北川ダム 見学

2024/5/1 更新


朝早くに地蔵原ダムを見学して、次にやってきたのが北川ダムです。
九州にあるアーチダムでまだ会いに行っていなかったので
今度行ったら会いに行こうと決めていたのです。


ダム湖の横を通る国道から堤体がチラリとみえています。


ワイヤー前面吊りのラジアルゲートでピアに巻上機が並んでいます。


管理道路の方に進んで堤体にお近づきになれるようでしたのでゆっくり車を進めると
落ち葉のお掃除をされている職員の方がいらっしゃいました。
ご挨拶してトンネルを通り抜け、パーキングへ。


天端に行けるかなと車を降りて写真を撮っていると
先ほどすれ違った管理所の方が戻ってこられたので
確認して天端に入らせてもらいました。


天端右岸にぴったり寄り添うように建てられている管理所です。


北川ダムの諸元を記したプレートです。
個性的なフォントでした。

名稱 : 北川ダム
型式 : アーチ式
堤高 : 82.00m
堤頂長 : 188.34m
堤体堰 : 65800m3
溢流設備 : 幅12.00m
        高6.20m
          5門
集水面積 : 211km2
総貯水容量 : 44000000m3
満水面積 : 2km2
竣工年月 : 昭和37年6月

施工は梅林建設株式会社様。


親柱の位置は管理所より右岸の地山よりなので
天端の端がここで、管理所は堤体に乗っかっているような印象を受けます。
アーチダムなので乗っていませんが。


タイトなダムサイトであるという事は間違いないです。


管理所の横にあった北川ダムとご家族のローダムと発電所などの
イラスト地図です。


北川ダムは洪水調節と発電を目的に作られた大分県企業局の管理するダムです。
北川総合開発事業で作られたダムと発電所達です。

支川の桑原川に藤河内ダム、桑原取水堰
北川ダムの下流に下赤逆調整池ダムがあり

発電所は桑原発電所、北川発電所、下赤発電所があります。

桑原発電所で電気を作った水の一部は北川ダムに入り
北川発電所と桑原発電所でまた水車を回すようです。

ちなみに九州らしく、桑原の読みは“くわばる”です。


各ダムと取水堰の標高差です。

各ダムと取水堰の満水位標港を見ると
藤河内ダムがEL352.00m
桑原取水堰がEL163.00m
北川ダムがEL160.50m
下赤逆調整池ダムがEL41.00mです。

桑原発電所の有効落差が179.90mで北川発電所の有効落差が116.80mです。
やはりこの時代の発電をするダムは好適地に作られているなと感じます。


訪問時はちょっとお水が少なくて幸せ水位には遠かったのですが
水はとてもきれいでした。


天端横から覗き込むようにして撮った下流側。
撮影ポイントはかなり限られている印象です。


天端は割とすっきりデザインです。
貯水池側に張り出したピアの上にコンパクトな巻上機が据え付けられている構造なので
大きなゲートハウスなどの飛び出したものがなく、とてもすっきりしています。


巻上機とクレストゲートです。


クレストゲートはとても華奢でその薄さにちょっと驚いてしまいますが
この時代のクレストゲートではすごく珍しいというほどではありません。

クレストゲートは、ゲートの高さにもよりますが
コンジットゲートやオリフィスゲートのような水圧がかかる場所ではないので
華奢でも問題ないのです。


直下を見下ろすと川の中に副ダムというよりはシルのような構造物がありました。
その少し下流に放流口が見えています。

北川発電所の取水口は左岸側で発電所も左岸側なので
これは別ルートからの水と思われます。


どこからの水なのかうっかりしていて確認できませんでした。


発電所への水を取り込む左岸の取水棟です。


側面の水位標高に詳しく文字情報も併記されていました。

洪水期制限水位がEL157.80m
常時満水位がEL160.50m
洪水期満水位がEL161.00mとあります。


左岸側から見た堤体です。
日が当たる時間は少ないのかも。
深い谷の良い場所に作られたアーチダムらしい姿です。


しかしこの華奢なトラニオンピンとアンカレージ。
最近のごっつごつのラジアルゲートと比べると
瀟洒でなよやかに見えてしまいます。

実際は鋼製ゲートなんですから頑丈そのものなわけですが。


とにかく水が美しい。
やはり、下流の発電所までの区間に瀬切れが起きないように
河川維持流量を右岸側の放流口から出しているように見えました。

国立国会図書館デジタルコレクションで北川総合開発を検索したところ
日本河川協会の雑誌「河川」の1963年07月号で
北川総合開発の概要についてという記事があり
そこにダムの平面図がありました。

この放流口は仮排水路の吐口とほぼ一致していたので
現河川法で定められた河川維持流量を流すルートの
末端として活用しているのかなと思いました。


赤いキャットウォークとすっきり天端に華奢なクレストゲートの北川ダム。

この後、さらに南下する予定があり、桑原川にあるダムは
見られなかったのですが、すぐ下流にある下赤逆調整池は
道中なので会いに行けるな〜♪ということで北川ダムを後にしました。