神谷ダム 見学 その4


扇型の越流部です。
水位標はどこだろう。


越流部付近の水位標は見つかりましたが
現在の水位を測れる水位標が見つけられませんでした。
越流部の標高はEL154.5mでした。


定礎石がありました。
平成10年とあります。
そして定礎石はフィルダムの標準断面をイメージしているようです。
センターコアの部分に彫り込みがある辺り。
CFRDじゃないので実物はここまで急勾配ではありません。


洪水吐導流部です。
薄く広く越流部を超えてきた水が
ここできゅっとまとめられて水路に流れて行きます。


直下がちらっと見えていましたが水路の全容はここからでは見えません。


右岸にも説明板がありました。
こっちはあまり汚れていなくて読みやすい。

神谷ダムはとても変わったダムです。
いや、ロックフィルダムとして特に変わった構造であるというわけではなく
ロックフィルダムとしてはスタンダードですが。


変わっているのはその運用なのです。

西播磨地域の非常用水源なのです。

神谷ダムの地点で降雨が豊富だからダムを造ったわけではなく
市川から導水する貯水池としてこの場所が相応しかったという事なのです。


市川の横の船津浄水場と神谷ダムを繋ぐのは揚導水管。

何とここでも用いられていたポンプアップ。

ここから近い日本製鐵の桜山ダムと同じです。
非常用水源扱いで基本的にポンプアップで貯水。


渇水時には浄水場にお水を送ります。

昭和48年に建設の調査が始まりましたが
昭和60年には水需要の伸びの鈍化で建設は一時凍結。
しかし平成6年度に西播磨地域の水需要が増加したという事で
建設が再開されます。
平成6年と言えばあの悪夢の平六大渇水。
日本全国で大渇水でした。

そして平成8年度から工事が始まり平成11年度に完成。

堤高79.0mもあるセンターコアフィルなのにめっちゃ早いな!!
下小鳥ダムには及ばないけどそれなりに吃驚!!


そして今では太陽光発電パネルが並ぶという。

チャレンジャーな兵庫県らしいダムという事なのだろうか。


2016年から発電を開始している神谷ダムの太陽光発電パネル。
その数、なんと1万9600枚。※出典 「ダムの科学 改定版」

大きな斜面を形成するロックフィルダムだから
そしてこの場所は太陽光発電に向いている南向きの堤体だったから

ダム愛好家の中では賛否両論(堤体が見えるか見えないかという点で)の
神谷ダムは太陽光発電パネルばっかり有名になってしまいましたが
非常用水源でポンプアップ貯水という個性的な運用も法にも注目してほしいダムでした。