめ縄も綺麗。


…。
宮祠の管理責任者は関西電力丸山発電所のダム水路長様。
この丸山宮祠は1956年に関西電力様によって建てられたものらしいので
木曽川の他の関電様のダムにもあるかも…。
と、またまたフィールドワークのネタ確保。


そして展望の開けた正しい展望台。


ピッカピカの説明板。


この場所から見えている風景にどんなふうに新丸山ダムが姿を現すかが
完成イメージで確認できます。

なんというか
最高の場所にダム造っちゃっているので
これを再開発ってホントに計画も設計も大変だっただろうなと。

パーフェクトなダムのパワーアップってホントに大変。
特に左岸が謎構造。


新丸山ダムが完成すると発電も洪水調節の能力も河川環境の維持水量確保でも
ぐーんとパワーアップすることを説明しているパネルです。


三枚目は木曽川水系のイラスト地図。
木曽川水系なので揖斐川、長良川、木曽川の三本。


揖斐川の徳山ダムと横山ダム
徳山ダムの洪水吐水路が右岸側にあるのとか
横山ダムのオリフィス装備の中空重力式とか
簡略化されているのにすごく正確!!


丸山ダムと新丸山ダム、ぴったり寄り添って両方描いてくれているのが嬉しい。


飛騨川の守護神・岩屋ダムはちゃんと洪水吐水路が左岸側。


地図に合わせてちゃんとダム湖側から描いてくれている牧尾ダムは
洪水吐きと堤体の間の山までばっちり♪
すごいすごい素敵な再現度♪


阿木川ダムもちゃんと向きを考えて描いてくださっています。


長良川河口堰もちゃんとゲートピアの上の巻揚機室の形が描かれていて大喜び。


犬山頭首工に木曽川大堰。
このイラスト地図、見ていて楽しい、ほんとに再現度高くて幸せ。
誰がこんなに細かく監修されたのかな〜♪


展望台の端には丸山ダム/新丸山ダムのダムカードフレーム。

ここから定点観測することで建設が始まる
新丸山ダム建設途中オリジナルカード風写真が撮れそう。


何度も出水で痛めつけられている仮排水トンネルの吐口。
大きな洪水がまた来ないようにお祈りです。


左右から迫る山
最高の場所に建っている丸山ダム。

この場所はこの後、数年でどんどん姿を変えていきます。

国内で100m級の重力式コンクリートダムとして生まれた丸山ダム。

国内で主流だった発電専用ハイダムのスタンダードでもあった
天端の端から端までに並ぶラジアルゲートではなく
巨大なローラーゲートを備えたその姿。

ここは国内の重力式コンクリートダムの歴史のターニングポイントです。

多くの方にここへ足を運んでいただき
変わりゆく景色と共に役目を果たすために新しい装備を手に入れ
その一部となり働き続けようとしている丸山ダムの姿を記録してほしいと思います。