曲谷ダム 見学 その3


到着しました。

しかし、姿が全然見えない。
周辺の木々で極めて視界不良。


隙間を探していてやっと見つけました。
ダムのお名前。
曲谷ダムです。


下流側は視界不良ですが上流側はなんとか。
装備されていた2門の鋼製ラジアルゲートは撤去され
ゲートレス化されています。

ここにあったラジアルゲートは
H 5.100m
W 6.000m
だったと大阪府狭山池博物館で2018年の春に開催されていた
ダム展の資料で確認しています。

すっきりさっぱりなくなりました。


周辺をきょろきょろしていると堤体に続く階段発見。


しかしがっちりゲートでふさがれていました。


階段のステップの隙間から堤体を覗く。


ラジアルゲートの弧の痕跡がよく見えました。


ここからは越流部だけしか撮れなくてコンパクトに見えますが
堤体は右岸側に長く伸びています。


右岸側にある沈砂池です。
水路に入る前に出来るだけ砂を沈殿させて
綺麗なお水を発電所へ送り出す工夫です。


貯水池側から見た曲谷ダム(取水堰堤)です。
ちょっと雨が強くなりましたのでここで退散しました。

ゲートレス化でハイダムからローダムになる。
これはとても珍しいことでもなくて
最近の他の事例では四国電力様の明谷ダムがあります。

ゲートがある時には現在より高いところまで水位を上げることが出来ましたが
ゲートレス化により水位は越流頂の高さが基準になります。
出水のときに川に入った雨水はそのまま下流に流れ下ります。

ダムで行われる“貯留”を行わない状態です。
なので仕事の中身がダムではなく堰の分野になるので
実際に行われたのはゲートを撤去しただけで
堤体に手を加えたわけでもないですが
堰=ローダムという流れでハイダムのリストから名前が消えたと考えられます。

◆ ◆

実際、ハイダムであろうがローダムであろうが
お仕事の中身が大事なのでローダムだから
扱いが粗雑になるとかいうわけではないです。

そういう、ローダムとハイダムを区分して悦に入っているのは
ダムの管理者様でも河川管理者様でもなく
自称マニアの方だったりします。

ハイダムからゲートレス化でローダムになっても
お仕事を辞めたわけでもないのに
“ダムじゃない”と背を向ける感覚が自分にはあまりよく分かりません。
かっこいいローダム、もたくさんあるのに勿体ないなぁ…と思います。

そういう人たちが興味を失う理由の多くは
“何基のダムを踏破したか”という数の問題で
その基準になるのがダム便覧。

ダム便覧に載ってることが重要であるという認識の人は
ローダムに行っても数としてカウントできないから行く価値がない
と感じる人もいるようですが
それは個人の自由ですから構わないと思います。

ダムが好きな人は高さに関係なく愛でると思いますし
数百基のダムをめぐっている人も国内にたくさんでてきました。
みんな水辺の土木、頑張っているダムが好きだからめぐっているのだと思います。

そしてコンプリートというゴール。
やはりコンプリートを宣言するためには
ゴールが見えていないと辛いので
ゴールを個人で設定するのは良いと思います。

きっちりゴールを設定したい人は
ハイダムにこだわるのも正しいと思います。
ローダムはデータベースがないからゴールないし。

自分は好きなものをふわふわっと見たいだけなので
気になったところを調べて勉強したいだけなので
訪問したダムの数もちゃんと数えていないので
そういうことはできそうにないのですが。

◆ ◆

ただ、時々目にするのが
ローダムを愛でている人にまで
「それはダムじゃない」
「高さが15m以下だから堰だ」
と、ここぞとばかりにコメントする人です。

ダムと堰の高さ以外の区分点も知らないで
自分はダムの基本である“堤高15m以上”を知っているんだぞと
言いたいだけなのかもしれません。

そして私はwDN-Kyotoでも現地で放言していましたが
「平成23年3月15日以前に竣工していた発電用取水堰堤については
高さにかかわらず、敬意を持ってダムと呼ばせていただく」
というスタンスですので実際に管理者様とお会いするときは
そのようにお話しさせてもらっています。

長々書きましたが堤高が15m以上でも以下でも
頑張ってお仕事している構造物は見に行って楽しいから
取水堰もいろいろ見ていくと楽しいよ♪ということを
お伝えしておきたいと思います。