頂吉ダム 見学
2025/5/21 更新
令和6年年度末
北九州市の水道用ダムを見学するべくやってきて
ダムマイスター仲間の北九州のダム好き様の愛車に積載していただいて
最初に訪れたのが頂吉ダムです。
堤体にてくてく近づきながら、これは寒い時期でないと
草に木々が生い茂って何も見えなくなるなという事がわかり
堤体をきちんと見たければ寒い時が良いという事を実感。
天端の親柱にダム名のプレートがありました。
頂吉ダムは歴史あるダムで、竣工したのは1939年(昭和14年)です。
この親柱の「昭和47年3月改造」のとおり改修工事を受けています。
天端は自動車のみ禁止の様子。
丁度釣り人が竿を持って対岸に渡っていく様子が見られました。
釣りの人気スポットでもあるようです。
堤体の直下に湖面が見えています。
北九州市の大切な水がめ、ます渕ダムのダム湖です。
天端に入ってすぐのところから下流側を見下ろしたところです。
頂吉ダムの石張りが確認できました。
頂吉ダムの左岸には立派な洪水吐水路が設けられていたのですが
改修工事で一部撤去されました。
水道水源でこの時代にスタンダードだった半円柱で堤体上流面にくっつく形の取水塔です。
取水口のラッパ管も見えていました。
取水塔の上はアスファルトでフラットに整えられていてバルコニー状態。
左岸の洪水吐と越流堤が良く見えるところまでやってきまし。
洪水吐の吞口が綺麗に扇形です。
撤去されてしまって上部の一部分しか残っていませんが
ここに地山に沿って美しくカープする洪水吐水路があったのです。
天端左岸にはこのようにがっちりとゲートが設けてありました。
これが設置されるまでは車の往来や路上駐車が多かったのかと思います。
左岸の親柱には紫川と記されています。
ダム天端橋梁では設置された河川や湖沼、池などの名称を
どちらか片方の親柱に刻むのが標準的です。
頂吉ダムはちょっと難読地名かと思いますがひらがな表記もあるので大丈夫。
というより長靴の方が目を引く。
◆
古いダムを調べるときに開くのが日本大堰堤臺帳です。
1936年(昭和11年)発行。
NDLデジタルコレクションでも見ることができます。
日本大堰堤臺帳に載っている頂吉堰堤のページです。
え。
そこ??
場所が違うような…。
しかも型式が土堰堤で記されている…。
現在の地図でいうと頂吉ダムがあるのは、ます渕ダム貯水池東側上流です。
貯水池西側上流部には福智堰堤という別のアースダムがあったはず。
日本大堰堤臺帳に載っている頂吉堰堤の断面図です。
どうみても立派なアースダム。
どの方向から見てもアースダムです。
というか、土堰堤の章で紹介してますし。
つまり
福智堰堤についての記事で名前が入れ替わっているんですね。
これは…
当時、中央では“ 頂吉の堰堤 ”のような呼び方をされていて
そう記してしまったという可能性が高いかなと思います。
◆
本物の頂吉ダムの竣工時の写真はこちらです。
メチャクチャ立派な洪水吐水路のカーブが
ミニチュア御母衣のようでカッコよさ全開!!!
門司市水道史に図面がありました。
堤頂長135m。
堤高36.5m。
洪水吐越流堤の端から堤体方向を見たところです。
古い文献には貴重なデータが多いですが
可能な限り複数の文献で調べるのが大事だなと
いつも思う事をこの訪問でも実感しました。
ただ、そんな細かいことはどうでもよいので
カッコいいものを愛でるだけという訪問も大ありだと思います。
連れてきてくださった北九州のダム好き様、ありがとうございました。