切目川ダム 見学 その3


上流側から見るクレスト越流部です。

ゲートレスダムですから洪水調節(防災操作)はダムにお任せです。
オリフィスから水位に合わせて安全な量だけを流せる仕組。

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平成28年夏。
関東地方雨不足。
帝都の水源地に雨が降らない。
いつまでたっても台風が発生しない。

関東は渇水ではらはらしているというのに
九州を中心に西日本はもう降らなくていいよというほどの豪雨続きの梅雨シーズン。
毎回、この雨雲を群馬に栃木に埼玉に届けられたらどんなにいいかというくらいの降りっぷりでした。


平成28年7月9日03:00の天気図です。
やっと発生したと思ったらとんでもない勢力で大陸の方に移動していった台風1号。
T1601。最大勢力で900hPaとかニュースで見ていても怖かった。


T1601が台湾を過ぎて形も崩れてきているという時に
日本列島の上には梅雨前線が乗っかっていました。


そんな雨続きの西日本でまたまた発生集中豪雨。
NHKのニュースをカメラ撮影。
今回は紀伊半島南部に記録的短時間大雨情報が出ました。


同じ日の昼ごろにスクリーンショットしておいた
和歌山情報館の切目川ダムのページです。


記録的短時間大雨情報が出たころの切目川ダムのリアルタイムデータです。

4:00には流入量、放流量ともに0.4m3/sと平常運転

5:00に雨が降り始めて流入量が増え始めますが放流量は変わらず。
というのは水位がまだオリフィス越流部に到達していないのです。
オリフィスの越流部はEL149.0mです。

6:00どんどん流入量が増えて貯水位がEL149.0mを超えました。
ここからオリフィスで洪水調節。カットの開始です。

7:00とんでもない雨がやってきて流入量が急激に増えました。
貯水位もいきなり急上昇。

8:00記録的短時間大雨情報が出た直後流入量がピークを迎えますが
放流量はじわーっと増えていくだけです。


これは9日の19:00にとっておいたCCTVカメラ映像のスクリーンショット。
ええ感じ♪
おみごとゲートレスの本領を発揮しました。
ドヤ顔しててもいいくらいなのに控え目だな。
ゲートレス、自己主張しないからな。


今回の出水のハイドログラフを二枚つないでみました。
記録的短時間大雨情報が出るほどの降雨でしたがばっちりカットしています。
教科書に載せたいくらいの綺麗なゲートレスダムのハイドログラフ♪

オリフィスから出る水の量は貯水位で決まります。
自然越流式ですから。
入ってくる量より多い量は物理的に流せません。

最大放流量に達するのは流入量が下がってきた時。
流入量と放流量の線が重なる時が最大放流量。

そして流入が減っていくと放流量が上回ってきます。
ここからは後期放流です。
ここも水位に合わせて自然調節。
ダムがひとりで全部やってくれるのです。


下流広場に行く道から見た切目川ダムです。

地味だと言われるゲートレスダム。
でもお仕事はお墨付きのゲートレスダム。

これからどんどんお仕事頑張ってくれる地域の大切なインフラです。

辿り着くにはなかなか遠いかもですが高速道路も延伸されていますし
紀伊半島のダムめぐりの途中、立ち寄ってほしい切目川ダムでした。